公益法人、公益信託、フィランソロピーに関する
基礎用語集

公益法人制度改革  非営利法人・フィランソロピー
公益法人全般  公益法人の類型  公益法人の機関
公益法人の税制  公益法人の会計  公益信託


公益法人制度改革に関する用語

【NPO法人】

 ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的に制定された特別法である「特定非営利活動促進法」に基づき設立(認証)された特定非営利活動法人のこと。

【ガバナンス】

 一般的には組織における意思決定、執行、監督に関わる機構のことをいう。企業の場合(コーポレート・ガバナンス)企業の効率的かつ健全な活動を可能にするシステムをいう。

 具体的には、企業は経営を監視するために必要な経営管理機構、非効率・不健全な行為をする経営者に課すべき制裁、あるいは企業の社会的責任を果たすためのデスクロージャー制度の確立等が要請される。

【共益的法人】

 非営利でかつ社員(メンバー)相互の利益を図る目的の法人で、協同組合、労働組合そして中間法人法により設立された法人等が該当する。中間法人では同窓会、県人会、互助会、親睦会などが典型的事例である。

【行政委託型等法人】

 特定の法令により各官庁から制度的に事務・事業の委託・推薦を受けている公益法人の総称。国から補助金委託費等の交付を受けている公益法人を含んで使われる場合もある。

【許可主義】 別項参照

【コンプライアンス】

 一般的には法令順守と訳されているが、公益法人でいえば、法令はもとより主務官庁の基準・通達・指導さらには法人内部の規定や公益法人としてのモラルなども遵守しなければならない対象である。

【指導監督基準】

 政府は平成8年9月20日、公益法人行政の統一的推進及び公益法人の指導監督の適正化等を図るため、従来の基準等を整理・強化した新たな基準として「公益法人の設立許可及び指導監督基準」を閣議決定した。

 また平成8年12月19日には、指導監督基準運用に当たっての具体的、統一的な指針として、「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」の申し合わせが行なわれた(公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せ)。各所管官庁においては、これらの基準や運用指針にのっとった指導監督等が行なわれている。

【主務官庁】 別項参照

【準則主義】

 法律に一定の要件を設け、その要件を満たすものは官庁の許可や認可を要せずに、一定の手続き(公証人による定款の認証、設立登記)を行えば設立を認められるもの。商法上の会社や中間法人は、この主義による。

【情報公開】

 組織の事業や財務に関する情報を広く一般に公開すること。公益法人では指導監督基準により次の業務及び財務等に関する資料を主たる事務所に備え置き、原則として一般の閲覧に供することとなっている。資料を主たる事務所に備え置き、原則として一般の閲覧に供することとなっている。

  @定款又は寄附行為 A役員名簿 B(社団法人の場合)社員名簿
  C事業報告書 D収支計算書 E正味財産増減計算書 F貸借対照表
  G財産目録 H事業計画書 I収支予算書

 また、平成13年8月28日の公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚幹事会において「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」の申し合わせがあり、可能な限りインターネットにより関係資料を公開することを要請している。関係資料の種類は、指導監督基準の情報公開と同じである。

【人格なき社団】

 法人格を有しない団体のこと。法人税制上は公益法人同様原則非課税で、収益事業のみ課税とされている。

【中間法人】

 社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団であって、中間法人法の法律により設立された法人をいう。
 中間法人には、有限責任中間法人と無限責任中間法人の2種類がある。

【特増法人】 別項参照

【認証主義】

 「認証」は、一定の行為又は文書が正当な手続・方式でなされたことを公の機関が証明すること。法人の設立に関して言えば、法律の定める要件を備えているかを確認する点では「準則主義」に近いものの、所轄庁が「認証」する行為を必要としている点が「準則主義」とは異なる。

【非営利法人】 別項参照

【非収益事業】

 民法34条法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人などの「公益法人等」は、法人税法施行令5条に規定されている“33業種からの所得”に対してのみ課税され、これ以外の収益、例えば、会費収入、寄付金収入等に対しては非課税となっている。

