6 資産取崩しによる事業実施は必ずしも不健全とはいえない
認定申請のポイントシリーズ第6回
株式会社は利益を上げることが至上命題ですから、赤字決算は財政的に不健全ということになります。赤字決算が続き純資産などの内部留保を取り崩すことは業績不振ということとなり、上場企業であれば株価や格付けの下落を招き信用力が低下します。
しかし、公益法人のような非営利法人は、もちろん利益を上げることが目的ではなく、目的事業を遂行することが使命です。したがって、上記のような営利法人における赤字の持つ意味とは異なります。ある時期には基本財産や特定資産などを取り崩しつつ公益目的事業を実施することは公益法人の世界ではよくあることで、それをもって直ちに財政的基礎が脆弱ということにはなりません。たとえば、超低金利下における現状では、運用益だけで事業を実施することは困難な場合があり、また新たな寄附金などの収入を調達することもできない場合に、一定の事業水準を維持することを優先し、資産を取崩すことを決断する場合もあります。このような決断は、資産保持を優先し公益目的事業を僅かの収入の範囲内に収め損益の帳尻を合わせるよりは、はるかに受益する社会にとっては利益の増進につながるものです。
財団法人では存立(存続)期間を定款で決めることも法律上認められており、出捐した財産を一定期間で使い切り、財団の使命を終えることすら想定しています。
それでは存立期間の定めのない法人において、そのような資産取崩しが続くと、いずれは破綻する(解散)ではないか、それは経理的基礎が脆弱ということにならないかと考える人もいるかもしれませんが、資産取崩しの効果と法人の存続について熟慮の上法人が判断することで、まさしく法人自治の領域の問題です。
よく公益認定申請時の収支予算がたまたま赤字であるため、経理的基礎が不健全という烙印を押されないか心配する法人がありますが、赤字の原因とその対応策の説明に合理性があれば、赤字であることだけをもって認定されないというようなことはありません。
もちろん、収益事業等が赤字基調でありその赤字のため法人全体として損失の状況が続いているような場合には「収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれ」(公益認定法第5条七号)があると判断される可能性があることにも留意してください。
また、基本財産や特定資産の取崩しを含む管理方法について手続き等の要綱を事前に定めておくことが必要ですし、さらには財産が減少しその結果目的達成不能による解散や、財団法人の場合純資産が2事業年度連続して300万円を下回ることによる解散などが発生する事態も十分考慮に入れておく必要があります。







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