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2006年04月17日


衆議院「行政改革に関する特別委員会」における参考人意見(太田理事長)」


 公益法人制度改革等を審議する「行政改革に関する特別委員会」(伊吹文明委員長)が4月17日、衆議院第一委員会室で開かれ、参考人の意見陳述及び参考人に対する質疑が行われました。公益法人制度改革関係では、公法協・太田達男理事長が出席し、「公益法人制度改革に関する考え方」「本法案に対する評価」「問題点とその解決」について意見を述べました。

 太田理事長は、まず、改革の理念・目的、主務官庁制度、第三者機関、公益法人の規律、税制について当協会の従来からの主張を説明し、次いで「公益社団・財団の認定等に関する法律は、主務官庁制度を廃止する点では、現行制度に比べ大きな前進」と評価した上で、残された問題点もあり詳細について更なる解決策が必要と指摘しました。

 具体的には「公益性の認定と連動した税制の実現」「公益認定等委員会の独立的運営の体制整備」の必要性を強調、また、政省令策定にあたっては民間非営利団体と意思疎通を密にし、「市民活動を萎縮させ団体自治を過度に規制することのない詳細設計」をすることなどを要望しました。

 次いで、各党委員から太田参考人に対し下記について質問が寄せられました。

  ・公益法人制度改革の意義
  ・現行公益法人制度の問題点
  ・具体的な税制上の活動支援措置について
  ・一般社団・財団法人の存在意義
  ・公益法人の不詳事と制度自体との関連について
  ・公益認定等委員会に関連して、「民間」の定義
  ・公益認定等委員会の委員構成、独立性確保

 以下、意見全文です(意見陳述及び質疑の動画ファイルは こちら でご覧いただくことができます)。

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< 参考人意見 >

ただいまご紹介いただきました、財団法人公益法人協会理事長の太田でございます。
 本日の法案ご審議にあたり参考人として、意見を述べる機会を与えていただきましたことに心よりお礼申し上げます。

 以下、お手元のレジメに従って意見を述べさせていただきます。

1 財団法人公益法人協会について

 まず最初に、公益法人協会という財団法人について、一言ご説明させていただきます。

 当協会は昭和47年、一人の民間人が私財を出捐し、設立しました財団法人で、公益法人の健全なる育成発展に貢献し、もって公共の福祉に寄与することを目的としております。

 具体的には、非営利公益組織に関する相談、研修、出版など支援事業、海外事情を含む調査研究事業、ならびに政策提言活動などの事業を行っております。

 公益法人制度改革につきましても、当初から今日に至るまで節目節目で意見を関係方面に提出してきております。

 これらに関連する資料等はお配りしました封筒に入れておりますが、後ほどご覧いただければ幸いであります。

2 公益法人制度改革に関する考え方

 次に、公益法人制度改革に関する、私どもの従来からの主張につきまして、要点をお話します。

 1) 改革の目的と理念

 本来公益法人というものは、民間による民間の、民間のための組織であります。

 従来の制度は官庁による介入支配が余りにも強く、民間による自由な活動が制約されていました。今回の改革の目的は、市民の先見性のある、創造的で、自由闊達な公益活動が今後の日本社会にとってきわめて重要であり、これを支援し、奨励することが目的であり、また、改革の理念でなければならないと主張してきました。

 2) 主務官庁制度について

 現在の制度は主務官庁が設立を許可し、設立後も指導監督するという、他の私法人には殆ど類例を見ないほど、官僚支配色の強い制度です。明治憲法による、まさにお上と下々の関係の下に作られた制度といってよいでしょう。このような制度を役所が乱用した結果官製談合、天下り、不当利得の蓄積、不要不急の補助金支出など、数々の弊害が生じたことは多くの皆様が指摘するところであります。また一方で、市民が公益法人を設立しようとすると、何年間の実績が必要だとか、何億円以上必要だとか、この分野ではすでに他の公益法人があるから重複はだめだとか、定款の案に付きましても枝葉末節な指摘を小出しにされ、それも省庁、局、課によって異なる指導をされる場合があり、善良な市民が疲れ果て、あきらめてしまう事例は枚挙に暇がありません。