 この法人税法が課税対象として列挙している33業種を「収益事業」といい、これ以外の事業を「非収益事業」と称している。

【法人類型】

 法人設立の根拠となる各法律(注)により設立された法人の種類

 (注) 民法34条による非営利法人である社団法人・財団法人、民法35条による営利法人で商法上の株式会社等、さらには特別法である社会福祉法人、学校法人、宗教法人、医療法人、NPO法人、中間法人、農業協同組合等々

【みなし寄付金】 別項参照


非営利法人・フィランソロピーに関する用語

【公益活動】

 公益活動という言葉を広く社会一般の利益のための活動と解すれば、公益活動は三つの主体によって行われている。一つは行政という公的な機構を通して行われる国民全般の福祉を図る公的活動であり、その二は、企業による商品やサービスの提供というという営利活動の結果として間接的に図られる福利増進活動である。第三は行政でも企業でもない私的な機構ではあるが、利潤追求を目的としない組織を通して直接に社会福祉や文化の向上を目指す社会的活動である。

 この三番目の民間による公益活動がチャリティ又はフィランソロピーと呼ばれるもので、普通、公益活動といえばこれを指す場合が多く、その担い手である組織や機構を第三セクターと呼んでいる。

非営利法人】

 営利を目的としない法人をいい、いくつかの種類がある。

 民法第34条で定められている公益法人は営利を目的とせず、積極的に公益を図る法人で非営利法人の典型といえるが、特別法により設立される学校法人、社会福祉法人、宗教法人、医療法人のほか、非営利ではあるが積極的に公益を目的とするとまではいえない中間的法人も非営利法人に属する。

フィランソロピー】

 Philein(愛する)とAnthropos(人類)とを語源とするギリシャ語Philanthropia(人を愛する)の英語で、博愛、慈善を意味するが、現代ではより広く個人や団体が、教育、研究、医療、福祉、環境保全、芸術などのために寄付金を拠出したり、ボランティアの奉仕活動をしたりする非営利の社会貢献活動のことをいう。
 わが国ではこれを民間公益活動と訳しているが、フィランソロピー又はフィランスロピーとそのまま使われることも多い。

 フィランソロピーは、本来は個人の自発的な利他的行為であるが、企業の社会的責任、あるいは社会的役割に関心が集まった近来、企業が直接又は財団を通じて公益活動を行うことが多く、それは企業フィランソロピーと呼ばれる。
 フィランソロピーという言葉は主に米国で使われ、英国ではチャリティという言葉が使われる。  

【メセナ】

 フランス語で、企業による文化芸術活動に対する支援のことを意味する。
 メセナは見返りを求めない文化支援が本筋で、冠コンサートや冠イベントなど企業名をつけた催し物などは純粋なメセナとはいえない。
 わが国では平成3年、英国のABSA、フランスのADMICALの日本版というべき(社)メセナ協議会が発足した。


公益法人全般に関する用語 

【寄附行為】

 寄附行為とは、財団設立の目的で財産を寄付することであるが、財団法人の組織及び運営を定めた根本規則又はその書面のことを寄附行為といい、一般的にはこの書面としての寄附行為のことをいう場合が多く、社団法人の定款に当たるものである。  寄附行為は、財団法人を設立しようとする単数又は複数の設立者が作るが、財団法人の基礎となる財産の寄付者が設立者となる。財産寄付者が国、地方公共団体、その他の法人の場合はその代表者又は代理人が作成に当たることになる。

 財団設立に当たっては、まず寄附行為を定めてから主務官庁の許可を得ることになる。寄附行為に記載すべき項目については民法第39条で、目的、名称、事務所、資産に関する規程の5項目をあげているので、これは必要的記載事項と呼ばれる。

 このほかに寄附行為に記載するかしないか、寄附行為の作成者の自由に任されている任意的記載事項として、監事、理事会、事務局、会計、寄附行為の変更、解散、残余財産の処分等に関する事項がある。
 寄附行為の変更については、民法には特段の規定がないが、寄附行為中にその手続規定が設けられていれば、主務官庁の認可を得て変更は可能である。

