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2017年9月


縮小現象(shrinking)は見られるか

太田達男((公財)公益法人協会 会長)

ICFO(International Committee on Fund raising Organizations)というNPO評価機関の国際的中間支援組織があり、米州、欧州を中心にNPO(非営利公益組織)の組織評価を主目的事業とする18団体が加盟している。
日本からは、当公益法人協会も設立発起人の一人となって昨年4月に誕生したばかりの(一財)非営利組織評価センター(JCNE)と(公財)日本財団が加盟している。

私は、JCNEの代表者として2016年と2017年の大会に参加したが、2017年大会のテーマは、「チャリティの活動領域の変容と評価機関のインパクト(Changing Spaces of Charities:The Impact of Monitoring Agencies)というものであった。
各国の専門家・実務者から異口同音に提起された問題意識は、NPOの活動領域が縮小(shrinking)してきているのではないかというものであった。
すなわち、政府・市場経済・NPOなど市民社会組織の三者間の関係において、市民社会組織の活動の場が相対的に狭くなってきているという認識である。

まず、政府との関係においては政府の力が相対的に強くなり、NPOはどうしても受け身になる傾向が見られる、さらには、NPOを政府にとって都合の良い存在としか考えない政府による有形無形の圧力も無視できないという。

市場経済(企業)との関係においては、企業が社会的課題の解決に向けて、より積極的(aggressive)になってきている現象が指摘された。
特にドイツでは、高齢化、出産率低下、都市集中、一人所帯増加、移民の増加、ジェンダー差別などが顕著にみられ、このような変化に市場経済は、NPOの手法をとり入れてうまく対応しているが、逆にNPOはこの変化にうまく対応できていない。
つまり、NPOは組織自体のリ-ダーシップの意識変革、市民の参加意識の減退、財務基盤の脆弱化、社会のニーズ把握などの点において、変化に対応することに失敗していると指摘する。

果たして、これらの指摘は日本にも当てはまるのかどうか。

政府との関係では、ここ10年来公益法人制度改革(2008年)、特定非営利活動促進法の大改正(2011年)、社会福祉法人改革(2017年)や、これらに連動する非営利法人税制の整備を見れば、制度的には市民の自発的な公益活動への取組の場は拡大してきているようにもみられる一方、制度の実際的運用面ではどうか、地域の現場ではどうか、行政の下請け化が進んでいるのではないかなど色々見方があろう。

企業との関係ではどうか。西欧諸国以上にある意味で多くのかつ深刻な社会的課題に、伝統的なNPO組織はうまく対応しているのかどうか、企業のCSR、CSV活動や、いわゆる社会的企業と呼ばれるハイブリッドな組織が、より柔軟にとりくんでいるのではないかなど。
 
2018年度は、公益法人制度改革10周年、特定非営利活動法人制度創設20周年を迎えるが、一つの大きなテーマとして検証し、総括してみるのも必要と思う。

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