 このような主務官庁制度は百害あって一利ありません。すべからく撤廃すべきであると私どもは主張してきました。

 3) 公益性認定に関する第三者機関について

 また、私どもは主務官庁の許可に代わり、英国におけるチャリティコミッションのような、民間有識者からなる、独立した、中立的な公益認定機関を作るよう提言してまいりました。

 また、その認定基準は明瞭かつ具体的に法令で規定し、市民が容易に理解できるような制度にしていただきたいと主張してきました。

 さらに、認定、不認定、取消しなどについては、理由を付してこれを公表することも、制度の公平性、透明性を担保する重要な仕組みと考えております。

 4) 公益法人のガバナンス(規律)について

 新しくできる公益法人制度は、基本的には団体自治が尊重され、自己責任の下で、自立的な運営ができる仕組みでなければなりません。

 しかし、一方で寄付者、ボランティア、受益者、そして納税者でもある市民から信頼される組織でなければなりません。すなわち、あのような立派な団体なら寄付をしよう、ボランティアとして協力しよう、税制支援も当然だと思っていただけることが必要です。そのためには、情報公開などを通じて透明性が高く、しっかりした規律を具備しなければなりません。つまり、市民に対する受託者としての社会的な責任を、まっとうできる組織でなければならないと考えてまいりました。

 また、市民の信頼を裏切るような行為があった場合は、認定取消しなど厳正な処置を機敏に対処できるシステムの裏づけも必要となってまいります。

 5)公益法人と税制について

 次に税制でありますが、そもそも民間公益活動は他人を愛するいわゆる利他主義と何の代償も求めない奉仕の精神がその基本にあります。その活動は福祉、環境保全、青少年教育、学術振興、人権擁護、国際協力、文化芸術などおよそ人々が必要とする社会の各分野にわたっております。 このような民間が担う公益の活動には税制による国の支援が不可欠であります。特に寄付税制について言えば、公益活動における先進各国は、出来るだけ市民に寄付してもらおうという税制であるのに対し、日本はなるべく市民に寄付させないように作られている税制なのではないかと疑いたくなります。

 米国の寄付優遇公益団体100万、個人の年間寄付金が23兆円に対し、わが国では公益法人25,600のうち、特定公益増進法人制度の適用を受けているものは僅か900余り、同じく25,000強のNPO法人も、認定NPO法人制度の適用を受けているものは何と40程度、個人寄附金はすべてを合計しても2千億円強*と、彼我の差に溜め息をつくばかりです。

 私どもは、このような実情に鑑みて、公益法人に対する抜本的な税制支援を検討していただきたいと主張してまいりました。

3 本法案に対する評価

さて、このような提言を続けてまいりました私どもといたしまして、今回、本委員会でご審議をなさっておられます公益法人制度改革3法案を、どのように評価しているかということを次に申しあげます。

 本法案、とくに公益法人に取りまして中核となる公益社団・財団の認定等に関する法律は、主務官庁による法人設立の許可制と、設立後の指導監督という、いわゆる主務官庁制度を廃止する点では、現行制度に比べ大きな前進と評価します。

ただ、新公益法人のガバナンス等運営のルールや、認定機関と認定要件の設計については、市民の団体自治を極力尊重し、民間公益活動を活発化させようという視点からは、なお、問題点や不十分な点があり、詳細について更なる解決策が必要かと考えます。

4 問題点とその解決

 それでは、私どもが問題と考える点は何か、これを最後に申し述べます。

 1) 税 制

 先ず、税制でありますが、本来新しい制度を作る時、その税制がどのようになるのかということがわかりませんと、その制度の総合的な良否を判断することは困難であります。

 本委員会でも税制に関する質疑が繰り返し出ており、政府答弁にありますように、まず制度が出来て、それにふさわしい税制を検討することが、ことの順序であるというお考えは、それなりに理解は出来ますが、私ども現に民間公益活動に日夜従事している者や、これからこの制度を利用して、公益活動をしようという市民にとりましては、税制を切り離しては最終的な評価が出来ないのであります。

