« 制度改革に関する「緊急報告集会」を開催 | メイン | 公益法人制度の抜本的改革に向けての意見集約 »

2003年05月17日


「"公益"とは何か」市民シンポジウム《報告》


 平成15年5月17日(土)、「公益」とは何かを考え、その正しい法制度改革を進めるための市民シンポジウムが、東京・芝浦で開催されました(主催・さわやか福祉財団、公益法人協会、高齢社会NGO連携協議会)。

 当日は公益の問題に詳しい専門家や非営利活動を実際に行っている14人の方々にご登壇いただき、さわやか福祉財団理事長・堀田力氏の進行のもと、大きなテーマ毎にプログラムを3つのセッションに分けて、現在の行政の動きの説明や「公益」の具体的な考え方、そして公益活動を行う団体に対する税制の在り方などを議論しました。

 シンポジウムは休憩を挟んで全体でおよそ7時間15分という長丁場でしたが、それぞれの立場から時に行政に対する厳しい注文や登壇者間等でも質問が飛び交うなど白熱した議論が進み、また200名の参加者で埋まった会場からも随時質問や意見が寄せられました。

 以下、さわやか福祉財団のご厚意により、同財団がとりまとめたシンポジウム要旨を掲載します。


--------------------------------------------------------------------------------

 シンポジウムの目的

 市民が市民のために、生き生きと活動し、豊かな成果をもたらすような公益法人制度にするために、制度づくりのキーとなる「公益」の客観的定義について、大筋の合意を得ること。

登 壇 者 (五十音順)

  雨宮 孝子氏  松蔭女子大学経営文化学部教授
  石川 睦夫氏  (財)住友財団専務理事
  石村 耕治氏  白鴎大学法学部教授
  伊藤 道雄氏  (特)国際協力NGOセンター常務理事
  入山 映 氏  制度改革懇談会委員・(財)笹川平和財団理事長
  太田 達男氏  制度改革懇談会委員・(財)公益法人協会理事長
  金沢 俊弘氏  (財)キリン福祉財団常務理事
  田中 皓 氏  (財)損保ジャパン記念財団専務理事
  松原 明 氏  シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長
  濱口 博史氏  濱口博史法律事務所・弁護士
  浜辺 哲也氏  公益法人改革オンブズマン
  林 雄二郎氏  (社)日本フィランソロピー協会会長
  山本 正 氏  (財)日本国際交流センター理事長
  大和 滋 氏  (社)日本芸能実演家団体協議会事務局長

進行・問題提起/論点整理

  (財)さわやか福祉財団理事長 堀田 力

--------------------------------------------------------------------------------


プレゼンテーション(13時20分~13時40分) 

堀田 力 氏


 公益法人をどう改めるべきかは国民に大きく関係する改革の話であって、まさにこれからの日本を行政の手でつくっていくのか、市民の手でつくっていくのか、今がその分かれ道になっています。そんな重要なことにもかかわらず、今、国民にはまったく見えないところで議論が進み、結論が出ようとしているわけです。今は表面的には行政側はぴたりと動きをとめて政治側に任せている姿にしていますが、その背後には、行政の知恵が入っているのは間違いありません。一刻も早く私たちが私たちの立場で、非営利法人の有るべき姿を見せ、私たちの案を出さないと一方的に決められてしまいます。政府・行政の案が出た後で反対反対といくらいっても大きく変えることは不可能になります。

 そこで本日お忙しい中ですが、こうしたシンポジウムを持ち、「公益とは何か」についての案、「公益法人はどうあるべきか」についてなるべく具体的に議論をし、それを今後の提言に生かしていきたいと考えています。

 「公益とは何か」(同日配布資料より)○「公益」について、法律上直接その概念を定義しているものはない。○NPO法では、「特定非営利活動」について、「別表」に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数の利益の増進に寄与することを目的とするもの」としている(第2条第1項)。○「民法では、公益法人の設立について、「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノ」は主務官庁の許可を得てこれを法人とすることができるとしているが(第34条)、「公益」についての定義はない。○なお、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定)において「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とする」とされている。


--------------------------------------------------------------------------------


第1セッション(13時40分~15時40分)

