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2009年6月


辻さんの想い受け、新制度に魂を

財団法人助成財団センター 専務理事 田中 皓

 先週、大変お世話になった朝日新聞記者・編集委員の辻陽明氏が6月11日急逝(享年53歳)されたとの知らせが飛び込んできて絶句しました。既に公法協のメール通信(6月12日付)で故人の業績等が紹介されていますが、これからのわが国における市民活動の重要性や公益法人制度改革、環境問題等に関し、民間の立場からの積極的な取材と発信を続けてこられ、シンポジウムや会合でご一緒する機会にはその建設的な意見にどれほど励まされてきたことか、このたびの突然の訃報は非営利組織に関わるものにとって痛恨の極みです。

 特に、2005年10月から2007年2月まで連載された「新市民伝」では、行政に対して社会問題の解決を求めるだけの「市民運動」から脱却し、自分で問題の解決を考え実践する市民活動の担い手を「新市民」と名づけ、環境や教育、福祉、まちづくりなど様々な社会の問題に先駆的に取り組む70人を紹介し、硬直的な行政や利益優先の企業とは異なる独立した立場で、自ら進んで公共的な活動をになう民間の非営利組織としての「新市民」(NPO〔非営利組織〕、NGO〔非政府組織〕)の存在がこれからの日本にはますます重要になることを具体的に示されてきました。

 その中で、「新市民」に求められる機能は、①新しい問題に取り組む先駆性、②縦割りの分野をつなぐ総合化の能力、③多様な政策の提言力、④行政に勝る機動力、⑤消費者の立場からのチェック機能が重要としています。 「新市民」の特徴はその多様性にあり、年齢、性別、地域、立場を越えて人々が集い、知恵を出し合って社会問題の解決を目指す活力が生まれてくるとし、多様な「新市民」が生き生きと活動できる法人制度や税制をどう考えていくのか、日本の将来を左右する課題と考えるべきであると提言しています。

 その観点から、新市民に求められる機能とも重なる民間の公益活動に携わる公益法人制度に対しても高い関心を示され、その制度や税制の成り行きを終始一貫して見守り、建設的な提言活動を続けてこられました。

 現在、移行申請が始まり半年が経過、公益認定等認定委員会の発表(5月31日現在)では、特例民法法人からの移行申請(公益認定・一般認可)状況は、全国計で138件・申請率0.55%(内閣府関係で77件・申請率は1.13%、都道府県では61件・申請率0.33%)、移行認定を受けた法人数は、全国で13件(内閣府関係で7件)となっています。公益認定等委員会の話では、この5、6月の理事会・評議員会を終えて申請される法人の増加、次いで来年の4月1日の登記を目指して秋頃に申請される法人が増加すると予測しているようです。

 このたびの制度改革への対応では、スムーズな移行申請の事務手続き、認定取得への取り組みとあわせ、故辻陽明氏が日本の将来を左右する課題と位置づけ提言し続けてきた、日本社会における新しい非営利組織への想いを是非実現すべく、事業や組織、運営の充実に取り組み、新制度に魂を注ぎ込みたいものです。

 紙面をお借りしこれまでのご活躍に感謝申し上げ、心からご冥福をお祈り申し上げます。

(公益法人コンプライアンス委員会委員長)

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