基本財産】

 財団法人は、一定の公益目的のために拠出された財産に法人格を与えたもので、その財産の運用益によって公益事業を行うのを原則とするが、この財団法人存立の基本となる財産を基本財産という。

【共 管】

 公益法人の設立に当たって、その目的とする事業が、ふたつ以上の行政官庁の所管事項に当たる場合には、関係官庁のすべての許可を必要とし、それぞれが主務官庁となり、設立後の監督もそれぞれが行うこととなる。これを共管といい、主務官庁が単一の場合は専管又は単管という。

許可主義】

 団体に法人格を与えるかどうかを行政庁の自由な裁量に任せ、個別的に許可を与える主義をいう。民法の公益法人は、この主義により設立される。なお、この場合の許可は行政法学上の特許に当たるものとされている。

公益法人】

 民法第34条では、「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其ノ他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」と定めている。すなわち、公益法人は@公益に関する事業を行う、A営利を目的としない、B法人の事業を所管する官庁の許可を得る、C社団又は財団である、という四つの条件をすべて満たして設立されるものである。

 ここで公益というのは、積極的に不特定多数のものの利益の実現を目的とするものでなくてはならない。営利を目的としないとは、法人関係者(役職員、会員、寄付者等)に法人の利益を分配したり、財産を還元しないということである。

 社団とは、人の集合体であって、一つの団体としての目的、組織とそれ自体の意思をもち、その団体自身が社会上単一体としての存在をもつものと定義され、これに民法によって法人格を与えたものが社団法人である。
 財団とは、一定の目的の下に拠出され、結合されている財産の集まりであり、これに対し民法により人格を付与されたものが財団法人である。

 この社団法人と財団法人を合わせて公益法人というが、広義の公益法人として、学校法人、社会福祉法人、宗教法人、医療法人などを含める場合があるが、これらはそれぞれ私立学校法、社会福祉事業法、宗教法人法、医療法などに基づいて設立されたものでるのに対し、財団法人、社団法人は民法により設立されたものなので民法法人と称される。

財団法人】

 財団法人とは、一定の目的の下に拠出され、結合されている財産の集まりである財団というものに対し、民法第34条の規定に基づき法人格が与えられたものをいう。
 民法第34条は、祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他公益に関する社団又は財団で営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができると定めており、公益を目的とした非営利の財団のみが財団法人として許可される。

 設立に当たっては、設立者等が拠出した財産の運用の方針等について寄附行為を定めなければならない。その内容は、目的、名称、事務所、資産に関する規定、理事の任免に関する規定となっており、この寄附行為に基づいて理事が選任され、法人の目的の実現に必要な事業を行い、法人の財産の管理運営に当たることになる。

 財団法人には、社団法人のような社員が存在せず社員総会もないから、理事が必置機関として一切の意思決定、業務執行、対外代表の権限を有している。監事は任意機関として監査に当たるが、そのほか実際上の諮問・審議機関として評議員会が置かれる場合が多い。寄附行為所定の事由、目的事業の成功又は成功の不能、破産、設立許可の取消しの場合は解散し、破産の場合を除き、清算手続に入ることになり、清算の結了をもって消滅する。

社団法人】

 法人格を与えられた社団のこと。
 社団法人は、@社員と呼ばれる構成員が存在すること、A社団と社員の関係その他団体の基本的事項が定款によって定められていること、B社員全員で構成される社員総会が最高の意思決定機関として置かれていること、C社員の欠乏が解散事由とされていることなどの特色があるが、これは団体性の強い人的結合体という社団法人の本質から出ているものといえる。

 社団法人の主なものは、民法第34条による公益を目的とした社団法人と、商法及び有限会社法による営利社団法人たる会社であるが、このほか、特別法によって法人化された中間社団法人(社団的法人)、公法人たる社団法人(公共組合)などがある。しかし、一般に社団法人というときは民法による公益を目的としたものを指す。社団法人は民法第37条により目的、名称、事務所、資産、理事の任免、社員の資格得喪に関する規定を定めた定款を作り、主務官庁の許可を得て設立される。社団法人の事務は、定款をもって理事その他の役員に委任したものを除き、すべて総会の決議によって行わなければならない。

