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1998年12月04日


営利法人等への転換指針



「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」について

平成10年12 月4日

公益法人等の指導監督等に関する

関 係 閣 僚 会 議幹事会申合せ


 公益法人については、その事業内容が、社会経済情勢の変化により、営利企業の事業と競合し、又は競合しうる状況となっている場合がある。このような場合、当該公益法人は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定、平成9年12月16日改正)に基づき、公益法人としてふさわしいと認められる事業内容への改善等に向けた措置を講じるが、そのような措置が講じられない場合においては、営利法人等への転換を行うこととされている。

 この営利法人等への転換については、法務省を中心とした検討の結果、現行法制度の下においても基本的には可能であるとの結論を得たことから、所管官庁がその所管する公益法人を指導監督するに当たっての具体的、統一的な指針として、別紙のとおり「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」を申し合わせる。

 各省庁においては、本指針に基づき、公益法人の営利法人等への転換の指導監督を適切に行うものとする。

 





(別 紙)


公益法人の営利法人等への転換に関する指針


1 営利法人等への転換が必要となる場合

 公益法人の設立当時には公益目的として社会的に評価されていた事業でも、社会経済情勢の変化により、営利企業の事業として成立するものとなり、営利企業による同種の事業が著しく普及したり、また、営利企業の事業として成立するものと考えられるため、多くの営利企業がその事業への参入を求めている状況となることがある。このような場合においては、公益法人の事業内容が、営利企業の事業と競合、又は競合しうる状況となっていると考えられる。

2 営利法人等への転換の指導

 (1) 公益法人の事業内容が、1に掲げるような状況となっていると認められる場合には、公益法人としてふさわしいと認められる事業内容への改善等に向けて、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(以下「指導監督基準」という。)2-(2)-①及び②に掲げた措置を講ずるよう指導を行う。この措置は、平成11年9月までに講ずるものとする。

 (2) (1)の期限までに公益法人にふさわしい事業内容に改善されない場合においては、期限到来後速やかに、営利法人等への転換を行うよう文書により監督上の措置を行うものとする。期限到来前であっても、公益法人にふさわしい事業内容に改善することが不可能であることが明らかになった場合には、同様の措置を講ずるものとする。

 (3) (1)の期限到来後においても、1に掲げるような状況が生じたと認められるに至った場合には、(1)及び(2)に準じて措置を講ずるものとする。

 (4) (2)に規定する措置を受けた公益法人は、措置後1年以内に、所管官庁に対し、営利法人等への転換に向けての計画を提出する。このとき、株式会社へ転換する方法(事業の一部を株式会社化する場合を含む。)の例は、後述の「参考」に掲げるとおりである。

 (5) (2)に規定する措置の後、3年以内に営利法人等への転換がなされない場合には、所管官庁は、設立許可の取消しも含め対処する。

 (6) 公益法人が、(2)に規定する措置の前に自主的に営利法人等への転換を行うことを決定したときは、その旨を所管官庁に報告する。このとき、(4)及び(5)に掲げる期間は、報告を行った日から起算する。

3 営利法人等への転換後の対応

 (1) 公益法人が営利企業にその業務の一部を現物出資し、その対価としてと取得する当該営利企業の株式等については、その取得後速やかに処分するものとする。
 また、公益法人が当該株式を保有する間は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」(平成8年12月19日公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せ、平成9年12月16日一部改正)の規定に従い、毎事業年度の事業報告書に当該営利企業の概要を記載する。なお、この記載は、保有する株式等の全株式等に占める割合にかかわらず行うものとする。

 (2) 営利企業と公益法人の運営が一体となっているという疑念を与えないようにするため、営利企業の取締役と存続する公益法人の理事の兼務は避けることとし、やむを得ず兼務となる場合も、指導監督基準に定めた理事の割合の上限を超えることのないようにする。

4 営利法人等への転換に関する全体像の把握

 総理府は、公益法人の営利法人等への転換状況等を把握するために、所管官庁に対する調査を毎年度行い、「公益法人に関する年次報告」において公表するものとする。

参考 株式会社への転換の方法の例

 (1) 社団法人・財団法人が解散した後、その事業を株式会社に譲渡する場合

  ① 社団法人・財団法人の事業の譲渡先が新たに設立される株式会社である場合には、株式会社の設立手続を開始する。

   ・ 新会社の設立に当たっては、発起人等が出資を行うことが必要となる。
   ・ 既存の株式会社に対して事業を譲渡しようとする場合には、株式会社設立の手続は不要である。

