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2018年2月


公益法人制度改革10年目を迎えての「助成財団フォーラム」を開催!!

田中 皓((公財)助成財団センター 専務理事)

昨日、2月14日、通勤電車が終着駅に着く直前の車内放送で、「---------降車される際には「チョコ」のお忘れ物のないよう身の回り品にお気を付け下さい」。
一瞬耳を疑いましたが時期を感じさせるユーモアあるアナウンスだなと一人微笑んだ朝の出来事でした。
日本には数々の記念日や季節の節目があり、メリハリのある四季の変化や時の流れを実感できる有り難い国の一つかもしれません。

時の流れを表す言葉として「十年一昔」という四字熟語がありますが、今年の12月には公益法人制度改革が実施されてから早くも10年目を迎えます。
当センターでは先週2月8日に170名の皆さまのご参加を得て「助成財団フォーラム2017」を開催しました。
メインタイトルは「公益法人制度改革後の法人運営の課題と展望 =期待される助成財団を目指して= 」とし、制度改革後の10年を振り返り、現制度を今後の財団運営にどう活かしていくべきか、またその際の課題は何かを明確にすることを目的としました。

第Ⅰ部のセミナーは「新制度における公益法人の運営のポイントと留意事項 =定期提出書
類・立入検査の現況を踏まえて=」と題して、公益認定等委員会事務局の相馬清貴局長と山崎光輝企画官に講演いただき、公益法人の監督という立場から、立ち入り検査などで問題となる点に言及しつつ、日常の法人活動において特に留意すべき点について分かりやすく説明していただきました。
第Ⅱ部のフォーラムは、基調講演「信頼性を高める公益法人運営の在り方」と題して公益法人協会の雨宮孝子理事長に講演いただきました。
現在、助成財団に席を置いておられる多くの方々は10年前の制度改革施行時、移行時を経験されていないことから、制度改革が実施された背景やその目的等を振り返り、今日的な課題まで言及された講演はこれからの財団運営に大変参考になりました。
第Ⅱ部の後半は「制度改革が組織や事業の運営にもたらした影響と課題=実践事例から=」と題して4つの助成財団から制度改革をどう受け止め対処してきたかについて、実践現場からの報告が行われました。
いずれの報告も貴重な取組みですが紙面の関係でここでは紹介できませんので、内容については出口正之氏(国立民族学博物館教授・当センターの評議員。内閣府公益認定等委員会委員、政府税制調査会特別委員等を歴任される。)が下記ブログにコメントを掲載されていますのでご興味のある方は是非ご参照下さい。
 http://blog.canpan.info/deguchi/archive/75

助成財団フォーラム全体としては、助成財団の運営や助成事業を実践する立場の皆さまにとって、より信頼される助成財団を目指すためには今何が必要なのかを肌で感じ取っていただくことができた、内容の濃い充実したフォーラムになったものと思います。
制度の課題を解決していくことも極めて重要ですが、制度改革から10年を経過し定着しつつある現制度を上手に工夫し活用し、一歩も二歩も前進した財団運営を目指していくことは更に重要になっています。
その観点から他の助成財団の動向を知ることの重要さを再認識することもできました。

参加者の皆さんにとって本フォーラムで得られたヒントが何か1つでもあるとすれば、今後の財団運営、助成事業の運営に積極的に反映させていただければと、主催者として心から念願するものです。
また、参加者の中には公益法人以外に株式会社やNPO法人の方々が増えてきたこともフォーラムの狙いでもあり、今回特筆すべき点の1つとなりました。

以下、公益認定等委員会事務局の相馬局長には第Ⅱ部の終了時まで、質疑を含めて熱心にご参加いただきましたが、その際触れられた話しについて皆さまの今後の法人運営に少しでも役立てていただければと、その一端を紹介させていただきます。