 各社員は、総会に出席して平等に表決権を行使し、一定数社員の請求によって臨時総会を開催させることができる。業務執行及び対外代表のための必置機関としての理事があり、任意機関として監事がある。定款所定の事由、目的たる事業の成功又は成功の不能、破産、設立許可の取消しといった財団法人と共通した事由のほかに総会の決議、社員の欠乏によっても解散でき、破産の場合を除いて清算の手続に入り、清算の決了をもって消滅することになる。

【出捐(しゅつえん)】

 当事者の一方が、その意思に基づいて自己の財産を減少させることにより、他人の財産を増加させることをいう。例えば、財団法人設立のため一定の財産を提供することは出捐に当たる。

主務官庁】

 公益法人は、民法第34条によって主務官庁の許可を得なければ設立できない。主務官庁とは、設立しようとする公益法人の目的とする公益事業を所掌する官庁をいう。

 主務官庁は、目的とする事業が1地方又は1都道府県に限られる場合は、公益法人の許可の権限が中央行政官庁から、国の地方支分部局又は都道府県知事若しくは教育委員会に委譲されている。
 主務官庁は、設立の許可を与えるだけでなく、設立後も公益法人がその本来の公益性から逸脱することのないよう指導監督を行うことを民法は規定している。


公益法人の類型に関する用語 

【企業財団】

 企業財団とは、財団法人のうち、財団設立当初の基金を1ないし複数の企業が出捐(しゅつえん)し、人的にも資金的にも当該企業がバックアップするものを指し、財団法人のうち、主としてだれがその財源を出したかに注目した分類による用語である。

 企業のオーナーが設立当初の基金を出捐しただけの場合は、独立財団として企業財団とはしないが、企業オーナーが出捐した場合でも、財団の事務局に企業の出向者がいたり、設立後も管理費、事業費を当該企業に依存していたり、オーナー所有の自社株を財団の資産として寄付しているような場合は企業財団に含まれる。

【個人財団】

 財団法人の出捐者が誰であるかによって財団を分類すると、個人、企業、団体、行政、その他に分類されるが、個人財団とは、特定の企業とは関係のない個人又は企業のオーナー個人の資産や遺産を基本財産として設立されたものをいい、いわゆる企業財団と対比されるものである。米国では企業オーナーが設立した個人財団であっても、設立後の運営はオーナーやその家族の手を離れて行われるところから、独立財団(インデペンデント財団)と呼ばれる。

【事業型財団】

 財団法人の行っている公益活動の内容によって、助成型財団、事業型財団、奨学財団に区分されることがあるが、これはあくまでも便宜上の分類であって、助成を主とするか、奨学を主とするか、それ以外の事業を主とするかの差にすぎない。

 したがって事業型財団といっても、その成立の経緯や事業内容、規模は千差万別である。
 事業型財団(事業財団ともいう)は目的分野別に、例えば総理府が行っている現況調査では、「生活一般」「教育・学術文化」「政治・行政」「産業」に分類され、また事業の性格別に行政補完型、互助救済型、弱者救済型、業界団体型、自主事業型の5種類に分けている。

 事業の内容では、複数の事業を行っているものが大部分であるが、事業種別としては、振興・奨励、指導・育成、調査・研究、普及・広報、検査・検定、交流・救済、施設の運営、行政の補完、その他といった分類が用いられる。

【助成型財団(助成財団)】

 助成事業を主たる目的とするものをいい、その目的分野によって、学術・研究、教育、福祉・援護、国際交流、育英・奨学、その他に分類される。また、事業内容によっては、研究助成事業、施設助成事業、出版助成事業、会議開催助成事業、研究者招へい・派遣助成事業などに分類される。

 助成型財団には複数の事業を行うものが多いが、優れた業績を褒賞する表彰財団や、奨学金を支給する奨学財団を助成型財団に含める場合もある。

【同業者団体型公益法人】

 銀行協会、損保協会などのように、それぞれの業界ごとにそのまとめ役的な役割をもってつくられた公益法人をいう。
 企業又は個人をメンバーとするもの、経団連のように多くの業界を総合的にまとめたものなど、業界によってその形態はさまざまである。