  ② 定款又は寄附行為に解散後の残余財産の帰属権利者の指定がなく、又は、これを指定する方法の定めがない場合、社団法人・財団法人の理事は、類似の目的のためにする処分方法を定め、主務官庁の許可を得る。社団法人については、これに加えて総会の決議を要する(民法第72条第2項)。

   ・ この点について定めなかった場合、残余財産は国庫に帰属する(民法第72条第3項)。

  ③ 社団法人・財団法人が解散をする。

   ・ 社団法人については、総会における総社員の4分の3以上の承認による解散決議を行う(民法第68条第2項第1号、第69条)。
   ・ 財団法人については、寄附行為の定めに従って、所定の機関が所定の方法による解散決議を行う(民法第68条第1項第1号)。
   ・ 目的たる事業の成功として解散する場合もある。

  ④ 社団法人・財団法人の清算人は、解散の登記手続を行い、かつ、主務官庁に届け出る(民法第77条第1項)。

  ⑤ 社団法人・財団法人の清算人と株式会社側(株式会社の設立前には発起人、設立後には代表取締役)との間で、事業譲渡契約をする。

   ・ 事業譲渡契約において定める必要が予想される事項として、対象となる事業及びこれに属する財産(積極財産・消極財産)、雇用関係の承継、受益者の地位の承継等がある。
   ・ 事業譲渡契約を株式会社の成立前に行う場合、変態設立事項に当たることから、株式会社側において、定款(商法第168条第1項第6号)及び株式申込書(商法第175条第2項第7号)への記載を要することとなり、また、検査役の調査等の手続(商法第173条、第181条等)が必要となる。
   ・ 事業譲渡契約を株式会社の設立後2年内に行うときは、事後設立(商法第246条)となることがあり、その場合は、株式会社側において、所定の手続を踏むことが必要となる。

  ⑥ 社団法人・財団法人の清算人と株式会社の代表取締役は、事業譲渡契約の履行を行う。

   ・ 清算人は、事業譲渡契約により株式会社に移転する債権の債務者に対し、債権譲渡の通知を行う(民法第467条)。
   ・ 清算人及び代表取締役は、事業譲渡契約により株式会社に承継されるべき債務の債権者から債務引受に関する承諾を得る。
   ・ 清算人は、労働契約の承継に関し、従業員の同意(民法第625条第1項)を得る。
   ・ 株式会社は、社団法人・財団法人に対し、事業譲渡の代金を支払う必要がある。
   ・ 事業譲渡契約が株式会社の設立前にされた場合、事業の移転及び代金の支払は、株式会社の成立後にされることとなる(商法第168条第1項第6号参照)。

  ⑦ 社団法人・財団法人の清算人は、その他の清算業務を行う(民法第78条から第80条まで参照)。

  ⑧ 社団法人・財団法人の清算人は、帰属権利者に残余財産の引渡しを行う(民法第78条第1項第3号)。

   ・ 社団法人の社員は、残余財産の分配を受け、又は、残余財産から出資の払戻しを受けることはできない。
   ・ 残余財産は、その帰属権利者とされた者に対して引き渡される。

  ⑨ 社団法人・財団法人の清算人は、主務官庁に対し清算結了の届出を行う(民法第83条)。

 (2) 社団法人がその事業を株式会社に譲渡した後、解散する場合

  ① 社団法人の事業の譲渡先が新たに設立される株式会社である場合には、株式会社の設立手続を開始する。

   ・ 新会社の設立に当たっては、発起人等が出資を行うことが必要となる。
   ・ 既存の株式会社に対して事業を譲渡しようとする場合には、株式会社設立の手続は不要である。

  ② 社団法人は、総会における総社員の4分の3以上の承認により、定款を変更し(民法第38条第1項本文)、解散事由としての存立時期(民法第46条第1項第5号、第66条第1項第1号)を定め、主務官庁の認可を得る(民法第38条第2項)。理事は、存立時期の定めにつき登記することを要する(民法第46条第1項第5号)。

