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2009年4月


大事なのは初期設定より軌道修正

財団法人セゾン文化財団 常務理事 片山正夫

 長く助成財団の仕事をしていてつくづく思うのは、最初から完璧な助成プログラムというのはないということだ。助成活動が相手にしているのが生きた社会である以上、プログラムが社会においてどう機能していくかを正確に見通すことは、神様でさえ不可能だといえる。もちろん財団としては、目的にかなった助成プログラムをつくるべく、事前に時間をかけてニーズを調査し、知恵をしぼって議論もする。が、それでもしばしば現実は予測を裏切るものなのだ。

 そうであれば、事前の調査や検討であまり完全を期するよりも(なにしろこれはキリがない)、むしろ“とりあえず”施行してしまい、あとは現場からのフィードバックをもとに軌道修正を加えていくほうが、良いプログラムを作るうえでは誰が考えても合理的なやりかたである。私は、助成財団にプログラムオフィサーが必要な理由の第一はここにあると思っている。制度というものは、目的さえ明確であれば、初期設定を決めることより、むしろその評価と修正に重点が置かれるべきなのだ。

 新しい制度の初期設定は、もともと仮説のようなものである。こうすればよいのではないかと、神ならぬ人間が頭の中で考えたことに過ぎない。それはそれで大事な作業だが、目的に対して最高の手段たりえているかどうかは、実地に検証されて初めて明らかとなる。

 これは今回の公益法人制度改革でも同様である。「公益の増進と活力ある社会の実現」という、法律に明記された目的にかなうシステムなのかどうかが明らかになるのは、これからだ。当然公益認定を受けるべき団体が受けられない、あるいは実務的煩雑さから申請自体を忌避してしまうなどの事例が、仮に無視できない件数になったとすれば、それはシステムのほうが不完全であったと認識しなくてはならない。

 もちろん制度を評価するのは行政だけの仕事ではない。官民が双方で行うべきだ。そして、必要な場合はいつでもより良い制度に軌道修正が図れるような、開かれたメカニズムをもつことが大切である。

 私の観察では、すぐれた成果を挙げている助成財団ほど、こまめにプログラムを修正している。「申請者には決まったルールに従ってもらう」というのではなく、「ミッションを達成するために日々ルールの完成度を高めていく」という発想がそこにはある。
               (公益法人法制委員会委員長)

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