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2004年09月11日


「公益法人制度の抜本的改革に関する制度設計について」(提案)


 (財)公益法人協会は9月11日、内閣官房行政改革推進事務局あて「公益法人制度の抜本的改革に関する制度設計について(提案)」と題する意見書を提出するとともに、同日、東京・丸の内の東京商工会議所で開催された「市民セクター全国会議2004」で発表しました。

 ご高承のように「公益法人制度改革に関する有識者会議」が最終的な調整へ向けて9月半ば、再開される見通しです。公法協では、これまでにも4回にわたり意見書を提出してきましたが、今回の意見書は、同有識者会議の再開を前に改めて現在までに明らかになっている政府案の主要項目に関して意見を述べたものです。

 意見書は、大きく「全般的意見」と「個別的意見」の二つからなり、「全般的意見」では基本的な考え方を、「個別的意見」では政府案の個別項目に関する考え方を述べています。要点は次のとおりです。

(全般的意見)

 当協会では一貫して、公益性のある非営利法人と(公益性の認められない)一般の非営利法人とを、法人設立の段階で区分するよう強く求めてきた。

 およそ、法人の規律や機関のありかたは、その法人の目的、事業などの性格によって異なるからだ。すなわち、公益を追求する公益法人は広く社会に開かれ、透明性と規律の高い組織であり、その他の非営利法人は構成員の共益または私益を追求するいわば閉鎖的な組織であるため、法人法制としてはこれを区分することが不可欠と考える。

 一方、政府基本方針は、剰余金を分配しないいわゆる非営利という法律技術上の共通点にのみ着目して、公益性のある法人も、ない法人も法人格として一本化するというもの。この基本構想が孕む矛盾や問題点は日を追って明確になってきている。

 民間公益活動を奨励し、支援し、活発化させるために、公益活動に貢献しようとする市民に国としてどのような制度を提供するべきかという原点に戻り、既定の方針の是非も含め、再度検討することも必要ではないかと提案する。

(個別的意見)

1 非営利法人制度について

(1) 残余財産の帰属

 残余財産を分配できる法人と分配できない法人の2類型に分け、後者から前者への変更を禁ずること。

(2) 非営利財団法人

 公益性のない非営利の財団法人制度創設は弊害が予想され反対。

2 公益性のある非営利法人制度について

(1) 公益性を取扱う仕組み

 公益性のある非営利法人の要件、規律、法的効果等は民法ないし新たな非営利法人法で規定すること。税制で取扱うことは論外。また、公益性判断の法的効果の一つとして、公益性の判断を得た法人とそうでない法人を明確に区分し、これを法人登記上に反映させること。

(2) 公益性の判断要件

 事業(活動分野)についてはできる限り具体的に列挙し、裁量の余地が極力少ないものとすること。また、時代の変化等に機敏に対応するためには、類似事業も可とする包括条項を設けること。

(3) 規律と事後チェック

 一般の非営利法人に比べ、厳格な内部規律と情報開示による透明性・説明責任を明確にする。事後チェック機関および外部関係者からのチェックについても、効果的な仕組みを検討すること。

(4) 公益性の判断主体

 行政からの中立性、独立性確保の見地から、行政委員会とすること。委員は民間人から起用、事務局も弁護士、公認会計士、公益法人実務家ら民間人を多用、民間色の強い機関とし、事後チェック機能も持つ。

(5) 今後の細部の検討は民間で

 公益性の判断基準やガバナンス・情報開示など個別的事項の詳細ルールについては、実情と問題点を良く知る立場にある、公益法人実務家、弁護士、会計士ら民間人からなるスタディグループに検討を委ねてはどうか。

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平成16年9月11日 財団法人 公益法人協会 理事長 太田 達男

公益法人制度の抜本的改革に関する制度設計について (提 案)


 貴事務局におかれては、本年末までを目途に掲題に関する基本的枠組みを具体化するとの「基本方針」(平成15年6月27日閣議決定)に従い、各方面から寄せられている各意見の調整と最終的な事務局草案の作成に向けて鋭意準備を進めておられるものと存じます。

 当協会では、平成14年9月の『「公益法人制度の抜本的改革に向けて(論点整理)」に関する意見書』を皮切りに、平成15年2月、平成15年6月、平成16年5月と4回にわたり、貴事務局における検討作業の節目ごとに詳細な意見書を提出してまいりました。

