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2019年2月


公益法人はどうしてダメなの?

山岡 義典((特活)市民社会創造ファンド運営委員長)

年明けの1月11日、休眠預金の指定活用団体が一般財団法人日本民間公益活動連携機構に決まった。
4つの申請団体について休眠預金等活用審議会の審議を経た上で、休眠預金等活用法第20条第1項の指定基準に最も適しているものとして、内閣総理大臣が指定したものだ。

昨年12月には2回にわたる審議会が開かれ、申請団体の面接が行われた。
第16回の議事録(2018.12.6)をみると、一委員から申請者への気になる質問があった。
一般財団法人民都大阪休眠預金等活用団体は公益認定を受けることを前提として指定活用団体に申請していたが、そのことについての質問である。

まず、休眠預金等活用法には指定活用団体は「一般財団法人」とあるのに、なぜ「公益財団法人」を目指すのかといった問いだ。
「公益財団法人」は「一般財団法人」ではないという解釈かもしれないが、公益認定法第2条第2号には「公益財団法人は、第4条の認定を受けた一般財団法人をいう」とある。
一般法人法的には「公益財団法人」も「一般財団法人」そのものなのである。
「認定NPO法人はNPO法人ではない」というようなもので、そんな話は聞いたこともない。

その後の質疑応答を見ていくと、どうやら休眠預金等活用法の正式名称にも明記されている「民間公益活動の推進」を公益認定法が目的とする「公益の増進」(同法第1条)とは別のものとして関係を絶ちたい気持ちが見えてくる。
1年ほど前になるが、第9回審議会(2017.12.15)の議事録には、同じ委員の「分配団体以下が公益法人である場合、公益認定等委員会という別のガバナンスの方向のものが入ると (中略) 、ややこしくなります」との発言がある。

休眠預金には休眠預金独自のガバナンスがあるから、それとは別のガバナンスが入ってくると、確かに「ややこしく」はなろう。
特に公益認定の財務3基準のことなどを考えると「ややこしく」なることはあるかもしれない。
だからと言ってそれを排除すれば、日本の制度としての公益概念は分裂する。
第9回審議会の発言では、資金分配団体とその先にある助成先団体のことを言っているわけだが、当然、それらの元締めとなる指定活用団体も公益法人では「ややこしく」なる。
そのような考えが、今回の質問の背景にあるのではないか。
すべての段階から公益法人を排除しようとする発想だ。

今の公益法人制度には制約が多い。窮屈な面がある。改善が必要なことはいくらでもある。
この2月8日に公益財団法人助成財団センターが開催した助成財団フォーラムでも、その様々な改善点が指摘された。
そして公益認定を受けることなく、ノビノビと自由に助成活動をしている事例も報告された。
税のメリットをそれほど必要としないなら、公益認定など受けないで自由度をフルに発揮したほうがいい。

そこは民間団体としての選択肢の豊かさでもある。
しかし休眠預金のような準公的資源の使用については、いくつかの制約はあっても(あればむしろその制約を指摘して取り除く努力をしてでも)、公益認定を推奨すべきではないか。
私は、休眠預金の活用に公益認定が必須とは考えないが、まず指定活用団体が公益認定を受けるのは当然のことと思う。
民都大阪休眠預金等活用団体が、そこを指摘し、それに挑戦した勇気は高く評価すべきだ。

公益法人がダメというなら、恐らく認定NPO法人も、(ガバナンスははるかにゆるいとは言え)外さないと平仄が合わなくなる。
それでは恐らく、指定活用団体であれ、資金分配団体であれ、助成を受ける団体であれ、休眠預金を活用するだけの力ある担い手は殆どなくなってしまう。
毎年500億円を超える資金を活用する仕組みそのものが、脆弱なものになる。
成り立たなくなるかもしれない。
そして同時に、110年振りに抜本改正されて施行10年を迎えた新しい公益法人制度そのものの信頼も、大きく揺らぐことになりかねない。

今回のことは一人の委員の意見にすぎない。
現実にそのようなことが組織として決定されるとは思いもしないが、このような考えが審議会での申請指定活用団体の評価や内閣総理大臣の指定のプロセスにまで影響していたとしたら、とんでもない大きな問題だ。

休眠預金の活用と公益認定の仕組みは、車の両輪として日本の民間公益活動を推進する大きな力になってほしいものである。


 ・参考:内閣府ホームページ「民間公益活動促進のための休眠預金等活用」
      https://www5.cao.go.jp/kyumin_yokin/index.html