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2018年6月


大学と地域社会の多様な関係を創り出すために

山岡 義典((公財)助成財団センター理事長、(特活)市民社会創造ファンド運営委員長)

この9日と10日、小雨降る立教大学のキャンパスで日本NPO学会の大会が開かれた。
同学会は1999年3月に慶応義塾大学で発足、同時に第1回の大会が開催されたので、今回は20回目にあたる。

NPO法(特定非営利活動促進法)が施行されたのは、その少し前の1998年12月であるから、学会はNPO法とほぼ同じ年齢を重ねてきたことになる。
この12月のNPO法施行20周年に向けては、NPOの関係者たちが様々な企画を各地で準備しており、この20年間をどう考えるかが大きな話題になっている。
今回の大会でも、そのような視点の研究テーマがいくつか散見されたが、今はまだ助走のレベルといってよい。研究や議論が本格化して深まるのは、来年の大会かもしれない。
 
ところで今回印象に残ったのは、この春に大学を移動したり、大学に転職した若手・中堅との多数の名刺交換だ。
その中には非営利組織の現場を経験した人も多い。
NPO法が成立して暫くは非営利組織から多くの人が大学に迎えられたが、近年はポストも埋まったのか、動きが少ないように感じていた。
それだけに、新しい動きを感じさせるものがあった。

出会った人の多くが、大学と地域社会の結びつきのコーディネート役を期待されているようにも思われた。これからの大学のありようを考えると、それは大変重要な役割である。
大学と地域社会という関係では、行政組織や企業との関係とともに小さな民間組織の地域活動や市民活動との関係がさらに重要に思う。
それは教師たちにとっての身近な調査研究フィールドとしても意味があるし、学生たちのゼミ活動やボランティア活動、あるいは少し長期のインターンシップ先としても大きな意味がある。
また、地域活動や市民活動の側からも、その活動を活発にする上で大学や学生たちへの期待が大きいのではないか。
 
このような大学と地域社会の多様な関係を創り出していくためには、現場も分かり広くネットワークを築いていける相応の人財がいる。アカデミズムの内部からだけでは限界があろう。
公益法人やNPO法人などの民間非営利組織は、すでに潜在的にはそのような人財の宝庫のように思う。
それをもっと顕在化し促進することが必要だろう。
そのことは非営利組織の側の人事も活発化させ、活動そのものを開かれたものにしていく。
そのためには、転職だけではなく非営利組織と大学との柔軟な兼職の可能性を広げることも重要だ。