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2015年7月


公益法人・一般法人の資金運用

太田達男((公財)公益法人協会 理事長)

資金の運用益に収入の多くを依存する法人の一部にとって、昨今嬉しさ半分、悩み半分の微妙な感情が交差している。

上場会社の約7割を占める3月期決算会社の2015年3月期合計営業利益は、前期比で全産業では7.7%、製造業12.0%、非製造業2.2%の増益と報じられているように、これを反映して株式配当率や株価も上昇し、また円安により公益法人等が多くの資金を投入している仕組債からも高配当が得られた。

収支相償をどのように乗り切るか、これも悩みの一つではあるが、今日はもう一つの悩みを考えてみよう。
それは再投資をどうするかということだ。

仕組債は、発行体の早期償還により、高配当をこれからも享受することができない仕組みだし、また過去に投資した比較的利回りの高い国債も続々償還期を迎え、2018年までに1.5%以上の10年もの利付国債はすべて償還され姿を消す。

このように償還された資金の再投資、これが悩みの種というところだ。
0.4%前後の10年もの長期国債では、事業費がとても賄えない、さりとて1・2%前後の20年もの、1.6%前後の30年もの国債に投資するのは、あまりにもインフレリスクが怖い。
株式や外貨建て金融商品のような、マーケットリスクのあるものまではとても手が出せない。
さりとて償還された資金を、預金のまま遊ばせておくわけにもいかない。
さあ、一体何に投資するか、こんな悩みを相談される法人が多くなってきている。

しかし、専門家も含めこれという妙案はないというのが本当のところだ。
私個人は、公益法人等の運用も分散投資を基本に、少しは価格変動リスクをとってもよいとは思うが、結局、法人自体が自主的に、また自己責任で熟慮の上判断されるべきことと思う。
ただ、その際忘れてはならないことは、資金運用の常識に沿って慎重に判断していただきたいことだ。

大方の皆さんには釈迦に説法のようなことではあるが、その常識として私が常々申し上げていることが5点ある。
 
1.運用手続き規定を必ず整備し、その手続きに沿って運用すること。
  常勤役員や事務局幹部の一存で運用してはならない。
  善良なる管理者の注意義務違反として責任を問われないよう。
2.セルサイド(商品を売る側)の説明を絶対に鵜呑みにせず、商品内容(特にリスクの所在)を
  十分理解すること。わからなければ、100%理解できるまでトコトン質問すること。
3.リスクとリターンは正比例、高いリターンが得られる可能性の商品はそれだけリスクも高いこと。
  リスクが0ならリターンも0。
4.元本保証ということの本当の意味
  元本保証の法律的意味は、債務者が必ず借りた元本を返すと約束すること。
  問題は誰が約束したかであり、返すと約束したから安全とは必ずしも限らない。
  あくまでも、発行体の信用力(それも長期にわたっての)と商品内容により判断すること。
5.集中投資は危険の元 
  集中投資は一つのリスクに賭けること。投資商品を分散させることによりリスクも分散される。

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