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2018年9月


SDGs達成に向けて:公益法人への期待

黒田かをり((一財)一般財団法人CSOネットワーク理事・事務局長)

持続可能性(サステナビリティ)は、21世紀の国際社会にとっての最重要共通課題である。
気候変動や生物多様性の喪失、貧困、格差、食料問題、ジェンダー不平等、紛争、テロに関連する人道危機など、あらゆる地球規模課題が相互に連関しながら深刻化しており、このままでは社会の持続可能性が脅かされてしまう。
このように、SDGs策定の背景にあるのは「続かない社会」への強い危機感であった。
 
SDGsの特徴は、持続可能性の三要素である環境・社会・経済に統合的に対応すること、すべての国を対象とする普遍的かつ野心的な目標であること、またあらゆるステークホルダー(政府、国連機関、企業、市民社会など)のパートナーシップを必要とすること、などである。
そしてSDGsは、採択時のすべての国連加盟国の首脳による「誰一人取り残さない」という強い決意とともに、すべての人々の人権の実現、ジェンダー平等とすべての女性と女の子のエンパワーメントを達成することを目指している。
 
日本においても、SDGsは少しずつ広がりを見せている。
政府は総理大臣を本部長にSDGs推進本部を立ち上げ、内閣府地方創生推進事務局はSDGs未来都市に29の自治体を選定した。
選定されていない自治体もSDGsに取り組み始める動きが活発になっている。
セクターの中で一番関心が高いのは大企業であろう。
最近の調査では、上場企業の8割以上がSDGsを知っており、6割を超える企業がすでに取組みを開始または検討していると回答している*。
また、協同組合は国際的にも国内的にも積極的にSDGsに取り組んでいる。
学校もあらゆるレベルで持続可能性や環境問題に取り組むところが増えている。
特に若い世代は、世界的にもSDGsとは関係なしに、社会や環境への関心が高いと言われている。
 
では、非営利セクターはどうであろうか。NPOの一部は、SDGsの策定にも積極的に関与したが、関心はまだそれほど高くないという印象を受ける。
SDGsが誕生するずっと前から、社会性の高い活動をミッションとして掲げ、持続可能な社会づくりに貢献することに「本業」で取り組んできたからであろう。
一方で、持続可能性に多くのセクターが関心を持ち始めるなかで、その存在感が十分に示せていないのも事実である。
殊更にSDGsにこだわる必要はないのかもしれないが、SDGsが格納されている「我々の世界を変革する? 持続可能な開発に関する2030アジェンダ」には、いくつもの重要なことが書かれているので、まずは公益法人の皆様にも読んでいただきたい。
 
実際、公益法人の公益目的事業や特定非営利活動法人の活動に列挙されている分野は、直接的または間接的にSDGsに関連しているが、特定の事業だけに特化するあまり「サイロ化」が進んでしまうことも時に指摘される。
そうならないためにも、既存の事業や取組みを「課題間のつながり」や「経済・社会・環境への統合的な対応」「包摂性」「多様性」、横断的な「ジェンダー平等」などSDGsの理念や考え方に沿って見直しや整理をすることは意味があると思うし、課題解決のために他セクターと積極的に連携することも重要であろう。
 
海外では複数の助成財団や国連開発計画などが、SDGsフィランソロピー・プラットフォームを立ち上げ、支援が届きにくい国やテーマを中心に共同支援を始めた。
そういう取組みも参考になるのではないか。
 
持続可能な未来の実現に向けては、牽引役ととともに、多様なセクター間のパートナーシップ構築におけるリード役を是非担っていただきたいと思う。
公益法人をはじめ、非営利セクターの役割は大きいのである。

 *「第3回機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」
   (年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)2018.4)