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2018年7月


2019年G20サミットに公益法人はどう取り組むのか

鶴見 和雄((公財)公益法人協会 常務理事・事務局長)

多くの公益法人が6月末の決算理事会、評議員会を終え、一段落されておられるのでは。
そんな時に、少し毛色の変わった話題を提供したいと思う。

G20サミット(「金融・世界経済に関する首脳会議」)が、来年2019年6月に日本では初めて開催されることをご存じだろうか。開催場所は、大阪である。
首脳会議の他、議長国として、関係閣僚会議が、福岡市、松山市、北海道倶治安町、新潟市、つくば市、軽井沢町、岡山市、愛知県と分散され開催されるので、何れ話題になるだろう。

G20サミットとは、G7(仏、米、英、独、日、伊、加に加え、欧州連合(EU)韓国、中国、インドネシア、インド、オーストラリア、サウジアラビア、トルコ、南アフリカ、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンの首脳が参加して、毎年開催される国際会議である。

経済面からG20諸国の占有率を見ると、実に世界総生産の85%、世界貿易の80%を占め、地政学的にも、陸地面積の約半分、世界人口の3分の2を占める。
1999年に設立、2008年の世界金融危機から「首脳会議」が開催、サミットを重ねる中で、トロイカ体制による効果的な運営、すなわち前開催国、開催国、次期開催国の政府機関、市民社会が協力し、開催される。
2018年は、11月末にアルゼンチンの首都のブエノスアイレスで開催されるが、その際の主要アジェンダは、①仕事の未来、②開発のためのインフラ、③持続可能な食料の未来である。
来年の大阪サミットでは、国際保健、科学イノベーションとSDGs、女性活躍などが、主要アジェンダとなる予定だが、まだ公式発表はない。
ただし、主要議題は基本的に経済分野だが、近年取りあげられる議題は、世界経済、貿易・投資、開発、気候・エネルギー、雇用、デジタル、テロ対策、移民・難民問題等多種多様である。

それでは、これほど世界経済と国際政治に影響力を与える集合体のサミットに、我々国内外の公益法人セクターは無関心のままで良いのであろうか。私は決してそうとは思わない。

現在公益法人は、23種類の「公益目的事業」において、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することが求められている。そこには、「公衆衛生の向上」「児童又は青少年の健全な育成」「人種、性別その他の自由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶」「国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力」など多種多彩な公益目的事業が展開されている。
そして、それぞれの公益目的事業の先には、例外なく市民社会が存在している。

これに加え、2015年に国連により採択されたSDGs、つまりSustainable Development Goals(持続的な開発目標)は、2030年までに先進国、途上国を問わず、「誰一人残さない」をスローガンに、「貧困や飢餓の根絶」「女性の社会進出の促進」「経済成長と生産的で働きがいのある雇用の確保」など、17の目標と各目標を実現するための169のターゲットが設定されている。

もうお気付きと思うが、これらは、G20サミットのアジェンダと多くが相関している。
すなわち、それぞれの公益法人にて公益活動を行う上で目標に設定している課題は、実はG20の主要議題、SDGsでの開発目標と無関係ではなく、むしろ相関的な共通課題が綴れ織りのように絡まっているのが実情なのである。

しかしながら、昨今の公益法人を含む非営利活動推進するセクターを振り返ると、世界的にも自国第一主義・排外主義・差別主義の波及・蔓延が叫ばれ、世界および日本の市民社会スペースの狭隘化が大きな社会問題となっており、公益活動を阻害する要因が多く内在している。
日本国内において公益法人を含む非営利組織の活動が、自由でより効果的に実施されることにより、社会の安定や経済の発展、環境の保護、そして市民力の推進により、SDGsが目指す「誰一人残さない」世界の実現に大いに寄与しなければならない。
そのためにも、公益法人セクターが果たすべき役割は決して少なくないと確信している。
まずは、公益法人にたずさわる一人一人が、今年11月に、また来年6月に大阪で開催される
G20サミットに関心を持ちことから始めようではないか。
そして初めて小さな一歩が、未来への大きな扉につながることとなる。