当事者意識という力
昨年の1月の出来事。厚労省は身体・知的障害者のホームヘルプの利用時間数に大幅な上限を設ける(一日4~5時間しかサービスを受けられなくなり施設を出られない案)検討を始めた矢先、障害者たちの反動で計画が頓挫、白紙撤回された。
介護保険制度(保険による高齢者福祉)と支援費制度(税金による障害者福祉)を統合し、年齢引き下げによる保険料負担の拡大で、介護保険制度の財政安定と支援費制度の財源不足の解消を図る厚労省の介護保険制度改革は、またも11月白紙撤回が確定した。
障害者団体、地方、経団連が当初から反対したが、しかし当初は全く逆の流れであった。今春段階では十中八九厚労省案は通ると、誰もが思った。だが土壇場でひっくり返った。
二つの国の案が相次いで廃案になった理由は、改革の主旨が国民福祉の向上のためと謳ってはあっても、実態は財政安定のための経費削減が見え見えであり、障害当事者の意見を反映したものではなかったからだ。障害者の福祉施策は、その当事者が立案にかかわる当事者主体の時代、障害当事者の意識が社会制度を変える、そんな時代の到来を思わせる大出来事であった。
さて、今回の公益法人制度改革のことである。私達公益法人が、当事者意識を前面に押し出すと、組織エゴとして、社会の反感を買うから要注意、との考えもある。
しかし要は、誰の為の当事者意識かということである。それは、私達の支援先のため、例えばNPO法人であったり、ボランティア組織であったり、学術研究者・奨学生であったり、資源保護・環境保全のための、もっと広く捉えれば、民間非営利部門による公益的な法人活動の発展・促進のためのである。それが、今我が国の地域社会が抱える様々な難問・課題を解決する最も効率の良い手立てである、そういう自覚を(当事者意識として)持つことが重要である。
11月発表の「有識者会議の報告書」は、当事者意識が即組織エゴに繋がる「一般非営利法人」と、当事者意識が地域社会の問題・課題の解決に通じる「公益法人」とを、ごった煮にする点に、大きな懸念を持つ。組織エゴの行き着くところが残余財産の分配が可能という中間法人と、あくまで他益のための完全非分配の公益法人と、そもそも進化の起源の異なるものどうしを、同じ一階屋に入れる今回の「報告書」には反対する。私は、反対することが、さまざまな支援先や地域社会にとって真の利益になると考えるからである。
新年1~3月は、いよいよ税の問題に入る。私達は、当事者主体の時代認識の重要性をより深く自覚し、取り組むべきである。
(公益法人税制対策委員会委員長)