  ③ 社団法人は、総会において、解散決議と同様の要件で、理事が、株式会社側との間で事業譲渡契約を締結すべきことを決議する(民法第53条)。

  ④ 定款に解散後の残余財産の帰属権利者の指定がなく、又は、これを指定する方法の定めがない場合、社団法人の理事は、総会の決議に従って、類似の目的のためにする処分方法を定め、主務官庁の許可を得る(民法第72条第2項)。

   ・ この点について定めなかった場合、残余財産は国庫に帰属する(民法第72条第3項)。

  ⑤ 社団法人の理事は、株式会社側(株式会社の成立前には発起人、成立後には代表取締役)との間で、事業譲渡契約をする。

   ・ 事業譲渡契約の効力発生日は、社団法人の存立時期と定められた日とする。
   ・ 事業譲渡契約において定める必要が予想される事項として、対象となる事業及びこれに属する財産(積極財産・消極財産)、雇用関係の承継、受益者の地位の承継等がある。
   ・ 事業譲渡契約を株式会社の成立前に行う場合、変態設立事項に当たることから、株式会社側において、定款(商法第168条第1項第6号)及び株式申込書(商法第175条第2項第7号)への記載を要することとなり、また、検査役の調査等の手続(商法第1735条、第181条等)が必要となる。
   ・ 事業譲渡契約を株式会社の成立後2年内に行うときは、事後設立(商法第246条)となることがあり、その場合は、株式会社側において、所定の手続を踏むことが必要となる。

  ⑥ 社団法人の理事と株式会社の代表取締役は、社団法人の存立時期の到来した日(事業譲渡契約の効力発生日)において、事業譲渡契約の履行を行う。

   ・ 理事(法人の存立時期の到来後においては清算人)は、事業譲渡契約により株式会社に移転する債権の債務者に対し、債権譲渡の通知を行う(民法第467条)。
   ・ 理事(法人の存立時期の到来後においては清算人)及び代表取締役は、事業譲渡契約により株式会社に承継されるべき債務の債権者から債務引受に関する承諾を得る。
   ・ 理事(法人の存立時期の到来後においては清算人)は、労働契約の承継に関し、従業員の同意(民法第625条第1項)を得る。
   ・ 株式会社は、社団法人に対し、事業譲渡の代金を支払う必要がある。
   ・ 事業譲渡契約が株式会社の成立前にされた場合、事業の移転及び代金の支払は、株式会社の成立後にされることとなる(商法第168条第1項第6号参照)。

  ⑦ 社団法人の清算人は、法人の存立時期の到来後、解散の登記手続を行い、かつ、主務官庁に届け出る(民法第77条第1項)。

  ⑧ 社団法人の清算人は、その他の清算業務を行う(民法第78条から第80条まで参照。

  ⑨ 社団法人の清算人は、帰属権利者に残余財産の引渡しを行う(民法第78条第1項第3号)。

   ・ 社団法人の社員は、残余財産の分配を受け、又は、残余財産から出資の払戻しを受けることはできない。
   ・ 残余財産は、その帰属権利者とされた者に対して引き渡される。

  ⑩ 社団法人の清算人は、主務官庁に対し清算結了の届出を行う(民法第83条)。

 (3) 社団法人がその事業を株式会社に現物出資した後、解散する場合

  ① 社団法人の事業の現物出資先が新たに設立される株式会社である場合には、株式会社の設立手続を開始する。

   ・ 新会社の設立に当たっては、発起人等が出資を行うことが必要となる。
   ・ 既存の株式会社に対して事業を現物出資しようとする場合には、株式会社設立の手続は不要である。

  ② 株式会社の設立時において現物出資を行う場合

   ・ 社団法人が事業の現物出資をするために、社団法人も発起人となる(商法第168条第2項)。
   ・ 発起人は、現物出資に関する事項を定め、定款(商法第168条第1項第5号)、株式申込書(商法第175条第1項第7号)に記載するとともに、払込期日を定める。
   ・ 現物出資については、検査役の調査等の手続(商法第173条、第181条等)が必要となる。

  ③ 株式会社の成立後において現物出資を行う場合

   ・ 株式会社の取締役会は、払込期日(商法第280条ノ2第1項第2号)及び現物出資に関する事項(同項第3号)を定め、株式申込書に記載する(商法第280条ノ6第3号)。
   ・ 現物出資については、検査役の調査等の手続(商法第280条ノ8)が必要となる。
   ・ ②、③を通じ、現物出資に関する事項としては、対象となる事業及びこれに属する財産(積極財産・消極財産を含む。)、雇用契約の承継、受益者の地位の承継等が考えられる。

