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2017年5月


三つの仮説 ―2016年度定点アンケートから―

太田達男((公財)公益法人協会 理事長)

公益法人協会では、2005年以降公益法人(改革後は一般法人も)を対象に、毎年7月前後に実情調査のためのアンケートを実施している。
このアンケート結果は、行政・立法当局等への提言・要望活動の重要な基礎資料として活用しているところである。

2016年度のクロス分析により、三つの仮説を立ててみた。
なお、この傾向値は過年度においても同様の傾向が見られているが、ここでは2016年度の数値により見てみよう。

仮説1:財団は社団に較べ、新公益法人制度により親和的である。

「今、自由に法人類型を選択できるとしたら、どの法人格を選択しますか」という公益法人に対する問いに、公益法人以外の法人格を選択するとした回答は、財団は11.3%、社団は22.9%と倍の開きがある。

「法人の運営上何か困っていることはありますか」という質問に対しては、財団は54.5%、社団は64%と、社団の方が制度上の困難を感じている率が高い。

「インターネットによる情報公開をしていますか」に対しては、ほぼ同様の率で公開はしているものの、財団88.2%、社団84%と、わずかながら財団の公開率が高い。
このことは、そもそも制度改革施行日の2008年12月1日現在の旧民法公益法人数24,317のうち、財団法人が49%であったが、2016年12月末現在の新公益法人数9,397に占める財団法人は56%に上昇していることからも窺えるところである。

仮説2:内閣府所管法人は都道府県所管法人に較べ不満が少ない。

「今自由に法人類型を選択できるとしたら、どの法人格を選択しますか」という公益法人に対する問いに、公益法人以外の法人格を選択するとした回答は、内閣府所管は9.9%、都道府県は19.9%と倍の開きがある。
また都道府県とはいっても中には、公益法人以外の法人格を選択したいという比率が40%を超えるところが4県あり、かなりのばらつきがあることも事実だ。

「法人の運営上何か困っていることはありますか」という質問に対しては、内閣府は52.3%、都道府県は62.1%と10ポイントの開きがある。
同様に80%以上が困っているというところが5県あり、ここでも都道府県にはバラつきがあることを指摘しておきたい。
尤も、この仮説は収支相償に対する不満度や立入検査の対応など運用の詳細については、大差がなくさらに検証する必要があろう。

仮説3:一般法人は公益法人に較べ運営上の障害は少ない。

「法人の運営上何か困っていることはありますか」という質問に対して、公益法人は58.8%が「あり」と答えているが、一般法人は22.3%と大差がある。
もちろん、これは制度上一般法人には行政庁による監督制度がなく、移行一般法人といえども公益目的支出計画完了後は、行政庁の手を離れるので、当然予想される結果であろう。

反面インターネットによる情報公開率は、公益法人の86.3%に対し一般法人は53.7%と低く、行政庁の監視がない一般法人に対し、どのように社会から評価の目を向けていくのか一つの大きな課題となろう。

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