 しかしながら、今までに政府より公表された資料等から判断する限り、見解の相違する点も残されており、現時点で改めてこれらを整理し、下記のとおり意見を申し述べることとします。

 有識者会議はもちろん、事務局内部においても本意見書に述べられた論点を十分議論され、結論を出していただくよう要望します。

Ⅰ 全般的意見

 当協会では一貫して、公益性のある非営利法人と(公益性の認められない)一般の非営利法人とを、法人設立の段階で区分するよう強く求めてまいりました。

 およそ、法人の規律や機関のありかたは、その法人の目的、事業などの性格によって異なるからです。すなわち、公益を追求する公益法人は広く社会に開かれ、透明性と規律の高い組織であり、その他の非営利法人は構成員の共益を追求するいわば閉鎖的な組織であるため、法人法制としてはこれを区分することが不可欠と考えるからです。

 「わが国社会を活性化する観点から、民間非営利部門による公益的活動が果たす役割は極めて重要である」というのは政府も含め共通の認識ですが、民間公益活動は市民の信頼に基づく支援が大前提です。

 すでに中間法人においては実質的に営利法人と類似するもの、財産の独立・保全のみを目的とするものなども含めて様々な非公益目的の法人が設立されておりますが、公益性の有無により法制を区分しないことにより、このような公益性のない法人の一部に対する市民の芳しくない評価が、公益性のある法人に対する不信感にまで増幅されることを強く懸念します。

 しかし、政府基本方針では公益性の有無に関係なく、剰余金を分配しない、いわゆる非営利という法律技術上の共通点にのみ着目し、同じ非営利法人という法人類型に包含することを前提として検討作業を進めてきました。この基本構想が孕む矛盾や問題点は日を追って明確になってきております。非営利の法人を一括りにするとしながら、特別法に基づく広義の公益法人(社会福祉法人、宗教法人等)は当初から対象外とし、また、特定非営利活動法人も各方面から疑問が呈されるや当面対象外とし、反面平成14年4月に施行されたばかりの中間法人制度については吸収する方針を打ち出すなど、新しい非営利法人制度の意義が不明確になっています。また、非営利法人の一般法としての位置づけも意識するためか、残余財産の帰属、拠出金制度、非営利財団制度などおよそ、講学的に見た法理論の整合性が重視され、そのような制度が公益性のある非営利法人の制度設計や税制にどのような影響を生じるかという観点からの配慮が希薄であると考えます。また、公益性を喪失した場合の財産帰属をどう考えるかという点も極めて難問です。

 政府におかれては、民間公益活動を奨励し、支援し、活発化させるために国としてどのような制度を市民に提供するべきかという原点に戻り、既定の方針の是非も含め、再度検討されることも必要ではないかと考えます。

 以下、有識者会議又は同非営利法人ワーキンググループに提出された資料として、内閣官房行政改革推進事務局ホームページで公開されている次の資料*に記述される制度案の主要項目について、当協会の意見およびその理由を記します。

* 「全体的討議用メモ」(7月15日資料。以下引用する場合は「全体メモ」と略)
  「個別事項討議用メモ」(同前。同「個別メモ」)
  「非営利法人制度の創設に関する試案(その3)」(9月3日資料。同「試案」)

Ⅱ 個別的意見

1 非営利法人制度(社団法人)

1)拠出金制度について(「全体メモ」p.1、『試案』p.17~20)

 下記条件付で賛成する。なお、この条件の下における拠出金制度の存否は公益性判断には影響しないと考える。

  条 件

  1 拠出金の拠出義務を社員の資格とできないこと

  2 議決権の個数を拠出金額に応ずることはできないこととすること

  3 付利はもちろんいかなる名目でも拠出者に財産的利益を与えないこと

(理 由)

 社員資格と拠出義務の連動ならびに議決権の個数と拠出額の連動は出資に実質類似することとなり、非営利性を希薄にする。また、利息禁止だけでなくこれを潜脱する財産的利益供与も禁止するべきである。

2)残余財産の帰属について(「全体メモ」p.2、「試案」p.21~22)

 残余財産を社員に分配できる法人と残余財産を一切社員に分配できず、同種の公益組織・国・地方公共団体に帰属させるタイプの法人に類型を分け、後者から前者への変更を禁ずること。

(理 由)