  ④ 社団法人は、総会における総社員の4分の3以上の承認により、定款を変更し(民法第38条第1項本文)、解散事由としての存立時期(民法第46条第1項第5号、第66条第1項第1号)を定め、主務官庁の許可を得る(民法第38条第2項)。理事は、存立時期の定めにつき登記することを要する(民法第46条第1項第5号)。
   ・ 法人の存立時期は、事業を現物出資すべき日(払込期日)とする。

  ⑤ 社団法人は、解散と同様の要件の下で、理事が、株式会社側に対し、事業を現物出資するべきことを決議する(民法第53条)。

  ⑥ 定款に解散後の残余財産の帰属権利者の定めがなく、又は、これを指定する方法の定めがない場合、社団法人の理事は、総会の決議に従って、類似の目的のためにする処分方法を定め、主務官庁の許可を得る(民法第72条第2項)。

   ・ この点について定めなかった場合、残余財産は国庫に帰属する(民法第72条第3項)。

  ⑦ 社団法人の理事は、株式会社に対し、払込期日において、現物出資の給付を行う(商法第172条、第177条第3項、第280条ノ14第1項)。その場合、適切な対価を取得することを要する。

   ・ 理事(法人の存立時期の到来後においては清算人)は、現物出資に伴い株式会社に移転する債権の債務者に対し、債権譲渡の通知を行う(民法第467条)。
   ・ 理事(法人の存立時期の到来後においては清算人)及び代表取締役は、現物出資に伴い株式会社に承継されるべき債務の債権者から債務引受に関する承諾を得る。
   ・ 理事(法人の存立時期の到来後においては清算人)は、労働契約の承継に関し、従業員の同意(民法第625条第1項)を得る。
   ・ 株式会社は、社団法人に対し、出資の対価として株式を発行する。
   ・ 社団法人が取得した株式は、速やかに処分すべきである。その場合、適切な対価を取得することを要する。

  ⑧ 社団法人の清算人は、法人の存立時期の到来後、解散の登記手続を行い、かつ、主務官庁に届け出る(民法第77条第1項)。

  ⑨ 社団法人の清算人は、その他の清算事務を行う(民法第78条から第80条まで参照)。

  ⑩ 社団法人の清算人は、帰属権利者に残余財産の引渡しを行う(民法第78条第1項第3号)。

   ・ 社団法人の社員は、残余財産の分配を受け、又は、残余財産から出資の払戻を受けることはできない。
   ・ 残余財産は、その帰属権利者とされた者に対して引き渡される。

  ⑪ 社団法人の清算人は、主務官庁に対し清算結了の届出を行う(民法第83条)。 

 (4) 社団法人・財団法人が目的(事業)を変更して、従来行ってきた事業を株式会社に譲渡し、残存する又は追加された事業を継続することとして公益法人が存続する場合

  ① 社団法人・財団法人の事業の譲渡先が新たに設立される株式会社である場合には、株式会社の設立手続を開始する。

   ・ 新会社の設立に当たっては、発起人等が出資を行うことが必要となる。
   ・ 既存の株式会社に対して事業を移転しようとする場合には、株式会社設立の手続は不要である。

  ② 社団法人・財団法人の目的(事業)を変更する。

   ・ 社団法人は、総会における総社員の4分の3以上の承認により、定款を変更し(民法第38条第1項本文)、目的(事業)に必要な変更を加えた上で、主務官庁の認可を得る(民法第38条第2項)。理事は、目的変更につき登記することを要する(民法第46条第2項)。
   ・ 財団法人は、寄附行為の定めに従って、変更可能な範囲において、所定の機関が、所定の方法により寄附行為を変更し、目的(事業)に必要な変更を加える。理事は、目的変更につき登記することを要する(民法第46条第2項)。

  ③ 社団法人・財団法人は、株式会社側に対し、目的(事業)の変更により、公益法人の目的に含まれないこととなった従来の事業を譲渡する。

   ・ 事業譲渡契約において定める必要が予想される事項として、対象となる事業及びこれに属する財産(積極財産・消極財産)、雇用契約関係の承継、受益者の地位の承継等がある。
   ・ 事業譲渡契約を株式会社の成立前に行う場合、変態設立事項に当たることから、株式会社側において、定款(商法第168条第1項第6号)及び株式申込書(商法第175条第2項第7号)への記載を要することとなり、また、検査役の調査等の手続(商法第173条、第181条等)が必要となる。
   ・ 事業譲渡契約を株式会社の成立後2年内に行うときは、事後設立(商法第246条)となることがあり、その場合は、株式会社側において、所定の手続を踏むことが必要となる。