公益法人の機関に関する用語

【監 事】

 民法の第58条は、法人には定款、寄附行為又は総会の決議をもって一人又は数人の監事を置くことができると規定しており、公益法人の必置機関ではなく、任意設置のものとしているが、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定)では、監事は重要な機関であることから、「必ず1名以上置く」こととされている。剥奪公権者及び停止公権者は監事になることができない(民法施行法27条)。監事と理事は職務上対立する地位にあるため、監事が理事を兼ねることはできない。

 監事の職務内容は、法人の財産の状況の監査と、理事の業務執行状況の監査であるが、監査の結果疑義があるときは、これを総会又は主務官庁に報告しなければならない。この報告をするため、必要があるときは総会を招集することができる(民法第59条)。

【評議員(評議員会)】

 財団法人には社団法人の総会に相当する機関がないため、民法上の規定はないが、業務執行機関に対する諮問機関あるいはチェック機関として、寄附行為により、評議員(会)を設ける必要がある。
 評議員(会)は、役員(理事及び監事)の選任並びに重要な業務運営について意見を述べる等、役員の諮問に応じ、独善的運営をチェックするなど、法人の業務を公正に行うための重要な機関であり、このため社団法人にも置かれることがある。

 評議員は、財団法人の場合、その法人の設立あるいは業務に関係をもつ者、資金の寄付その他の援助をした者、その他一般の学識経験者の中から、理事会で選任されるのが普通である。
 評議員は本来、理事の業務をチェックするために置かれるものであるから、理事との兼職は好ましくない。

【理事(理事会)】

 理事は法人の代表機関であるとともに、事業及び管理事務等の業務の執行期間である。
 理事の職務は、民法で登記(45〜48条)、財産目録の作成(51条1項)、社員名簿の作成(51条2項)、社員総会の招集(60、61条)などが定められているが、このほか定款・寄附行為、理事会・社員総会の決議等で定めた法人の事業及び管理事務全般に及ぶ。

 理事はそれぞれ代表権をもつが、定款・寄附行為、社員総会又は理事会の決議により、特定の理事に職務及び代表権を特定する場合が多い。ただし、理事の代表権の有無は、善意の第三者に対抗できない(54条)。また、理事は自然人であって、剥奪公権者及び停止公権者でないものとされている(民法施行法27条)。


公益法人の税制に関する用語

【寄 付】

 ごく一般的には、公共事業又は社寺などに金銭、物品を贈ることをいう。財団法人は、ある主体が一定の目的のために財産又は財産の集団を提供−寄付して、その財産に法律上の人格を与えて、それが独立に権利義務の主体となるようにしたものである。したがって、寄付という行為がなければ財団法人は設立できない。寄付の態様としては、生前の寄付、遺言による寄付、相続財産による寄付の三つがある。個人が公益法人に財産を寄付した場合には、寄付した個人と寄付を受けた公益法人の両者に課税関係が生ずる。

 また法人が支出した寄付金については、一定の限度額の範囲内で損金に算入することが認められる。特定公益増進法人として指定された公益法人等に対する寄付金については、一般の寄付金とは別枠で、それと同額までの損金算入が認められるなど、寄付に伴う課税関係はかなり複雑である。

軽減税率】

 我が国の公益法人等(税法上の)に対する収益事業課税制度は、昭和25年から始まったが、当時は公益法人も営利法人と同一の35%であった。昭和27年に公益法人35%、普通法人42%と法人税法に規定する本来の税率に比べて公益法人に対する税率が低く定められた。これを軽減税率という。

 これは、公益法人のあげる収益事業所得は、究極的には公益目的をもって本来的事業に充当することを前提にしているから、営利目的で稼得される所得とは区別されて、低い税率で課税されるべきだという考え方によるものといわれている。
 平成15年度現在の税率は、普通法人30%に対し、公益法人22%である。

【公益法人等】

 法人税法第2条第1項第6号において、公益法人等とは同法別表第2に掲げる法人をいうと定義している。この表には、民法第34条の規定により設立された財団法人又は社団法人はもちろん、学校法人、社会福祉法人、宗教法人などのほか、特別な法律に基づいて設立された非営利法人が数多く含まれている。

