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2012年5月


移行後の法人運営

公益財団法人 公益法人協会 理事長 太田 達男

 移行期間は後1年半ばかりだが、移行認定・認可申請がこれからという特例民法法人は4月末現在、まだ約6割残っている。とはいうものの、すでに移行登記を終えた法人の絶対数は、8,412法人とかなりな数に上っている(注1)。

 これら移行済み法人の最大の関心事は、移行後の法人運営をめぐる諸問題だ。
以下に代表的なものを挙げる。

 ① 各機関の運営手続
  招集手続、決議方法、決議の省略、業務執行理事の報告、議事録の作成など社員総会・評議員 会・理事会など
 ② 会計に関する手続
  損益計算書における各会計間にまたがる収益・費用の仕訳や資産科目の各会計間での振替問題など
 ③ 定期提出書類の記入方法 
  別表Hなど
 ④ 行政庁の監督に関する事項
  変更認定・認可申請すべき事項や、届け出すべき事項、立ち入り検査等など

 最近の公益法人協会への面談・電話による相談事項は、認定・認可申請に関する相談よりは、このような移行後の運営手続に関するもののほうがはるかに多くなってきている。
 協会ホームページの「Q&A(フォーラム)」(注2)も同様の傾向だ。

 これらの質問のうち①と③は、すべて法令に準拠しているとはいえ、その解釈に疑問を生ずることが原因だ。
 ①の場合、多くは会社法を引用しており、一般法人の場合も同じ解釈でよいのか、より合目的的な解釈が許されるのか、なかなか微妙な問題を含んでいる。
 ③の定期提出書類で記載すべき計数・事項も法令で規定はされているものの、その法令(主に府令)が極めて難解で、一般市民には理解不能な事項も含まれている。

 また、②については、必ずしも法令では明らかにされていない問題を含んでおり、日常の会計実務として発生するだけに経理担当者としては一番悩むところだ。
 ④については、変更申請すべき事業の種類・内容、届け出で済む軽微な変更、そして届出も不要な変更の境目が明確でないため、頭を抱えるケースが多いようだ。とくに行政庁に相談すると、固めに解釈され変更申請を指導される傾向があり、そのため事業の弾力的迅速な展開ができないこととなり、従前の主務官庁時代と同じかそれよりも後退している印象すら持つ。
 
 内閣府も、現在は殺到する申請の処理に追われ、移行後の運営問題まで考える余裕がないのかもしれないが、ここを間違うと主務官庁の裁量的かつ包括的監督による弊害を廃し、公益法人が自発的に行う公益活動により、公益の増進と活力のある社会に実現に資するという本来の目的から遊離してしまうことを懸念する。

 (注1) 「新公益法人制度における全国申請状況(速報版)」(平成24年4月30日)より。
 (注2) 公益法人協会ホームページ内「Q&A(フォーラム)」参照。
       http://www.kohokyo.or.jp/kohokyo-forum/

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