 残余財産非分配が絶対条件である公益性のある非営利法人が公益性を喪失(もしくは返上)した場合、社員総会の決議により社員等への私的分配が可能となれば、このような変更は寄付者を含む一般市民への背信行為であり、ひいては公益性のある非営利法人制度への信頼を低下させるため。

3)会計帳簿等(「試案」P.3)

 総務省公益法人会計基準検討会で現在検討中の「新会計基準」の採用につき、別途調整を図ること。

(理 由)

 現在総務省では(1)企業会計の手法を可能な限り導入することにより財務情報の透明化をはかり事業の効率性を分かりやすく表示(2)寄付者など資金提供者の意思に沿った事業運営を会計上明らかにし法人の受託責任を明確化(3)自律的運営を尊重し外部報告目的の財務諸表を簡素化するとの基本的考え方のもと、「公益法人会計基準(昭和60年改正)」の大改正を検討している。新しい非営利法人の会計についてはこの新基準採用を基本方針として考慮していただきたい。


2 非営利法人制度(財団法人)

1)非営利財団法人について(「全体メモ」p.2、「試案」p.22~35)

 公益性のない非営利の財団法人制度創設に反対する。

(理 由)

 公益性を要件としない財団法人を認めた場合、起こりうる弊害として、「試案」(p.23)にも述べられているように、租税を含む債権者詐害、相続法秩序との抵触、財産凍結による私財の効率的活用の阻害などが強く懸念される。また、そのため公益性のある財団法人にまで国民の疑惑が及ぶことを憂慮する。

 一方、非営利財団に対する社会的なニーズは一般的とはいい難く、公益性のある財団法人との法的均衡をはかることと、ごく例外的な活用予想事例を根拠に弊害が予想される制度を創設することには反対せざるを得ない。

2)基本財産の処分の制限(「全体メモ」p.2、「試案」p.25)

 基本財産の処分は基本的には内部自治の問題である。つまり出捐者の意図した事業の継続性・健全性と財務の健全性とのバランスの上で、法人が自ら判断し処分の可否を決定するべきである。ただし、処分に至る事由や意思決定手続き等について、内部規律の基本原則を定めることについては異論はない。

3)評議員会と理事会の関係について(「全体メモ」p.2、「試案」p.26~30)

 評議員(評議員会)を必置機関とすることに異論はないが、設立者の意思を補完する最高の議決機関は理事会とし、評議員会は理事(理事会)を牽制し監督する機関と位置づけること。評議員会の具体的な議決事項等について一案として次のように提案する。なお、評議員の選任・解任は理事会において行う。

 ○固有の権限

  理事・監事の選任

 ○理事会以外に議決を要する事項

 寄付行為の変更、事業の全部譲渡、合併、組織変更、解散、基本財産処分の決議ならびに寄付行為において評議員会の議決を要すると定めた事項。

 ただし、理事会の決議と異なる決議をした場合、両機関で協議しなければならない。協議後もなお意見が異なる場合は、理事会の決議を優先する。

 ○理事等が報告しなければならない事項

 評議員会は事業計画・予算および事業報告・決算ならびにその他重要な事項について理事ならびに監事より報告を受け、これに対して意見を述べることができる。

(理 由)

 財団法人においては、基本財産出捐者の意思が基本的には動かしえない最高の規範として寄付行為に化体されているので、時々の意思決定を必要とする社団法人における社員に相当する機関を本来創設する必要はない。

 時代や環境の変化に応じて出捐者の意思を補完する重要な意思決定を行う機関は、法人を代表し、法人および第三者に対して責任を負う機関である理事(会)がもっとも相応しい。ただし、理事会に意思決定および執行権限が集中するため、何らかの牽制監督機能を持つ機関を監事以外に設けることは必要である。

 評議員会はこのように法人内部のガバナンス機能を確立し、理事会に対する牽制と監督機能を持つ機関として位置づけることが妥当と考える。


3 公益性のある非営利法人制度について

1)公益性を取り扱う仕組み

 公益性のある非営利法人の要件、規律、法的効果等は民法ないし新たな非営利法人法で規定する方針を貫徹されたい。3月31日付「議論の中間整理」では税制で取り扱う考え方が併記されており、その後の議論は民事法で取り扱うことを前提として整理されているが、税制で取り扱うことは不適当であることを明確に結論とされたい。

(理 由)

