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2006年10月


国それぞれの非営利団体制度と制度改革  ―欧州調査に参加して―

(財)住友財団 専務理事・事務局長  石川 睦夫

 8月下旬~9月初に、公益法人協会の「ヨーロッパ非営利団体調査ミッション」に参加しました。所変われば品変わるで、非営利団体制度は、それぞれの国の社会制度の歴史や習慣を基に現在の制度が出来上がっているためか、程度の差はあれ違いがあります。

 ドイツでは、「公益団体制度=公益性を理由とした税優遇制度」と認識されており、その際の公益性の判断は、税法に基づき、税務当局に100%委ねられています。この点は、日本や英国と大きな違いがあります。

 そして各州の民法に基づく社団法人、財団法人は、公益性とは全くリンクしていません。日本の公益法人制度改革で新たに制定された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の一般社団法人、一般財団法人に相当します。

 しかし、私たちが訪問したロバート・ボッシュ財団は、公益性を認められていますが、法律的にはGmbH(有限会社)です。自動車部品メーカーのロバート・ボッシュGmbHの持分の約92%を所有し、その受取配当金で2005年は5,560万ユーロ(約80億円)の活動資金を得ています。財産については約92%の権利を有しながら議決権を0とする信託契約によって、公益性を認められ(財団を設立した1964年当時の税制では、25%以上の議決権を持っていると、配当金収入が課税対象になってしまったとのこと)、名称もRobert Bosch Stiftung(ロバート・ボッシュ財団)と名乗って活動しています。

 自動車部品メーカーであるロバート・ボッシュGmbHの支配権は、合資会社を設立して、その合資会社に信託契約によって約93%の議決権と0.01%の持分を所有させ、その議決権行使はTrusteeである合資会社の持分所有者に委ねています。創業者のRobert Boschの一族も7.99%の持分と7%議決権を有していま
す。事業継承と社会貢献を両立させた見事なモデルケースです。

 日本でも実質的に同様なことが可能であれば、成功した起業家の社会貢献活動を促す、大きな誘因になると考えられます。可能かどうか検証できていませんが(難しいような気がしますが)、日本の現行の税法、会社法、信託法そして新たな公益認定法の下では不可能ということであれば、次の制度見直しの際
の課題として考えてみたいテーマの一つです。
 
 制度見直しといえば、訪問したドイツ連邦議会の「市民参加小委員会」では、公益性に関する判断基準や税制を改正する草案が作成されており、これは市民参加しやすい制度とするためであるとの説明を受けました。大きな動きのないように見えるドイツでも、小刻みの制度改革の動きは続いているようです。

(公益法人法制対策委員会委員長)

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