14 定款の変更の案について、「作成の案内」のモデル定款を使わなくてもよい

認定申請のポイントシリーズ第14回

 特例民法法人が公益認定申請を行政庁宛に申請する際に、定款の変更の案を添付書類として添付する必要がありますが(整備法§103②二)、この定款の変更の案について、内閣府の「移行認定のための『定款の変更の案』の作成の案内」(以下単に「作成の案内」とよびます。)のモデル定款を使用しなければ認定申請を受け付けないという行政庁があるやに聞いています。この取り扱いは理論的にもおかしいし、内閣府の説明もそのような扱いになっていないうえ、何よりも実際の認定例では「作成の案内」のモデル定款によらず自主的に作成した定款も多く見受けられます。
 以下ではその問題点について述べるとともに、そのような行政庁が仮にあった場合の対処方法についても言及いたします。

1「作成の案内」のモデル定款を使わなくてもよい理由等
(1)定款とはいうまでもなく、設立者の志を反映し、目的・事業など法人の使命ならびにその遂行に係る組織、活動などを規定する法人の根本規範であり、基本的には法人の自由な判断により作成されるべきもの(いわゆる定款自治)と考えられます。ただし、定款は関連する法令に適合するものでなければならない(*)ので、作成に当たっては、法令上の諸点に留意することが必要です。この点については、FAQ問Ⅰ―3-⑪の1においても、やや後者の観点に重点をおいてですが述べられています。
 (*)新民法第34条は、「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」と規定しています。

(2)「作成の案内」そのものを見ますと、その〔作成の趣旨〕において、「定款の定めの例とその説明をとりまとめました。」としており、「なお、本資料は、法人において、定款の変更の案を作成する際の参考に資するために作成したもので、法人法等に適合しているか否かを直接判断するための基準ではありません。」とも記しています。
 したがって、「作成の案内」のモデル定款はあくまでも参考例であり、法人法等に適合しているか否かを直接判断するための基準でもありませんので、これを使わなくても自主的に作成した(但し同時に法令に適合している)定款でよいことになります。

(3)実際の認定例では「作成の案内」のモデル定款によっていないものも多く見受けられます。認定申請の際に添付した定款の変更の案については、法律上公表の義務がありませんので、自主的に公表されたものについて垣間見たに留まりますが、下記の実例のとおり内閣府及び(地方)行政庁を問わず自主的に作成したもの(乃至は公益法人協会のモデル定款(*)に依拠したもの)が多数存在しています。
(*)このモデル定款については、非公式ではありますが、関係方面から法令適合性についてチェックを受けています。

<「作成の案内」のモデル定款を使用してない実例>
①(公財)助成財団センター(http://www.jfc.or.jp/shinsei/shinseisyorui.html)
②(公社)日本フィランソロピー協会(http://www.philanthropy.or.jp/contents/about/teikan.html)
③(公財)ニッセイ文化振興財団(http://www.disclo-koeki.org/02a/00058/index.html)
④(公財)ひろしま文化振興財団(http://www.h-bunka.or.jp/zaidan/hirobuntop.htm)
⑤(公社)ぎふ犯罪被害者支援センター(http://www.gifu-vsc.org/introduce/concept.html)

2 行政庁への対処方法
(1)「作成の案内」のモデル定款を使用しなければ認定申請を受け付けない(乃至は認定しない)という行政庁があった場合には、まず上記(1)の理由等を述べて、自主的に作成した定款の正当性を主張することかと思います。但し、自主的に作成した定款は、法令に適合していることが必要ですので、定款の絶対的記載事項や公益認定に必要な事項を規定していることは勿論のこと、相対的記載事項や任意的記載事項を規定する場合は、それらが法令に違反していないかどうかのチェックを十分行うことが必要です。

(2)それでも実際上上記(1)のような行政庁の対応が続き、「作成の案内」のモデル定款が「法人法等に適合している」として事実上の基準(de fact standard)化している場合には、他の行政庁の認定の事例を示して、自主的に作成した定款の法令適合性を主張することかと思います。但し、認定の事例の中にも全体の文脈や個々の条文の意味あいの中で、同じ言葉(乃至は文章)であっても微妙に意味が異なったり違った意味のこともありますので、自主的に作成した定款と認定の事例との整合性に注意することが必要です。

(3)なおそれでも個別の認定申請の中で、「作成の案内」のモデル定款を使用することに固執する行政庁(乃至はその担当者)があった場合には、文字通り個別問題となりますが、内閣府の公益認定等委員会事務局と相談したり、(公財)公益法人協会の無料相談窓口を利用してみたら如何かと思います。

by 公益法人協会 
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