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2006年6月


コモンセンスか専門性か

(財)セゾン文化財団常務理事  片山 正夫

  公益法人制度改革関連三法も国会を通過し、今後は、公益性の認定を行う公益認定等委員会の組成についても、より具体的な検討がなされていくことになる。これまで、この委員会に関する議論は、主としてどれだけ民間性、独立性が保てるかという点に重きが置かれてきた。確かに最も重要なのはその点に違いないが、大事な論点はそれだけではない。

 たとえば、公益性を認定する過程で、どれだけ各公益分野の"専門性"を入れていくかという点も、そのひとつだ。公益性判断の際、その「視座」をどこに置くかについては、大きく二通りの考え方が取りうると思われる。ひとつは、市井の人々の感覚を重んじようとするコモンセンス型の考え方。そしてもうひとつは、より専門的な見地からの判断を重んじようとする考え方だ。

 実際の活動内容において「どこまでが公益か」を問おうとするとき、一般市民と、その分野の専門家とでは、おそらく判断が異なってくるものと思われる。たとえば私の財団の対象分野である芸術についていうと、それが芸術だと認定する範囲は、一般市民より専門家のほうが確実に広いだろう(公益性の認定ではなく、あくまで"芸術性"の認定の話だが)。

 ほかの分野でも、多かれ少なかれ同様のことがあるのではないか。今はさまざまな分野の先端領域において、旧来の伝統的な境界線が溶けつつある時代である。公益的/私益的、商業的/非商業的の区分も曖昧になり、公益の範疇は、見方によってではあるが、拡張しつつある。

 個人的経験に照らせば、ふだんそういう先端事例に触れている専門家に比べると、一般市民の価値観は意外と保守的であったりするのだが、場合によっては逆のケースもありうるかもしれない。

 いずれにせよ、7名の委員がすべての公益分野に精通しているとは考えにくい以上、一般市民的コモンセンスと、各分野の専門性の塩梅をどう図っていくかは、よく考えておくべき問題だといえる。

(公益法人税制対策委員会委員長)

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