  ④ 社団法人・財団法人の理事と株式会社の代表取締役は、事業譲渡契約の履行を行う。

   ・ 理事は、事業譲渡契約により株式会社に移転する債権の債務者に対し、債権譲渡の通知を行う(民法第467条)。
   ・ 理事及び代表取締役は、事業譲渡契約により株式会社に承継されるべき債務の債権者から債務引受に関する承諾を得る。
   ・ 理事は、労働契約の承継に関し、従業員の同意(民法第625条第1項)を得る。
   ・ 株式会社は、社団法人・財団法人に対し、事業譲渡の代金を支払う必要がある。
   ・ 事業譲渡契約が株式会社の成立前にされた場合、事業の移転及び代金の支払は、株式会社の成立後にされることとなる(商法第168条第1項第6号参照)。

  ⑤ 目的(事業)の変更後、社団法人・財団法人は、変更後の目的に従って、残存事業を継続し、又は新たな事業を開始し、株式会社は、譲渡を受けた事業を行う。

 (5) 社団法人・財団法人が目的(事業)を変更して、従来行ってきた事業を株式会社に現物出資し、残存する又は追加された目的に従った事業を継続することとして公益法人が存続する場合

  ① 社団法人・財団法人の事業の現物出資先が新たに設立される株式会社である場合には、株式会社の設立手続を開始する。

   ・ 新会社の設立に当たっては、発起人等が出資を行うことが必要となる。
   ・ 既存の株式会社に対して事業を現物出資しようとする場合には、株式会社設立の手続は不要である。

  ② 社団法人・財団法人の目的(事業)を変更する。

   ・ 社団法人は、総会における総社員の4分の3以上の承認により、定款を変更し(民法第38条第1項本文)、目的(事業)に必要な変更を加えた上で、主務官庁の認可を得る(民法第38条第2項)。理事は、目的変更につき登記することを要する(民法第46条第2項)。
   ・ 財団法人は、寄附行為の定めに従って、変更可能な範囲内において、所定の機関が、所定の方法により寄附行為を変更し、目的(事業)に必要な変更を加える。理事は、目的変更につき登記することを要する(民法第46条第2項)。

  ③ 株式会社の設立時において現物出資を行う場合

   ・ 社団法人・財団法人が事業の現物出資をするために、社団法人・財団法人も発起人となる(商法第168条第2項)。
   ・ 発起人は、現物出資に関する事項を定め、定款(商法第168条第1項第5号)、株式申込書(商法第175条第1項第7号)に記載するとともに、払込期日を定める。
   ・ 現物出資については、検査役の調査等の手続(商法第173条、第181条等)が必要となる。

  ④ 株式会社の成立後において現物出資を行う場合

   ・ 株式会社の取締役会は、払込期日(商法第280条ノ2第1項第2号)及び現物出資に関する事項(同項第3号)を定め、株式申込書に記載する(商法第280条ノ6第3号)。
   ・ 現物出資については、検査役の調査等の手続(商法第280条ノ8)が必要となる。
   ・ ②、③を通じ、現物出資に関する事項としては、対象となる事業及びこれに属する財産(積極財産・消極財産を含む。)、雇用契約の承継、受益者の地位の承継等が考えられる。

  ⑤ 社団法人・財団法人の理事は、株式会社に対し、払込期日において、現物出資の給付を行う(商法第172条、第177条第3項、第280条ノ14第1項)。

   ・ 理事は、現物出資に伴い株式会社に移転する債権の債務者に対し、債権譲渡の通知を行う(民法第467条)。
   ・ 理事及び代表取締役は、現物出資に伴い株式会社に承継されるべき債務の債権者から債務引受に関する承諾を得る。
   ・ 理事は、労働契約の承継に関し、従業員の同意(民法第625条第1項)を得る。
   ・ 株式会社は、社団法人・財団法人に対し、出資の対価として株式を発行する。
   ・ 社団法人・財団法人が取得した株式は、速やかに処分すべきである。その場合、適切な対価を取得することを要する。