 法人の要件、規律、税制を除く法的効果等を税制で定めることは論外と考える。

2)法人類型と法人登記

 公益性判断の法的効果の一つとして、公益性判断を得た非営利法人は得ていない非営利法人と法人類型を明確に区分し、これを法人登記上反映させること。

(理 由)

 第三者から見て、法人の類型を識別できる最も基本になる法的文書は登記簿である。

したがって、登記簿において公益性のある非営利法人であることを示す事項(公益性認定取得日、認定機関、情報公開の方法その他公益性のある非営利法人に求められる特別の規律)を記載する必要がある。

3)公益性判断要件

 (1)事業(活動分野)(「全体メモ」p.4、「個別メモ」p.3~4)

 事業は出来うる限り具体的詳細に列挙し、これに該当しないものについては、類似事業を含める包括条項(アナロジー条項)に基づき、認定機関が個別に判断することとすること。

 また、公益的事業の割合、収益的事業利益の公益的事業への使用、営利競合の排除を判断要件とする場合、事業内容や事業規模等による合理的な個別事情を考慮しうる弾力的な基準とされたい。

(理 由)

 事業を具体的に列挙しないか、少数の一般的例示にとどめる場合(考え方B)、認定機関の裁量の余地が相対的に大きくなり、現行制度における設立許可主義の弊害をなくすという、所期の改革目的に結果的に反することとなる。また、具体的列挙主義に対する批判として、時代変化等に機動的に対応できないという見解に対しては、アナロジー条項で十分対処できるものと考える。アナロジー条項による公益性認定は認定機関の裁量の及ぶところとはなるが、考え方Bにおける裁量の余地よりははるかに小さくなる。

 次に、公益的事業の割合、収益的事業利益の公益的事業への使用、営利競合の排除などについては、公益性を示す要素としては理解できるが、一律的数値基準等で表現し認定基準とすることは弊害が多いと考える。事業内容や事業規模による合理的な個別事情を考慮できる取扱いが必要である。

(2)判断要件(規律)(「全体メモ」p.4)

 「全体メモ」が規律にかかわる要素として示す下記ア~キの7項目については、考え方として理解できる。ただし、ウを除く要素については画一的・硬直的な取扱いとならないようさらに詳細を慎重に検討されたい。また、エについては現行の内部留保の考え方、算式等には極めて問題があり、学識経験者の見解を徴した上で合理的な考え方とされたい。

 ア 役員構成について同一親族の割合を制限する等の所要の規定

 イ 不当な役員報酬規制

 ウ 残余財産の構成員への帰属を不可とする

 エ 過大な内部留保を規制する

 オ 管理費の総支出額に占める割合制限

 カ 公益的活動を行うための財産的基盤の必要性

 キ 営利企業支配のための株式保有制限

4)適正運営の確保のあり方

(1)ガバナンスのあり方(「全体メモ」p.5)

 「全体メモ」の示すように、内部機関のありかた、法人や第三者に対する役員の責任明確化、一定規模以上の法人への外部監査の必要性等については基本的に賛成する。また、寄付者・ボランティアや受益者に対する役員の義務を法律的に明確にする信認法理の考え方を導入するべきである。

 この場合、第三者から役員の義務違反にかかわる責任追及の方法として、代表訴訟については国民一般にまで広げることには反対する。寄付者についてはこれを認めるが、訴訟提起について寄付金額等合理的な制限を設けること。

 また、監査請求については代表訴訟、事後チェック機関への通報・苦情処理制度を含めて行使の順序等について総合的に検討すること。

 なお、これらのガバナンスおよび後記情報開示の仕組みについては、小規模法人に過大な財政的・事務的負担を生じさせないよう配慮されたい。

(理 由)

 当協会としても、公益性のある非営利法人のいわゆるガバナンスは、一般の非営利法人に比べ相応に厳しく重いものとして構築するべきであると考えている。

 また従来、理事の責任が法人との委任関係で考えられていたことから、内部的な牽制・監督機能が働かない場合、実効性のある責任追及に限界があった。その点で、寄付者、ボランティア、潜在的受益者、納税者などを広い意味での利害関係者として捉え、それらの人々も意識した善管注意義務や忠実義務などを明確にする信認法理的考え方を取り入れるべきと考える。

 ただし、濫訴による弊害を防止することが不可欠で、外部による代表訴訟適格は寄付者に限り、かつ寄付金額等による制限が必要と考える。

(2)情報開示のあり方(「全体メモ」p.5)

