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2005年12月


公益法人制度改革の波及効果

(財)セゾン文化財団常務理事  片山 正夫

 私の所属する財団の助成先には比較的小規模な非営利劇団が多い。こういった芸術団体にとって、かつては法人化しようにも、ふさわしい法制度が用意されていなかった。力のある一部の団体は公益法人になることもできたが、多くは任意団体のままか、法人化がしやすいという理由だけで、(営利を目的としないにもかかわらず)営利法人として活動をしていたのである。

 このような状況は、NPO法の施行でずいぶん改善されはした。だが実際には、小さな劇団の多くは、今もNPO法人化に積極的ではない。これは法人化することのメリットと、そのことで増える事務作業などの負担を単純に天秤にかけてしまった結果である。

 しかし、今回の制度改革で、仮に劇団にも寄付優遇法人への道が開かれるなら、状況はかなり変わるだろう。継続的に活動する非営利の芸術団体にとっては、こんどは新・公益法人に「ならない理由」がなくなってしまうからだ。

 そうすると、劇団は、①ビジネスとして演劇活動をおこなう団体、②社会の支援を受けつつ公共性を意識した演劇活動をおこなう団体、③趣味として演劇活動をおこなう団体、に明確に三分化し、このうちどれを指向しているのかが、選択した法人格によって誰にでもわかるようになる。そして、助成機関や寄付者は基本的に②のカテゴリーの劇団だけを対象とするようになると考えられる。

 いっぽう、②のカテゴリーの劇団には高い透明性が求められるので、助成機関にとって今まで分かりにくかった経営実態が、きちんと把握できるようになる。これにより、真の意味で劇団活動を支えるには、現在おこなわれている「損失の一部を補填する」式の事業助成のみでは限界があることが明らかとなる。さらに、劇団経理の信頼性の向上によって、助成機関の側にも「安心感」が生まれるので、運営助成など、これまで以上に踏み込んだ支援政策の施行につながっていく……。

 たとえば以上のようなことも、今回の制度改革に期待したい波及効果のひとつである。劇団の側も、今まで経営実態を好きで「不透明」にしていたわけではない。支援政策の不備がその理由でもあったのだから。今までのこういった「歪み」を正常化する改革となることを望みたい。

(公益法人税制対策委員会委員長)

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