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2009年7月


奨学財団に支援を

公益財団法人公益法人協会 理事長 太田 達男

 格差社会が進み、生活保護を受ける所帯が130万を超え、給食費や授業料の支払いが困難な家庭が急増している。シングルマザーの40%もの家庭が生活保護を受けているとの統計もあり、高校・大学進学をあきらめる者、入学した学生も中退を余儀なくされる事例が急増しているという。

 独立行政法人日本学生支援機構(旧・日本育英会)によれば経済危機を受け昨年末から今年2月初旬にかけ、想定した4,000人に対して9,000人の応募があったという。各大学が独自に実施する授業料免除制度や奨学金には何倍もの申し込みが相次いでいるそうだ。

 教育は国力の基本であり、幕藩体制下でも有名な米百俵の話など競って教育の振興に力を注いでいたが、明治維新後も旧大名、名家・実業家が公益法人制度を活用してそれぞれの地域で設立した基金には奨学基金が多い。いわば我が国フィランソロピーの原点といってもよいだろう。現在育英・奨学を目的とした公益法人は全国で約1,500に上るが(総務省の公益法人白書)、これらの基金の中には大正、昭和初期の時代に設立されたものが戦前戦後の混乱期を乗り越え、今も地域社会で活躍する比較的小型の法人も多い。戦後の悪性インフレを乗り切った秘密は金融資産ではなく、不動産を活用した事業収益を奨学金原資にまわすことができたからだ。また、奨学金募集対象も特定の高校・大学など比較的狭い範囲のものが多い。

 これらの奨学基金は今回の公益法人制度改革の対応に苦慮しているところも多いと聞く。一つの問題点は、公益目的事業比率計算において不動産事業など対価を得る事業が収益事業とされる場合、費用の額が影響して50%超を達成できないことだ。とりわけ貸与型の基金は厳しい。もう一つは全くの誤解であるが、特定校を対象とすることは公益性が認められないと勘違いされていることだ。

 前者の問題点は、公益法人協会もこれまで度々対策を要望してきたが、当局も今度こそは対応策を真剣に考えていただきたいものだ。後者は私もいろいろな場で誤解を解いているが、当局としてもこれが誤解であるというメッセージを明瞭に発信していただきたい。

 格差社会にあって、今、民間育英・奨学基金のより一層の活躍が待望されている。公益認定をできるだけ早く取得してもらい、公益法人としての手厚い税制優遇措置の下、より活発な活動ができる環境を整えることは国の義務でもあろう。

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