 情報開示についても現行指導監督基準による開示範囲に加え、理事会等議事録、公益性判断基準にかかわる項目および国地方公共団体からの補助金・助成金にかかわる情報等を追加する方向で検討することを支持する。ただし、プライバシー保護には十分に配慮すること。

 また、開示方法についても米国のようにインターネットで公開する場合には、閲覧、コピー交付を免除する取扱いを含め前向きに検討されたい。

(3)事後チェックのあり方(「全体メモ」p.6)

 事後チェック機関による定期的な報告書受領、報告聴取、立入検査、業務改善に関する勧告・命令ならびに一定の期間内に改善されない場合における機動的な公益性認定取消等は、有効な事後チェック手段と考える。

 また、国民による通報についても積極的に対応する仕組みが必要と考える。ただし、乱用を防止する歯止めについてもあわせて検討すること。

 これらの仕組みにより機動的な対応策が制度的に設けられれば、更新制度は無用と考える。

 なお、事後チェックを担当する機関は公益性認定機関とすることが効率的である。

4)判断主体のあり方(「全体メモ」p.6)

 具体的な公益性認定機関としては、行政からの中立性、独立性確保の見地から行政委員会とするべきである。委員は全員民間有識者から起用し、また事務局においても弁護士、公認会計士、公益法人実務家など民間人を中心に運営し、実務面においても独立性が強く民間色の濃い組織を検討すること。なお、行政委員会を簡素な組織として、その下に純民間組織が実務を担当するハイブリッドな仕組みについても、上記案と並行して実現可能性について検討してはどうか。

 また、各都道府県ごとに中央と同一性格の判断機関を設けること。


4 現存公益法人の移行について

1)原則として、一定の経過期間中すべての現存公益法人について新制度における公益性のある非営利法人とみなすこととする。経過期間後は通常の判断基準により公益性の判断を行う。ただし、経過期間中であっても希望により通常の判断基準による公益性の判断を求めることができる。

2)現行公益法人が特別法による公益性のある非営利法人に移行を希望する場合で、かつ移行先法人の設立要件を充足するときは、移行を認める法制的措置を講ずること。

3)移行に伴う組織変更(社団法人・財団法人間)、合併、分割について必要な法制的措置を講ずること。

(理 由)

 新制度施行直後の混乱を避けるために、周知期間および新制度への対応準備期間として一定の(3年程度が妥当か)経過期間を設け、この期間中は公益性を保持しているものとみなす措置が必要と考える。また、経過期間満了時における判断手続き集中を避けるため、経過期間中であっても判断を求めることができることとする。

 現行公益法人の中には、NPO法人、学校法人、社会福祉法人など特別法による公益性のある法人に移行を希望するものが出てくることも想定される。現在公益法人からこれらの法人への移行規定はないが、移行先法人の設立要件を充たす限りこれを認めることが必要と考える。

 また、移行を契機に社団・財団間の組織変更や合併、分割などを考えることも想定される。

 公益法人制度の抜本的改革に伴う現存公益法人の多様な動きについては、出来うる限り柔軟かつ積極的対応をされるようお願いしたい。


5 今後の詳細検討方法について

 公益性判断基準や適正運営確保のためのガバナンス・情報開示の詳細なルールについては、年末までにすべて詰めきることは実際問題として難しいのではないかと予想される。また詳細なルールについては現状の把握と新ルールによる影響を十分調査研究する必要があろう。したがって、年末までに固まることが予定されている「基本的枠組み」を前提に、別途公益法人実務家、弁護士、会計士などから構成されるスタディグループを組織し、短期間集中的に検討させ、報告書を行政改革推進事務局に提出させる方法も一考の余地があるのではないかと考える。

6 公益信託制度の改正について

 現行公益信託制度は公益法人同様、主務官庁による許可・指導監督制度の下に運営されている。したがって、公益法人制度を抜本的に改正する以上、公益信託制度だけを現行のまま放置することに合理的理由を見出すことは困難である。

 現状、有識者会議および行政改革推進事務局が公益信託制度改正まで詳細を検討することは物理的に不可能とすれば、最小限改正の必要性を報告書ないしは年末までに発表が予定される公益法人改革の「基本的枠組み」に加えることとし、近々信託法改正について諮問される予定と聞く法制審議会に詳細検討を委ねることも一方であろう。

以 上

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