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2017年1月


三題話とFiduciaryの精神

太田達男((公財)公益法人協会 理事長)

公益法人はじめ公益非営利組織の皆様、明けましておめでとうございます。

さて、ご承知のように昨年12月「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が成立し、1年半後の施行が予定されています。
また、公益信託制度の抜本的改正が、現在法務省の法制審議会で審議中であり、2018年には新法が国会に提出される動きになってきました。
もう一つ、資産を公益のために寄附する機運を普及促進し支援しようという「全国レガシーギフト協会」が昨年11月に設立されました。

これらは、一見夫々別々の動きのように見えますが、その根幹に流れるものは、民間資金を非営利公益団体が社会的課題を解決するために必要な活動資金として、役立てようというものです。
休眠預金活用制度では、年間500億円前後の資金が民間公益活動に廻ることが予想されています。
公益信託では現在600億円前後の残高ではありますが、一定の要件を充足する公益法人等も受託できる方向で制度設計が進んでいますから、期待される公益法人並みの税制整備と相まって、かなりの信託資金の流入が期待できます。
また、遺贈による資産の寄附は、米国の場合187億ドル(約2.1兆円)、わが国では僅か300億円程度と米国の1.4%ですから*、今後の伸びしろが相当期待できます。

これらの資金の多くは、助成財団など資金的支援を事業活動の中心に据える非営利法人が配分団体として預託、寄附もしくは信託を受け、現場で活動する団体に助成、貸付、出資などの資金的支援をするという構図になります。

そこで私が声を大にして言いたいことは、これらの団体にはしっかりとしたガバナンスにより運営され、法令遵守はもとより公益組織としての最高度の倫理観を持ち、そして透明性の高い行動が最低条件として必要であるということです。
また配分団体の場合はさらに、適切な助成先を選考する公正無私で、支援する事業の必要性についての眼力を兼ね備えた選考体制の構築が不可欠と思います。

信託形式の場合はもちろんですが、休眠預金もレガシー寄附も他者から信じて託された預かりものという意識が必要です。
ひと言でいうと受任者(Fiduciary)としての義務があることを肝に据えていただきたいということです。

休眠預金、公益信託、レガシー寄附いずれも、万一不適切な管理・使用があった場合取り返しのつかない事態になります。
すなわち社会からの信用を失うとその当事者に対するだけでなく、制度そのものへの不信感があっという間に広がってしまいます。
このようなことが続くと、規制当局の規制が強まり、非営利組織の最大の特徴である創造的、先見的、迅速な活動が制約されることになりかねません。

このコラムをお読みの皆様には釈迦に説法と思いますが、年頭に当たり敢えてこのことを強調し、併せて皆様にとって更なる飛躍の年となるよう祈念いたします。


*出所:日本は、平成25年財務省資料「相続税の課税状況の推移」による。
    米国は、"Internal Revenue Service Data Book 2014" Table 1, 5,
    および "SOY Tax Stats-Estate Tax Filing Year Table 2014" Table 3による。

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