【公益法人と法人税】

公益法人等に対する法人税の課税は、次のようになっている。

 @公益法人等が収益事業を営む場合には、その収益事業の所得についてのみ法人税が課される(法人税法第4条1項、7条)。
 A収益事業から非収益事業のために支出された金額は寄付金とみなされ、収益事業の所得の20%(民法法人の場合)ないし50%(学校法人等の場合)の範囲内で損金の額に算入される(同法37条4項、同法施行令73条1項3号)。
 B一般の営利法人に比し、22%と軽減税率が適用される(平成15年度現在。同法66条3項)。
 C清算所得には課税されない(同法92条)。
 D事業年度が6か月を超える場合でも、一般営利法人のような、中間申告の必要がない(同法71条1項)。

指定寄付金】

 民法第34条の規定により設立された法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に関する寄付金(その法人の設立のためにされる寄付金で、その法人の設立の許可が確実であると認められる場合を含む。)で、次に掲げる要件を満たすものとして大蔵大臣が指定したものを指定寄付金という。

 @ 広く一般に募集されること。
 A 教育又は科学の振興、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で、緊急を要するものに充てられることが確実であること。

 指定寄付金を支出した場合、個人については、指定寄付金と国・地方公共団体への寄付金、特定公益増進法人への寄付金との合算額(以上の3者を総称して「特定寄付金」という)又は総所得額等の合計額の25%相当額とのうち、いずれか低い方の額から1万円を差し引いた金額を所得から控除できる(所得税法78条1項)。また、法人については非課税とし、全額損金算入できる(法人税法37条3項2号)。

収益事業】

 公益法人の収益事業をいう場合、2つの意味がある。1つは、公益を目的とする事業と収益を目的とする事業とに分けた場合の収益事業で、本来の公益事業を支えるため、資金の不足を補う公益補助事業を意味する。

 もう1つは、法人税法上の課税対象となる収益事業の意味である。法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるもの(法人税法2条1項13号)をいい、法人税法施行令5条1項において、物品販売業、出版業など33業種が定められている。

特定公益増進法人(特増法人)】

 公共法人、公益法人等その他特別の法律によって設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものをいい(法人税法37条3項3号)、具体的には法人税法施行令第77条第1項及び所得税法第217条第1項に列挙されている。

 特定公益増進法人に対する寄付金は、個人の場合は特定寄付金の一つとして一定限度額まで寄付金控除が認められ、法人の場合は一般寄付金の損金算入限度額と同額まで別枠で、損金算入が認められる。

 民法法人(財団法人、社団法人)が特定公益増進法人として認められるための要件は、法人税法第77条第1項第3号に規定されているが、その「主たる目的」については34の事業が掲げられている(平成10年3月31日現在)。

みなし寄付金制度】

 公益法人等は、法人税法上の収益事業によって得た資金を非収益事業(公益事業)のために充当するが、収益事業に係る資産のうちから非収益事業のために支出した金額がある場合には、これを収益事業に係る寄付金とみなして損金算入するとともに、損金算入限度額の計算を行うこととされている(法人税法37条4項)。

 このみなし寄付金の損金算入限度額は、民法法人(財団法人、社団法人)が20%、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人が50%である。


公益法人の会計に関する用語

公益法人会計基準】

 公益法人会計基準は、昭和52年3月、公益法人監督事務連絡協議会の申合せにより設定され、昭和53年4月から実施されたが、昭和60年9月、公益法人指導監督連絡会議によって改正が行われ、昭和62年4月から新公益法人会計基準として実施されている。

 公益法人会計基準は、民法法人について、その拠るべき一般的、標準的な基準を示したもので主務官庁は、この会計基準をすべての公益法人(民法法人)に適用するよう指導することを要請されているが、特別な公益法人や特別な事業については部分的に適用除外を認めている。

