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2016年3月


あの日から5年

太田達男((公財)公益法人協会 理事長)

今年もあの日から5年を迎えた。
復興庁の発表資料等だけを見ると、避難者数はピークの47万人から18.2万人に減少、2016年1月末で高台移転は30%、災害公営住宅は47%が完成、農水産業は元の80%前後まで再開可能などの数字が並ぶ。

しかし、この数字を見て被災地の復興は7~8割まで進んでいると思う人は誰もいないだろう。
現実に高台や内陸部に居を構えた人は、僅か1割にも満たない。浸水域の利用に至ってはほとんど手付かず、仮設住宅(みなし仮設住宅をふくむ)での不自由な暮らしを強いられる方たちは、今も約14万人にもなるという。そもそも、地域によって復興の格差は大きく異なる。

放射能被害が重なった福島の避難指示解除準備区域でも、帰宅する意向を示した人は、例えば葛尾村では僅か6%程度という。生まれ育ち、生活の生業を続けてきた故郷が失われ、戻って来ても高齢者が中心で、若い世代は新たな生活を新たな場所で再建し、それが定着しつつあるというのが現状であろう。南三陸町では人口の3分の1が、65歳以上(全国平均では4分の1)という超高齢化先端地域となっている。

単に、元のコミュニティを再建することは、現実問題として不可能とすれば、単に元に戻す復興ではなく、新しいコミュニティを創造するという視点が重要だろう。その意味で、住民の合意形成が基本になるべきは当然であるが、これを助言する外部の専門家集団による新しい発想も必要となろう。
そして、これらのマクロ的な課題と同時に、地域や個人個人の事情から生ずる復興格差も忘れてはならない。災害の恐ろしい記憶、家族との別離、将来の不安など、心の痛みは千差万別だ。

公益法人の専門的知識、資金、そして何よりも利他主義を旨とするその使命こそ、今も3.11復興支援に向けて、政府や企業ができない部分を埋めていくことができる組織と思う。

公法協が毎年実施しているアンケートによれば、(移行期間中であることや、対象母数に差異があることから一概にはいえないが)2012年度では公益法人・一般法人の26%が何らかの支援事業を実施していたが、2015年度では13.4%に減少している。
公益法人・一般法人や特定非営利活動法人など非営利組織は、資金的にも職員数も少なく、できることは限られてはいるが、その規模に応じた支援対象は必ず存在する筈だ。その中で自分ができる何か一つをだけでも選んで、できれば今後も継続的に活動を続けてほしいものだ。

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