「公益」と「私益」及び「共益」との区分けについて

【ポイント】

 1.「私益」と区別するための「多数の利益」という定義について。たとえば、難病患者(特定個人)の治療費のための一般募金活動は「公益」活動か。 ①特定個人の利益が「公益」になる場合があり得るのか。それはどんな場合か。それは何故か。 ②多数か否かで、何故「公益」と「私益」が分かれるのか。少数とはどんな場合か。 ③「多数の利益」以外に、公益と私益を区分する基準があるか。その基準は明確か。

 2.「共益」と区別するための「不特定の者の利益」という定義について ①たとえば、「会員」「業界団体」「職能団体」「中間支援団体」「宗教団体」「学会」、これらは「特定の者」か。 ②たとえば、JAF、カラオケ愛好会などのようなものの会員の「利益」とは何か?    

<「公益」と「私益」との区別について> (以下、○は登壇者の各意見)

○ 私益と公益は哲学論争になると切りがないので、税制上の奨励措置、それを与える機関、そのカテゴリーをどう決めるのか、それに限っての回答だが、まず構成員で分配しているものは私益であろうと。それとマトリックスで示せば、たとえば受益者が限定か一般か、構成員が限定か一般か、その4つのマス目で考える。そういう具体的な議論、あるいは数字などを見せることが重要。そうすれば官僚の裁量が入る余地がなくなる。

○ 話の前提として、政府は本来事業に課税しないというのも支援措置と考えているが、私は本来事業への非課税は当然のことと思う。

○ 私益と公益との違いは、収益を分配するかどうか。共益と公益の線引きには不明確な部分が残るだろう。非営利の法人であるから非課税というのは賛成。任意団体の時は非課税で法人になったらすぐに課税されるというのはおかしい。

○ 「不特定多数」という言葉が私は引っかかる。世の中は絶えず動いているということが見逃されている。今は特定少数でも明日は不特定多数になるというものも数多くあるが、役人はそこが分からないから問題が起こる。

○ 国際協力を行うNGOでは特定少数という場合が多い。特定の国や地域の、特定の受益者に奨学金などを出すプロジェクトを行うが、それは他者のためであり、私益のためではない。それで公益活動をしているという自負心がある。従って、他者の利益を図るもの、また、本来政府の機能を縮小するような活動が公益と考えることでどうか。

○ 難病の特定個人への公益を考える場合、定款などに、ある一定の人を扶助するとしておけば、結果としてある時点では一人であっても潜在的な受益者は不特定多数であると見ればよい。しかし特定性、限定性などは今のマトリックスだけでは割り切れないのではないか。

○ 限定的であるか一般的であるか、マトリックスですべてが明快になるとは当然思っていない。しかしそれを意識してやることにこそ価値があると考える。

○ NPO法導入の時も、最終的に「不特定多数」については、行政と議論して、かなり変わった解釈で導き出した。不特定多数の利益というのは、不特定かつ多数の利益ではない。「不特定多数」で一語、つまり特定されてなければいい。誰でも入れる開かれた居酒屋で、結果としてお客さんは一人でも、それは不特定多数と考える。こういう議論が国会でなされた。

(進 行)
 会場の皆さんにいくつかの事例をお尋ねします。挙手してください。

 ①特定の難病の個人に、その人の同窓生が寄付を集めた。その寄付についての優遇措置について賛成か?(8名程度)

 ②その人の病気がたとえばSARSであった。受益者は一人だが他に伝染する可能性がある。その場合に同級生が寄付する、それに優遇措置を認めるかどうかについて賛成か?(ほぼ同数くらい増加)

 ③一人の難病を救いたいと、まったく関係のない多数の他人が記事を読んだりして寄付をした。その寄付の支援措置について賛成か?(約3倍)

 ④それが特定の個人のSARSである場合について賛成か?(さらに増えて会場の半分超)

 ⑤他に広がる可能性があろうとなかろうと、受益者ひとりへの寄付税制について反対か?(5名程度)

(会 場)
 最高裁で公益の判例や明瞭な外国の例があれば教えてほしい。

○ イギリスでは、4種類の公益を挙げていて、今それを改正して10種類にしようとしている。アメリカは8種類。抽象的であればあるほど最終的には国に裁量権を与えることになるので、これらも参考にしながら、日本でもできるだけ細かく該当させるものを拾っていく努力が必要。

(進 行)
 最高裁では、公益と私益についての明確な判例はない。「不特定人」3名で「不特定多数」とした判例はある。


<「公益」と「共益」との区別について>

■不特定とは何か? ロータリークラブはどうか?