計算書類の注記】

 計算書類の明りょう性を高めるために、公益法人会計基準では、計算書類には次の事項を注記しなければならないとしている。

 @ 重要な会計方針−資産評価の方法、固定資産の減価償却、引当金の計上基準、資金の範囲等
 A 重要な会計方針の変更−変更の事実とその影響額
 B 基本財産の増減額と残高
 C 担保提供資産
 D 次期繰越収支差額の内容
 E 減価償却資産の取得価額、減価償却累計額、期末残高
 F 保証債務
 G 重要な資産及び負債の科目別増減額−正味財産増減計算書を省略した場合及びフロー式正味財産増減計算書を作成した場合
 H その他必要な事項

財産目録】

 財産目録は、当該事業年度末現在におけるすべての資産及び負債について、その名称、数量、価格等を詳細に表示するための計算書類であり、その作成と事務所における備置義務は、民法第51条に定められている。財産目録の区分は、貸借対照表の区分に準じ、資産の部と負債の部に分け、正味財産の額を示さなければならないが、その価額は、貸借対照表記載の価額と同一でなければならない。

 財産目録は、公益法人会計における計算書類の体系上は、貸借対照表に対する明細表として位置づけられるものである。なお、財産目録では、資産合計から負債合計を差し引いて正味財産の額を算定表示する点で、貸借対照表の、資産=負債+正味財産という表示様式と異なる。

収支計算書】

 公益法人が公益法人会計基準に基づいて作成すべき計算書類の一つで、当該事業年度におけるすべての収入及び支出を明らかにするために作成されるものである。
 この収支計算書は、収支予算書に示されている収入予算及び支出予算の実績計算書としての役割を担うものであるから、予算額と決算額とを対比し、その差異が著しい項目については、その理由を備考欄に注記しなければならない。

 収支計算書に記載される収入及び支出は、原則として現金預金及び短期金銭債権債務とされており、法人が実際にどのような資金の範囲を採ったかは注記しなければならない。また、次期繰越収支差額についても、その内容を注記する。
 収支計算書の様式については、公益法人会計基準の様式2に、また用いられるべき科目及びその取扱要領は別表の1に定められている。

収支予算書】

 公益法人会計基準においては、収支予算書は「当該事業年度において見込まれるすべての収入及び支出の内容を明りょうに表示するものでなければならない」とされており、その作成は、原則として当該事業年度の開始前でなければならない。収支予算書は、収入予算と支出予算から成り、そこに記載すべき資金の範囲は、原則として現金預金及び短期金銭債権債務である。

 収支予算書作成に当たって特に注意すべきは、借入金限度額及び債務負担額の注記を義務づけられていることである。収支予算書の様式は、収支計算書において、予算額と決算額を対比し、差異が著しい項目については、その理由を注記することになっているので、収支計算書の様式と同じであり、公益法人会計基準の様式1に定められている。

収支予算書総括表(収支計算書総括表)】

 法人が一般会計のほかに特別会計を設けているときは、法人全体の予算(又は収支状況)を明らかにするため、それらの会計別とその合計額を示した収支予算書総括表(又は収支計算書総括表)を作成する必要があり、その様式は公益法人会計基準の様式7(又は様式8)に定められている。

重要な会計方針】

 公益法人会計基準は、計算書類の明りょう性を高めるために注記すべき事項を定めているが、その第一に重要な会計方針として、@資産評価の方法、A固定資産の減価償却、B引当金の計上基準、C資金の範囲を挙げている。
 重要な会計方針を変更した場合は、その変更の事実及びその変更による影響とを注記する必要がある。

主要簿】

 公益法人会計基準は、公益法人が備えるべき会計帳簿のうち、仕訳帳及び総勘定元帳を主要簿とし、現金出納帳、預金出納帳などを補助簿としている。

正味財産増減計算書】

 資産総額から負債総額を差し引いた残額である正味財産が、当該年度中にどのように増加又は減少したかを示し、併せて期末現在の正味財産額を表示する計算書類である。
 正味財産増減計算書にはストック式とフロー式の2種類があるが、公益法人会計基準ではストック式を原則としており、また、特別会計を設けているときは、正味財産増減計算書総括表(様式9−1又は9−2)を作成する必要がある。

