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2010年8月


移行申請本格化の時期を迎えるにあたって
-移行後の運営体制を考慮して-

公益財団法人 助成財団センター 専務理事 田中 皓

連日の高温多湿、猛暑お見舞い申し上げます。

東京の気温はこの100年間で5度上がり、今の東京の温度は100年前の鹿児島の南端と同じ気温だとか。この夏の世界各地での猛暑、突発的集中豪雨や干ばつの発生は地球温暖化がその主因と言われ、この猛暑の中、更に気温が上昇し続けることを考えると、温暖化防止に効果のあるCO2削減への取り組みには個人的にも今すぐ協力しなければと考えさせられる夏となりました。

100年間でのヒートアップは公益法人制度改革への取り組みにもつながるものがありますが、7月末の全国申請状況は、申請件数約1,000件(特例民法法人数の4%)、認定・認可件数約500件(特例民法法人数の2%)と極めてスローな進捗状況の中、申請件数に占める認定・認可件数率は1年目の20%台から現在は50%台へと飛躍し、審査の迅速化が図られています。しかし、残された移行期間内での完了を目指すためには1ヶ月に500件以上の申請が必要となる状況です(これまでの最多申請件数177件/月)。

わが国の今後のあるべき社会の方向性を示した「新しい公共」宣言の中でも、公益法人制度改革に関して「事後チェックを適正に機能させ、柔軟でメリハリのある審査への転換」「認定等の期間は4ヶ月以内を目途とする」「外部の有識者や経験者の活用による相談会の実施」(公法協が業務受託)等が提案され一部は実施されています。また、7月には蓮舫行政刷新担当大臣が「早めの移行申請のお勧めメッセージ」を発表するなど、政府も移行申請促進に向けて各種の促進策や情報発信に力を入れてきています。

特に、公益認定等委員会による認定件数の約6割が助成財団であることから、事業の公益性に問題のない助成財団は早期申請を強く要請されていますが、最近の助成財団の業態別勉強会等では、既に認定を受けた公益法人の申請書類一式をそのままテキストとして活用することで、これから申請書を作成する法人にとっては大変参考となり申請の早期化に役立っています。その観点から認定を受けられた法人が支障のない範囲で申請書の内容開示に協力いただき、後に続く法人に便宜を図っていただくことも重要な取り組みとなっています。

一方、申請を急ぐあまり法人運営についての検討が不十分なまま申請し、移行後の法人運営に大きな支障をきたしているケースが発生していますので、特に機関設計を中心に申請前に十分な検討、注意が必要です。
具体的には、①理事会・評議員会の開催回数の定め(定款で理事会を年4回開催としてしまったが現実には4回開催は不可能となった。法定範囲内で実際の開催に無理のない回数設定が必要。)、②評議員会開催に関する理事会での決議(理事会の決議を経ずに評議員会を開催しようとしたケース)、③決算に関する評議員会開催のタイミング(決算理事会から2週間の間隔をあけての開催をしなかったケース)、④理事会・評議員会へ過半数の出席確保が確実な役員等の人選(検討が不十分のまま登記してしまったが、評議員会の開催当日になって急な欠席者が出て定足数が満たせず評議員会が開催できなくなったケース)、⑤移行登記の時期による役員任期の確認(移行後の任期を誤り役員の改選を行ってしまい法務局で登記を拒否されたケース)等が実際に発生しています。
不慣れなこともありますがこれらの事態の対処には、定款の変更手続きや役員会等の仕切り直し等時間と手間がかかるばかりか事務局の信用に関わる問題ともなってきます。

移行の現状から早期の移行申請、早期の認定・認可が望まれるところですが、申請の最終段階にあっては、ガバナンスやコンプライアンスの観点から個々の法人ごとに移行後の運営体制について、法律を遵守できる体制構築が出来ているか、無理のない法人運営が可能な定款や規程になっているか等の確認を行うことも重要なポイントとなってきています。

(公益法人コンプライアンス委員会委員長)

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