○ この種の問題は極めて曖昧模糊としている。非営利という言葉一つ取っても、ある財団法人の理事長の給料はいくらが妥当かなどわからない。だからこそそれをオペレーショナルに定義していくことが大事。ロータリー、ライオンズクラブは1業界1名だけとしているが、しかし、会員でない人にも奨学金を出している。それを限定と考えるか否かで違ってくる。

■学会はどうか? たとえば公益法人協会は公益法人という特定の団体のものなので、共益ではないかという考え方についてどうか?

○ 直接的な公益だけはなく、間接的な公益をどこまで広げて考えるかだ。間接的な公益を極めてストリクトに見れば公益法人協会は共益法人といえるかもしれないが、そもそも公益とは何かということ自体、いくつかに分類すべき。

公益法人が支援措置を得る要件として、3つを挙げたい。まず組織の目的、つまり分配しないこと。次にその事業の中身、そして3番目に肝心なのが組織要件。運営が杜撰であったり暴力団がやっている団体では困る。現在具体的に勉強会も立ち上げたので、この公益法人制度改革に何とか間に合わせたい。

(進 行)
 直接的なサービスでなければ公益ではないという人は恐らくいないのではないか(会場同意)。

○ 芸術や科学の分野で考えれば、たとえば、非常に限られた一つの専門性・芸術提供で、かなり専門家である限定構成員が集まって、しかし、芸術が社会に成り立つ基盤をつくるためなど、社会に広く行う公益性というものもある。芸術というのは多数より多様を維持するのが大事。社会に多様な価値観を維持する。その意味で間接性という面を十分に考えていただきたい。

■JAFはどうか? 限定会員の共益か、公益か?

○ 私益、共益、公益、区分けの基準はまず非営利であること。もう一つ、活動そのものが社会全般の福利向上につながっているか、その活動がもっぱらであるかどうか。JAFというのは昔は社会全体の福利があったかもしれないが今は保険のようなもの。時代時代に社会が判断すればよい。たとえば、イギリスに準じて、第三者機関のようなもの。できるだけ客観的に書かれた法律で客観的に判断できるようにしたい。

○ 身内が身内のためだけにやっている良いことに税制上の利益を与えることは難しい。しかし、JAFは会員だけのサービス提供ではあるが、そこに安全運転キャンペーンをすれば、反射的利益が得られる。

○ 不特定多数の考え方は柔軟でよいのではないか。要は限定されていなければ不特定多数という考え方。業界団体についても、その構成員に「限定」された活動かどうかが一つの判断基準ではないか。

○ 小さな町の商店街活性化や、元気高齢者の活動をどう位置付けるのか。私は寄付控除の対象にすべきと思う。なぜなら、それは利他の行為であるから。

○ 個が大切な社会において、しかし他に対しての思いを乗せた活動は、もう公益と認めるべきではないか。「他者」に対する、というそこが大事。

○ 「目的」が何かを大きく考えないといけない。コードで列挙していくなどの方法もよい。

○ 公益とは何かを決めていくことと税制上の優遇措置をどう決めるかは別の議論。法人税、公益論争をもろに挑むとかえって恐い。

○ 公益論争をしないほうがかえって危ない。なるべく明確に定めることによって我々の存在価値を見せていくべきではないか。

(進 行)
 業界団体、職能団体であっても会員以外のための活動もある。商店街も同様。やはり両者の活動の比率で判断すべきだろうが、それは政策の問題であり、基本的にはその時の国民の総意ではないか。なるべく客観的に、言葉としては、不特定多数を使いながら、具体的な中身を明示していくのがよいのではないか。


--------------------------------------------------------------------------------


第2セッション(15時55分~17時40分)

「公益事業」と「営利事業」との区別は何か

【ポイント】

 1.「営利」とは何か ①経済的利益を得ることか。②経済的利益と法人の剰余金とはどう違うか。③「営利事業」と「収益事業」とはどう違うのか。④「収益事業」における対価とは何か。⑤「営利事業」と「公益法人の営む収益事業」との「競合」とはどんな場合か。何故、その場合に課税するのか。

 2.「公益」とは何か。①国や地方自治体の事業はすべて公益事業か。②その場合の事業に「限界」はあるか。それは何か。3.「公益事業」と「営利事業」を区別する明確な基準は?

