2010年01月04日
3 個別事情によっては収支相償剰余金での借入金返済も認められることがある
認定申請のポイントシリーズ第3回
明けましておめでとうございます。
公益法人協会は今年もこのブログのより一層充実を目指して、継続してまいりますので、引き続きご活用くださるようお願いいたします。
今回はポイントシリーズ第3回です。
福祉施設、病院、研究所などの施設を公益目的事業として運営する公益法人の場合、当該施設の建設・取得資金として借入金で調達する場合があります。このような場合、通常は長期借入金として分割弁済が約定されており、当該事業の剰余金によって返済されていきます。
そこで、発生した剰余金が収支相償ルールに抵触するのではないかという疑問が生じます。
すなわち、第2段階で生じた剰余金は、遅くとも翌々年度までに公益目的事業に使用するか、特定費用準備資金・資産取得資金の積立や公益目的保有財産の取得に充当することは認められていますが、借入金の返済充当はストレートには認められていません(ガイドラインⅠ-5-(4)①)。減価償却相当額は費用として控除できますが、分割弁済の額は減価償却相当額を上回るのが通常ですから、その差額の返済資金の出所がなくなります。
この点については、運転資金なども含む全ての借入金の返済額を収支相償計算におけるみなし費用とすることは認められませんが、設備資金のように使途が公益目的事業用の施設建設・取得資金であることが明確であり、金融機関との約定弁済が金銭消費貸借で規定されている場合には、これらの事情を説明することにより、ガイドラインⅠ-5-(4)②を適用し、個別事情として収支相償適合と判断される場合が十分あり得ると考えられます。
by 公益法人協会







収支相償剰余金と関係ない投稿で申し訳ありません。
1月6日の日本経済新聞に天下りがいる法人や、資格制度を実施する法人の認定が凍結されると出ていますが、これは法令の基準に照らして適当なのでしょうか?
法令に基づかない措置だとすると担当官云々の問題よりも非常に不安を感じます。このような措置は他に波及する可能性はあるのでしょうか?
法治国家である以上、国は法令に準拠した対応である必要があると思うのですが、貴法人は本件にどのような認識をお持ちでしょうか。
匿名希望さん、
新聞報道でのご懸念ごもっともです。
民主党政権は、基本的には天下り等政府関連法人と一般の公益法人は全く別物ということは十分お分かりです。
公法協はこの二つを切り離し、公益認定業務は粛々と実行し、政府関連法人に対する施策は別途行政改革の一環で実施することを求めています。
詳しくは当日記10月6日付け「二つの公益法人改革」12月9日付
「政府民主党との公益法人制度改革に関する集会」並びに12月24日付け「公法協、政府に要望書提出」をご覧ください。
御高見に大変勇気付けられる思いです。
借入返済の個別勘案は、第二段階(50%繰入れ)だけに該当することでしょうか、それとも50%超繰入れの場合、さらには第一段階でも個別勘案される余地があるのでしょうか。
KMさん、
1 第2段階の「50%超繰入れ」の場合はそもそも、計算上剰余が出ない仕組みになっています。ポイントシリーズ3で説明した借入金返済原資は剰余金がでた場合の処理として認められる場合があるとしているものですから、適用されません。
2 第1段階はそもそも公益目的事業が一つしかない場合は、これを省略しいきなり第2段階に進むことになっています(FAQⅤ-2-④-2なお書き)。複数ある場合は先ず第1段階を計算し必ず第2段階に進みます。第1段階の収入費用は第2段階の計算に同額が持ち越されます。
以上のことから、結果的には第1段階の剰余金が、第2段階に持ち込まれて、なお、剰余金が発生する場合に設備資金返済原資として充当することについて、行政庁が収支相償を充足するとみなしてくれるかどうかにかかっています。
もってまわった説明ですが、結果的には第1段階を含んだ第2段階剰余金の処理として借入金返済が認めれる余地があるということです。
丁寧にご回答いただき、誠にありがとうございます。
4のご回答について、
第1段階を含んだ第2段階剰余金の処理として借入金返済が認めれた場合に、そこに含まれていた第一段階剰余金は次年度の収益(別表Aの2欄)に加算するのでしょうか。様式どおり次年度に加算しますと、その金額が年々蓄積してしまいますが、どのように整理したらよろしいでしょうか。
1.美術館では、当館のニーズにあった美術品が急に市場にでることがあります。2.その場合、高額のときは資金繰りが間に合わず緊急に長期借入金をすることがあります。3.美術品は減価償却ができませんのでご紹介の「収支相償剰余金での借入金返済」にぴったりはまるのではないでしょうか。ご教示ください。
美術館の事務局長さん、6について回答します。
取得した美術品の取得資金であることが明確な長期借入金であれば、その返済資金に剰余金を使用することは十分説明できるのではないでしょうか。
最終的には行政庁の個別判断になると思いますが、認めていただける可能性が高いと考えます。
KM さん、5番にお答えします。
前年度の剰余金の処理として借入金返済をすることにより収支相償と認められている事を前提とする限り、その金額は次年度に繰り越された剰余金として記入する必要はないと考えます。
太田様
いつも貴重な情報ありがとうございます。
過年度の公益目的事業で発生した赤字の補てんのための借入金があります。
この返済については、どのように考えられますか?
イッセー さん、No.9にお答えします。
本解説(ポイントシリーズ3)は公益目的事業の用に供される固定資産の取得資金として長期設備資金借り入れを行い、それを分割弁済する事例を典型的事例として、説明しています。
運転資金の場合は、他の会計(収益事業等又は法人会計)からの補てんが可能であったかどうかなど、結果的に法人全体の資金ショートを賄ったのではないかなどの疑問を払しょくできるかという点に問題があります。
つまり、設備資金の場合は使途と資金の関連性が比較的明確に説明できるので、行政庁も認める可能性が高いと考えますが、運転資金の場合はその点の説明が苦しくなるのではないでしょうか。
そのあたりに留意されて収支相償対策をお考えください。