マニフェストにみる公益法人
総選挙もいよいよ公示日が迫ってきた。政権交代が現実味を帯びてきたこともあり、今回の選挙は、有権者の関心もかなり高いようだ。近年は、各党がマニフェストを掲げて、具体的なコミットメントを明示するスタイルが定着しているが、これは歓迎すべき傾向といえるだろう。
ただ、今回各党が示したマニフェストを見て、「またか」と、げんなりした公益法人関係者も多いのではないか。
たとえば自民党のマニフェストを読むと、「地域活性化・地方分権」の項目のなかで「地域で活動する団体やNPO法人の育成・支援」が謳われている。良い方針である。が、そこに「公益法人」の文字はない。その文字を目にするのは「財政再建」の項目中の、「無駄遣いの撲滅」という部分だ。「独立行政法人や公益法人への支出を引き続き厳しく抑制する」とそこでは述べられている。
民主党はどうか。こちらもやはり「地域主権」の項目中に「市民が公益を担う社会を実現する」という見出しを立て、「特定非営利活動法人をはじめとする非営利セクター(NPOセクター)を支援する」と謳っている。さらに認定NPO法人制度を見直し、寄附税制を拡充する・・・と続く。当然のようにここにも「公益法人」の姿はない。どこかにないかと探すと、やはり「ムダづかい」という項目の中で、「特別会計、独立行政法人、公益法人をゼロベースで見直す」とある。
ライバル政党であるにもかかわらず、NPO法人と公益法人の扱い方については判で押したように同一である(ちなみに公明党も一緒である)。あくまでNPO法人は「支援の対象」であり、公益法人は「ムダ見直しの対象」なのだ。よもや公益法人がNPOセクターの一員であろうとは、想像すらしていないかのようである。
ある程度事情に明るい人なら、ここで言われている「公益法人」は、いわゆる官製法人を指すのだと"正しい解釈"をすることもできるだろう。同じ公益法人でも民間のものとは全く違うのだと。だが一般の市民はどうか?
一般の人々は、「民間の団体が自発的に行う公益を目的とする事業の実施が公益の増進のために重要となっていることにかんがみ・・・」という公益認定法の総則などは読んでいない。読んでいるのは世に大量流布しているマニフェストである。「嘘も100回言えば真実になる」とはナチスの宣伝相ゲッペルスの言葉だが、繰り返しによる刷り込み効果はさように恐ろしい。
新制度がスタートしても、これでは新しい公益法人のイメージは一般の人々には見えてこないし、ましてや市民がそれを育て、支えていこうという空気は醸成されないだろう。今後はもう少し配慮のある表現をしてもらえるよう、各政党に申し入れることも必要ではないか。
(公益法人法制委員会委員長)
