« 収支相償という言葉 | メイン | 非営利組織の自律性 ―公益法人ガバナンスコードの提唱― »

2018年11月


日中韓、市民レベルの社会貢献活動交流

高宮 洋一(城西国際大学教授)

「やあ久しぶり」「また会えたね。元気だった?」、一年ぶりの懐旧の挨拶が飛び交う。
外国だとハグも気恥ずかしくなく、旧知の異国の友人と抱き合う姿もチラホラ。

2018年10月25~27日に、中国の無錫で開催された「東アジア市民社会フォーラム」は、日中韓三カ国回り持ちで年1回開催、すでに9回を重ねる。
日本では公益法人協会が事務局を務め、3ヵ国の市民社会貢献活動家が継続的に交流・情報交換を進める、オープン参加の民間草の根ベースの会合だ。
各国のNPO/NGO、公益法人、中間支援組織、政府や大学、社会貢献ボランティア等の、志ある有志が、今年は中国の名門 江南大学のキャンパスに集い密度の濃い交流を進めた。

社会が急速にグローバル化する中、民間の社会貢献活動も、国内での取組みのみで良しとせず、国際ベースでの取り組みが一層求められてきている。
アジア域における先進国である日中韓3ヵ国の市民社会が抱える課題は共通したもの多々あり、国境を超えて情報共有・教えあい学びあうべき事項は数多く、そうした取組みにより期待できる成果も大きい。
しかしながら、地理的、人種的に最も近しい隣人である東アジア3ヵ国は、心情・文化的シンパシーのある一方、永年の経緯に由来する歴史的な、また政治的な面からの隔たりもあり、正直、国政レベルで恩讐を超えて急速に協働化することは難しい状況にある。

こうしたジレンマ打開への“解”の一つは、国ベースでの制約に拘束される国政の限界を超えて、市民社会の課題に自由に取り組むことができる市民レベルでの社会貢献活動交流の展開である。

この会議は、こうした考えを3ヵ国の市民社会活動で共有し、各々の取組みを高度化することを目的として、これまで、「市民社会交流の意義・役割」「市民社会ボランティアリズム力量形成」「企業ボランティアの活動」「企業の社会的責任」「市民社会とソーシャルイノベーション」「災害被災地における地域再生」「地方再生・過疎化対策」等について参加者で語り合い、その成果を各々の国の市民社会にフィードバックしてきた。

民間市民社会貢献活動は「公の限界や間隙、また進むべき先端を意欲的に担い、公の社会政策の展開を先導する」役割も持っている。
「着眼大局 着手小局」、この事業を持って、国ベースの3ヵ国市民社会の関係改善を語るには極めて小さな事業活動ではあるものの気宇は壮大、気概は大きい。

本事業は継続9年目に至り、3ヵ国に亘るこの小さな炎は今年も元気よく燃え続けている。
次回、2019年秋は創設10周年、3ヵ国の市民社会活動家は、開催予定の日本での再会を誓い合った。
本フォーラムは、志ある団体・有志への自由参加オープンフォーラムである。
公益法人協会が事務局を担うこの小さな炎を、3ヵ国の市民社会の強力な連携の導火線と為すためにも次回の日本でのフォーラム開催の成功と、こうした取組みに共感を持つ小欄読者諸氏・諸組織の積極的な参画を大いに期待したい。