貸借対照表】

 貸借対照表は、事業年度末現在におけるすべての資産、負債及び正味財産の状態を明らかにするための計算書類であり、公益法人会計基準において、法人はこの貸借対照表によってその財政状態を明りょうに示さなければならないと定められている(様式4)。

 貸借対照表は、資産の部、負債の部、正味財産の部に大別され、資産の部はさらに流動資産及び固定資産に、負債の部は流動負債及び固定負債に区分される。固定資産は、基本財産とその他の固定資産に区分される。また、正味財産の部は、正味財産増減計算の結果を受けて、期末の正味財産額及び内書として基本金(当該法人が基本財産と定めた資産の合計額)と当期正味財産増加(減少)額を記載する。計上する資産の価額は、取得価額又はこの額から相当の減価額を控除した額とされる。貸借対照表に記載される重要科目及び金額については、「計算書類の注記」により注記が要求される。また、特別会計を設けているときは、貸借対照表総括表を作成する(様式10)。


公益信託に関する用語

【運営委員会】

 信託法上の機関ではないが、公益信託を適正に運営するための必要な機関として、主務官庁の指導により設置されている。
 公益信託の受託者が信託銀行である場合、受託者があらゆる公益活動の分野に関する専門的知識をもつことを期待することは事実上困難なので、受託者を補佐する諮問機関として、当該公益活動の分野における学識経験者から成る運営委員会を設置している。

公益信託】

 信託法の第66条は、「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其ノ他公益を目的トスル信託」を公益信託として、私益信託と区別し、以下74条まで公益信託に関する特則を定めている。

 公益信託は、公益目的のために拠出される一定の財産を対象とする委託者と受託者の間の信託契約により、又は委託者の遺言により成立し、受託者はその引受けについて主務官庁の許可を得ることが必要とされ、許可後はその監督の下に置かれる。

 公益信託は、民法の公益法人と並んで民間公益活動の両輪をなすものであり、奨学金の給付、学術研究助成、社会福祉、まちづくり、国際協力などの公益活動を行っている。
 公益信託以外の信託は、営利を目的とするかどうかにかかわりなく、すべて私益信託とされる。

【シプレー原則】

 「可及的近似の原則」と訳されているが、英米における公益信託に適用される原則で、公益信託において、設定当時以降の社会的事情や法制度の変化によって、設定者の意図した目的が消滅したり、その目的の達成が不可能・不適法となったり、信託終了後に剰余財産があったりした場合、その信託財産はできるだけ設定者の意図に近い目的に使用されるべきである、という原則をいう。

【受託者】

 信託法では、受託者から財産の移転その他の処分を受け、信託行為の定めるところに従ってその財産の管理又は処分をするものをいう。

 信託法では受託者に対して、善管注意義務、忠実義務、自己執行義務など多くの規定を設けているが、公益信託の受託者については別に、信託事務及び財産の状況に関する年1回の公告を義務づけている。

【信託管理人】

 受益者が不特定多数である公益信託にあって、受益者に代わって信託法ないし信託行為に定められた諸権限を行使して、受益者の利益を保護し又は信託の実行を確保するために受託者の職務執行を監督する者をいい、各主務官庁とも行政指導上、必置機関としている。

【特定公益信託】

 公益信託のうち、信託終了時の財産の帰属、財産の種類・運用方法などいくつかの要件を満たすものとして主務大臣の証明を受けたものをいい、法人がこの特定公益信託の財産とするため支出した金銭については、一般寄付金として、損金算入限度額の範囲内で損金算入が認められる(法人税法37条5項)。

認定特定公益信託】

 特定公益信託のうち、学校教育への助成、文化財の保存活用に関する業務への助成など10種類の事業目的のいずれかに合致し、かつ主務大臣の認定たものをいう。

 認定特定公益信託に対す寄付金は、個人の場合は特定寄付金として所得控除が認められ、法人の場合は特定公益増進法人に対する寄付金と同様、別枠で損金算入ができる。また、相続又は遺贈により取得した財産に属する金銭を信託財産にするため支出した場合は、その支出金額には相続税が課されない。