(進 行)
 営利事業については、私益・共益との区別で、受益者の数、性質が一つの大きな区別の要素であろうと考えます。では営利事業の受益者はどうか? お客は不特定多数であり、その観点から見れば公益となってしまいます。とすると、今までは受益者が不特定多数というのが一つの公益の考え方でしたが、それだけでは営利事業と区別がつかないことにもなります。

 行政改革では非営利事業は原則課税となっています。利益を分配しないのになぜ課税するのか、その根拠は何か。それと公益との関係はどうなっているのか? その議論を詰めていきたいと思います。

○ これまでの役所の議論では、会費収入や寄付金収入は課税しないというのが基本的なルール。ところが財務省が今言い出しているのは、こうした本来の事業への非課税がそもそも優遇税制であり、だからやめようといっている。これが現実になれば、剰余金が出れば税金をかけられてしまう。非営利=非配当、利益の分配を目的としていない以上は課税すべきでなく、税制上の特典でもない。

○ 今回の案は、市民としては考えられない悪法。自民党はこれを本当に出すなら壊滅するのでは。反論するためには、なぜ財務省がこうした方向転換をしたかそこの見極めが必要。

○ とにかく役所には論拠を明確にしてもらい、政府もそれをはっきり説明する必要がある。非課税の根拠は何か、その基準は誰がどうつくるのか、私たちもそれをしっかりしろと迫っていくことが大事。非営利でいえば、個人の利益にならない、残余財産はどこかに寄付する。私的利益の供与などをやらないなどの制限を設けるなど。

(進 行)
 税制調査会で行われている政府・財務省側の意見を、かみ砕いて市民の言葉で言えば、人間は抽象的には生まれながらにして納税者である。稼いで具体的に納税義務が発生したら納税する。ところで法人というのは、法人格を与えるということは人格を認めるということであるから、法人になった途端、抽象的に納税義務を負う主体となる。だから営利法人であろうと非営利法人であろうと、課税すべき所得があれば課税するのは当然、というのが彼らの理屈。後は政策的に必要なものを優遇するというのが彼らの基本的考え方。

○ 中間法人が原則課税となったときに我々は大いに反対しなければならなかった。我々も意識が薄かったということ。

○ 中間法人をつくるときに残余財産の分配も可能にしたというのは、財務省がここで少し風穴を開けて、とにかく課税法人に方向転換をしたいという思いがあったのだろう。原則課税の仕組みをつくってしまえば、学校法人、宗教法人なども含めてどんどん広げていけるという思惑がある。

○ 我が国の法人税の考え方は「法人擬制説」、現行制度の基礎であるシャウプ勧告に拠って法人税は所得税の前取りだという考え方に明確に立っている。それをエビデンスとして反論していくことが可能ではないか。

○ 社会は常に変化するものであり、所得のあるところに税金をとるということでは、有機体の社会は死んでしまう。

○ 社団法人の場合は、積立金など不当に内部留保になって会員のために使われていないのであれば、それに文句をいうべきは本来会員であろう。ただし財団法人の場合は極めて非民主的組織だから、米国のように基本財産の額に対し一定の率、たとえば今の日本なら長期国債の利率0.03%位は必ず人にあげる、あるいは使いなさいとすればよい。それでもどうしてもけしからんというなら、人件費・飲み食いにたとえば3%、5%までしか使ってはいけないという明確な基準を作れば事足りるのではないか。

○ 非営利法人は、同窓会であろうが分配しない以上は免税すべき。法人税が課せられる分野が現在33類型あるが、50、60でもいいので、具体的に確定していく。またみなし寄付が20%までしか認められていないが、これを100%まで認めてもらうように併せて主張すべき。ただし収益事業について、それを相当留保しているその状態に対しては税金をかけることは避けられないのではないか。

(会 場)
 韓国では収益事業を行っても、たとえば3年、あるいは5年以内に本来の目的に使えば非課税、使わなければ課税というようなものがあるという。

○ 欧米の収益事業は、日本でいうみなし寄付金が100%認められているという。日本ではそれが無視されている。つまみ食いで都合のいいところだけ論じられていることに注意しなければいけない。