 今後の社会において、非営利公益セクターが果たす役割はきわめて重要であり、心豊かで美しい、そして品格のある日本の社会を作るための一翼を担う組織として、新しい公益法人に対する期待は大きいと考えられます。

 公益認定等委員会が、真に民が担う公益活動に専心する法人であり、かつ、しっかりとした規律要件を備えていることを認定される以上、寄付金による民間の資金、民間の智恵、そして民間の活力が存分に社会において生かされるよう、国としても法人税制ならびに寄付税制両面から力強く支援することをぜひお願いいたします。

 幸い、昨年6月政府税制調査会基礎問題小委員会は、寄付税制について立派な報告書を発表しています。第三者機関が認定した公益性のある非営利法人は原則非課税、これに対する寄付金は寄付金控除・損金算入の対象とする、相続財産寄付についても同様の方向で考える、有価証券など現物寄付に関わるみなし譲渡所得税も見直すとの内容と理解しております。どうかこの考え方を基本にできるだけ早く詳細をご決定頂きたいと考えます。

 2)公益認定等委員会

 新制度の柱となるものは公益認定等委員会であります。この委員会の委員は、当然公益活動に十分見識のある民間の有識者から起用されるものと理解しておりますが、事務局の構成も大変重要な課題であります。この事務局が、現主務官庁からの出向者で構成される、寄り合い所帯では何のことはない、主務官庁制が形を変えて温存される結果になりかねません。少なくとも事務局の主要幹部は民間人を登用し、認定委員会委員長はじめ委員が名実ともに事務局の指揮命令権をもち、民間の公益活動を発展させるという視点に立って、透明性の高い運営がされるよう詳細設計をお願いします。なお、各都道府県に作られる委員会についても、同様の配慮が必要であることを付言します。

 3)政省令について

 新制度の組織要件や・運営ルールが新会社法の影響を受けてか、余りにも過剰で重装備ともいえる部分があります。たとえば、一般社団・財団法では設立時の役員の選・解任や、設立時役員の責任、また諸機関の運営ルールなどを事細かに定めており、一般市民にとっては到底理解不能と思われる規定があります。公益法人と一口に申しましても、大きな法人もありますが、総務省の公益法人白書によれば、常勤役職員が3名以下の小規模法人が全体の半分を占めております。このような法人にとりましては、余りにも負担の大きい煩瑣な手続き規定であります。

 また、公益性認定要件や財務的基準の中にも一部機械的に適用すると、立派な公益的な活動を行っている団体についても、排除されてしまう危険性のある規定が含まれております。たとえば、公益目的事業比率、遊休財産額の算定、収入が適正な費用を上回ってはならないとする収支相等の原則などであります。

 公益法人制度改革3法案を合計しまして、政省令に委任しております箇所が200箇所以上ありますが、これらの政省令を今後お作りになる場合、上記のような問題点を極力除去するよう、実際の実務を行っております公益法人界など民間非営利団体と意思疎通を充分にされ、立案に当たっていただくよう要望します。

 以上の3点を本委員会がご配慮され、付帯決議により確認し、さらに一定期間後の見直しを図る措置をご検討いただくよう強く要望します。

 私ども非営利公益セクターに身を置く者としましては、110年ぶりに現行制度が改正され、新しい制度が発足するこの機会に、改めて身と心を引き締め、この法律の目的にもありますように、「民間の団体が自発的に行う公益を目的とする事業」に専念する所存でございますので、どうか引き続き、今後のご支援ご指導をお願い申し上げる次第でございます。

 これで私の意見陳述を終わります。ご静聴ありがとうございました。

以 上