ポイント1
立入検査等に際して公益認定等委員会の事務局職員に対して日頃指導していること検査時の対応について。

① 「立入検査というのは単なるミスを発見する場ではない、その背後にあるマネジメント、ガバナンスの問題を明らかにして、今後の法人運営に役立つ助言をする局面と捉えること」
② 「きちんと説明する、相手方に伝わる形で指摘すること。問題解決につなげるために、一体何を言っているのか、どういうことが問題にされているのかということが理解できるまでやり取りをすること」

検査を受ける皆さまがたも是非担当する職員に対して虚心坦懐、率直にお話していただけると良いと思います。人間の心理として、隠そう隠そうと思うとこちらに伝わりますから、そこは正直にお伝えいただいたほうが、いろんな意味で生産的なやり取りに発展し得ると思います。
立入検査を受ける皆さまにとっては、非常に緊張する時間ではなかろうかと思いますが、正直申しまして「ご安心ください」と言える材料は、私にはありません。しかしながら立入検査などの監督の局面で見つかった問題で「勧告」「命令」「認定取消し」などの処分に至った事案については、法人全体の数から見るとごくわずかであります。
私どもはいちいち細かいことを取り立てて問題にする気はありません。やはり一番問題なのは、ガバナンスがしっかりと効いているのか、組織として果たすべき役割がしっかりと果たされているのか、というところを中心に見たいと思っておりますので、そこは是非ご理解願いたいと思います。
当方からお願いしておきたいのは何か当方から指摘をさせていただいたとしても、それは法人運営を改善するきっかけとして、是非うまく活用いただきたいということであります。


ポイント2 
相馬局長が最近強く感じている2つのことについて。

1つ目は、「法人運営に関する透明性の確保」

公益法人とはご存じのとおり、民による公益を実現するまさに中心的存在です。
そういう高い公共性を持つ存在である以上、広く市民に対してその活動が常に明らかにされなければならないと思っています。法令では公表する事項が定められていますけれども、それに止まらず法人の活動実態の積極的公開が求められる時代になっていることを改めて強調しておきたいと思います。また、透明性の確保は公益法人一般が広く世間の方々から信頼を受けるための基本的条件であることも言うまでもありません。また、法人活動の実態を具体的に詳細に説明していくということは、寄付文化の醸成という我々に課せられた大きな命題を前進させていくことつながることになると思います。
法人の活動を全く知らずにその法人に寄付を行うという人はまずいません。是非自らの活動に自信を持って、積極的に公開、対外的な発信、さらには法人と外部とのコミュニケーションを緊密化、活発化にご努力をお願いできればと思っております。

2つ目は、「公益法人の果たすべき説明責任」

法人が我々公益認定等委員会や外部の様々な方々とやり取りをする中で、自分たちの活動内容、予算の執行実態等について説明を求められることがたびたびあると思います。
法人が高い公共性を持つ存在である以上、そのような求めに応じることは当然の責務であると私どもは考えております。
一方で、ある支出が適当かどうかという点は、もちろん個別具体的な検討が必要であります。その上で説明責任を果たすよう求められた場合には、どういう場面、どういう場所においても堂々と正面から説明が可能という点に最終的は帰着すると私は考えております。  
残念ながらごくわずかな数の法人でありますけれども、法人の経費使用、予算執行について社会通念と若干乖離している事例が散見されるのは事実でございます。私の一個人の考えになりますけれども、だれが認めたとか、理事会で決めたとかいう形式的な要件よりも、「それは説明できるか」というような問いかけのほうが有効な話もあるのではないかと思います。
そういう意味では、繰り返しになりますけれども説明責任を果たすべき公的な存在であるということについて、改めて思いを致していただければと思う次第でございます。

また、助成財団の皆さまと公益認定等委員会は、一緒になって寄付社会を醸成していく中で「民が支える社会」に向って、「民による公益」を担うより優れた公益法人制度を目指していくという観点で「パートナー」と位置づけられると考えています。
公益認定等委員会の活動には以上のような基本的な考え方が背景にあることをご理解いただければ幸いです。