○ 課税の根拠は何か、ということがとにかく重要。今の列挙方式でいいのではないかと思う。

○ 特別法と公益法人の関係式を明確にする議論が必要。アメリカのように、定款に則っていれば、収益事業であっても課税しないという考え方がよいと思う。

○ 33業種であっても、たとえば低所得者のために非常に安く売っている商店に対し、これは収益事業だから課税すると割り切ってよいのか。今は税務署や担当者によって判断が違う。単に事業分野を分ける、収益事業だけ限定するというのは非常にわかりやすいが、寄付やボランティアが入っているときに営利企業と同様に課税することが適切とは思わない。

○ アメリカでは企業は株主の配当を考えているので、配当するかどうかが非常に重要になる。日本の企業が一番悪いのは配当しないこと。今の日本の法人はほとんど配当しない。


--------------------------------------------------------------------------------


第3セッション(18時35分~20時35分)

「公益法人」制度は必要か、それとも非営利法人の行う
公益活動について税法上の優遇措置を講じるだけで足りるか?


(第2セッションのまとめ)

(進 行)
 大きくまとめれば、一つは、公益法人の本来の事業、関連事業も含めて、これはすべて非課税、それ以外の事業は課税というもの。もう一つはどんな事業も原則非課税ではあるが、限定列挙されたものについては課税という考えが出ました。

 会場の方に伺います。

 ①本来事業は非課税にしたほうがよいと感じている方 (会場・約半分)

 ②現行制度のように、33類型にあたれば課税という制度でよいという方 (会場・若干①より多)

【ポイント】

 1.「公益」法人、「公益」活動にどのような支援措置をとるか。 たとえば、活動支援措置と寄附支援措置は同じ要件で認めるか。

 2.そのために、どのような組織要件が必要か。 たとえば、その要件により悪質な法人は排除できるか。

 3.その他(「公益法人」の設立・存続要件を客観的に定めることは可能か。設立手続き・設立などに関与する官庁または第三者機関など)

(冒頭・公益法人改革各案比較の説明)

○ 公益法人協会としては、「新公益法人法」(仮称)をつくり、「公益」目的、事業、組織要件が、それに合致したところを新しい法人とする。設立は準則主義とする。法人税については原則非課税法人。国の管理については、新公益法人の支援機関、第三者機関を別途つくる必要がある。

○ 公益法人制度をなぜ変更しなければいけないかと考えれば、とにかく行政の手が掛かり過ぎていたこと。従って監督だろうが管理だろうが行政が手を出す余地のないように、とにかく準則主義を通す。営利・非営利の分類ではみ出るものがあるのなら、それも規定すればよい。本来、法人成りと税の問題は別。税については、非営利組織の本来事業は非課税、それに尽きると思う。

○ 名称はとにかく、公益法人を残すことに賛成。非営利法人というのは、他にも社会福祉法人、学校法人もある。まず民法を改正して、非営利法人の一般法をつくり、そこに非営利法人の通則を書く。そこに特別法で公益法人法をつくり、設立要件をある程度書き込んでおく。グレーゾーンも出てくるだろうが、それは第三者機関で判断。現在なら裁判所で可能のはず。税でいえば、解散時に分配しないなど完全非営利であれば、原則非課税。非営利法人のうち準則主義で原則非課税というものが数件ある。たとえば政党に関する法律にはなぜ課税しないかということが書き込まれている。同様のやり方で、公益法人について特別法をつくればいい。

○ NPO法については、そもそも市民参加の促進という別の意味があり、他の非営利法人とはまた別のものと思う。

(会 場)
 本日報じられた与党合意案の背景について説明してほしい。

○ 結局は3与党の合意案は、表面的にそれぞれの顔を立てた形で非常に玉虫色。政治というのはこういうものかなと。自民党にすれば「当面は」ということで、結局いずれは中間法人も含まれると考えている。原則課税という議論も当然残っている。つまりどうにでもやれる案であり、警戒すべき。

(進 行)
 玉虫色なので警戒もしなければいけないけれど、逆にいえば、仮にそれが大綱になっても我々に選択肢も残る、有利であるというふうにも考えられる。

(会 場)
 公益法人を通じて、目的を持って活動し、その目的を支えるための収益事業、全部含めて活動自体がいわば"税金"として拠出していると考えている。そこにさらに税金を支払うことは二重課税であり、不当だと常々思っている。

(会 場)
 管理の事後チェック機関とあったが、行政、NPO、公益法人などどのようなものを第三者機関として考えているのか?

