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2008年12月


プロポーショネイトということ

(財)公益法人協会 理事長 太田達男

 プロポーショネイト(proportionate)という言葉も中々ぴったりした訳語がないが、ここでは「実情に合った」と訳しておこう。

 英国チャリティコミッションのウェブサイトをみるとこの言葉がよく出てくる。昨年秋公法協主催の日英セミナーでも、スージー委員長は「私たちはプロポーショネイトな取扱いを心掛けている」と強調していた。つまり、チャリティといってもその規模はまさにピンからキリまであり、それらの「実情に合っ
た」取り扱いが必要だというのだ。

 英国の場合、年間収入5000ポンド(約70万円)未満のチャリティは登録不要であり、非登録であっても税法上の優遇措置は登録チャリティと何ら変わらない。さらに登録チャリティでも2万ポンド(約280万円)未満は、簡便な申請手続きとその後の比較的緩やかな遵守要件が適用されている。逆に100万ポンド(約1億4千万円)以上のチャリティは、外部監査を義務付けるなど小規模チャリティに較べ厳しい運営手続きを要請している。因みに、登録チャリティ19万件の中、10万件が2万ポンド以下、また100万ポンド以上のチャリティの収入が全チャリティ収入の90%を占めるとのことで、重点的にチェックしなければならないのは大規模チャリティだというわけである。

 ひるがえって、日本の新制度では全くと言ってよいほどプロポーショネイトの思想が欠落している。規模の大小を問わず一律の要件が課せられ、申請手続き、年次の報告も大小の区別はない。

 最近になって、立派な公益活動を続けてきた公益法人が、あまりの煩雑な申請手続きやその後の管理事務の過大さに辟易して、公益認定を諦めようとする傾向が出てきている。

 明治・大正時代の有名法学者、誰でもがその功績を認める政治家、財界人、あるいは地方において財をなした篤志家などを記念して設立された公益のかたまりのような伝統ある公益法人が、一般法人への移行あるいは解散さえ考慮中との話を聞くと誠に心が痛む。

 スタッフを大勢抱えられる、あるいは専門家に報酬を支払える法人だけが認定を受けられ、小規模の法人が切り捨てられるのではないかという人も多いが、新法の趣旨は決してそうではない筈だ。
 プロポーショネイトの持つ意味を、もう一度我々も考える必要がありそうだ。

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