○ 第三者機関として、特定の行政庁から独立した委員会のようなもの。日本では三条委員会というが、イギリスのチャリティーコミッションと同様なものでどうか。

(会 場)
 チェックする内容は、財務、運営両面か?

○ 恐らく両方。定期検査ではなく、市民の苦情処理、申し立て、監査請求等を受けてやるものを考えている。

(会 場)
 本来は、誰もが公益法人への文句はなかったと思う。それが問題になったのは、天下りが横行し、事業を独占して甘い汁を吸ったりしてゆがんできたから。その反省がないままで前に進もうとしても無理があるのではないか。

○ 問題は官制公益法人。それをチェックする機関を設置してもおもしろい。

○ 第三者機関の設立には私はやや懐疑的。今の日本のお上至上の中で、どのくらい第三者機関が機能できるかどうか。まず現在でもできることは、総務省が公益法人の現況調査をやっているが、全部が開示されているというわけではない。それでかなりのことが明らかになるはず。そこから不良、有害であると思われるリストが作成できるはずだが、100年来という節目の民法の改正のときにすら、その資料を出さない政府・行政の態度は非常におかしい。

○ 公益法人改革の議論は丁寧に、そして問題を切り分けてやったほうがいいと考える。第三者機関というのも、公正取引委員会、公安委員会などを考えれば、僕は懐疑的。

(進 行)
 行政委託型の公益法人については、現在別途問題点の洗い出し作業が行われている。それも合わせて、しっかり情報公開をしてもらいながら、我々が注意してみることが大事。また、準則主義である以上なにがしかの基準が必要だが、ではその要件をどう客観的に定義できるのか、そこにかかってくる。私は公益の税制上の優遇措置などを取るものとして、広い意味でのパブリックサポートテストを定めることがいいと考える。寄付、あるいは寄付のような働きをする会費、補助金、助成金、行政からの委託金、これが全体の事業経費の中でどのくらい占めているか、その比率が高いほど公益性がある。あるいは優遇する価値があるのだと思う。あとは情報公開その他の要件をネガティブに書けばよいのではないか。

○ パブリックサポートテストというのは一つの公益性の在り方であるけれど、NPO法の場合はそれでいいと思ってやったが、事業型財団なども含めてすべてを当てはめるのは難しいのではないか。民間の公益活動の多様性を考えて、要件も多様性があればよい。

○ 寄付金の額の多さや広さで決めるというだけでは問題。集めたお金をどう使うかが問題であり、そのためには客観的な要件としてガバナンスとディスクローズが必要。公益法人会計をまず誰でも理解できるように進める。

○ 今、日本のNPOに導入されているパブリックサポートテストは、アメリカの手法のうちの一つのもの。助成財団がパブリックサポートテストを通らないのは当然で、一方、準則主義で財団をつくるとなったら、財産隠しに使われる可能性があり、財団化は止めようという行革内部の動きもある。何らかの数値目標をつけたり、多様な形の寄付の優遇税制の形があるべきだ。

(会 場) 
 今のお役所の指導だと、善意の人の協力で活動してきた内容が報告できない。同様のことを税金でやったらどれだけかかるかがまったく反映できていない。世の中は日々動いており、どんなに制度を立派につくっても国家の制度は遅れたものにしかならない。社会の変化に対応していけるものがNPO・NGOであり、そうしたものがもっとできやすい税制のあり方を論じてほしい。

(進 行)
 100年来の宿題に挑戦したプログラムでしたが、各ポイントにおける問題点の指摘と併せて、今後のまとめに向けてある程度の基礎づくりができました。幸い、与党から出た案も玉虫色なので、これからも検討を続け、民の力をより良く引き出す制度になるよう情報公開も含めてしっかり皆で働きかけていきたいと思います。長時間にわたりお集まりいただき、ありがとうございました。