5 旧主務官庁の監督上の命令に違反している特例民法法人とは何か。

認定申請のポイントシリーズ第5回

1 今回のポイントシリーズ5では、認定申請欠格事由となる命令違反とはどのようなものかについて取り上げました。
整備法の第101条は、特例民法法人の認定申請の欠格事由として、認定法第6条(欠格事由)の規定の準用(第1項) の他に、第2項で「第95条の規定によりなお従前の例によることとされる旧主務官庁の監督上の命令に違反している特例民法法人は、第44条(公益法人への移行)の認定を受けることができない。」と規定しています。
この第2項が最近クローズアップされ、単に行政指導に違反していることをもって、そのような特例民法法人は公益法人への移行申請ができないという説明をする人がいたり、旧主務官庁においてもそれらをほのめかす担当者官もいるやに聞いています。

2 しかし、ここでいう命令とは、整備法第95条によりなお従前の例によることとされる旧民法67条2項の命令であり、いわゆる「行政指導」は含まれません。命令は当該法人の事業運営の適正化等の義務を課すものですから、行政手続法上の「不利益処分」に該当するものと考えられます。このため、原則として旧主務官庁は、行政手続法に基づき根拠条例を含む理由の提示、命令を行うに先立って弁明の機会の付与等の諸手続、行政不服審査法等に基づく教示を行うことが必要と考えられます。
よくある例ですが、①主務官庁による検査があり、その結果改善を求めた通知が担当課長や担当者名で出状されたものや②主務官庁の担当課から所管特例民法法人の代表者に、法人の運営について適切に行うことを要請する事務連絡、③主務官庁の担当局長から個別の特例民法法人へ「公益法人の設立許可及び指導監督基準」のある項目について適正化の要請がある等については、整備法第101条の命令ではないと判断されます。

3 なお、命令の内容についてはどのようなものが対象となるでしょうか。旧主務官庁の命令の法律上の根拠は、整備法第95条です。第95条では法人の監督はなお従前の例によるとされ、旧民法の第67条第2項では「主務官庁は、法人に対し、監督上必要な命令をすることができる」と規定されています。しかし「監督上必要な命令」の内容については、旧民法では特に規定されておらず、命令の内容は旧主務官庁の裁量に委ねられていると考えられます。
実際的には、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」に反している場合や、定款に違反した運営や公益法人として相応しくない運営が行われている場合等に是正を求める命令が出されているようです。
ただ、行政実務上は、いきなり命令を行うのではなく、まずは行政指導を行い、それでも問題が是正されない場合や指導に対する対応が悪質な場合等に限り、命令を行うことが多いようです。
いずれにしても、「監督上の命令」が出される場合には、原則として弁明の機会がありますので、その内容に不満がある場合には反論すればよいですし、その対象や内容について問題があれば最終的には司法の場で争うことになると考えられます。

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4 収支相償(第2段階)の剰余金で取得する金融資産は事情によっては、公益目的保有財産の取得と認められ得る場合がある

認定申請のポイントシリーズ第4回

 ご承知のように、収支相償計算の第1段階で、収入が費用を上回る場合当該事業の特定費用準備資金として整理することが原則ですが、剰余金が予想外の事情により発生し、毎年剰余金の発生が恒常的に続くようなものでない場合は、翌年度(場合によっては翌々年度)までに解消することを説明することにより、収支相償の基準を満たすものとして取り扱うことも可能とされています。
 また、第2段階での剰余金は、同じく特定費用準備資金として整理することが原則ですが、公益目的保有財産に係わる資産取得資金に繰入れたり、当期の公益目的保有財産の取得に充てたりする場合、本基準は満たされているものとして取り扱われることとされています(以上ガイドラインⅠ-5およびFAQⅤ-2-⑤)。
 この場合公益目的保有財産の取得(上記下線部分)には、金融資産も含まれるかという質問がよくあります。
 認定委事務局では、この点についてかなり慎重な考え方のようです。
 すなわち、土地建物や機械などの実物資産は実際の使途との関連性が比較的明確に把握できますが、金融資産については単に取得するだけでは、直ちに公益目的事業に使用するとは判断できないことが理由のようです。
 しかし、単に貸借対照表上基本財産や特定資産として区分したというだけでなく、取得した金融資産を実際に公益目的事業に使用することについて合理的な説明ができれば、個別の事情を斟酌して公益目的保有財産として認められ得る場合も十分考えられます。
 なお、以上は収支相償第2段階の取扱ですが、公益目的事業が1個しかなく、かつ収益事業等を実施していない場合は、第1段階の計算はなく直接第2段階で判定されます。また、公益目的事業が複数ある場合でも、公益目的事業の共通の収入・費用がある場合は第2段階の判定に進みますから、これらのケースにおいても剰余金を金融資産としての公益目的保有財産とすることが個別事情によっては可能になります。
 また、この取扱は移行後だけでなく、申請時においても同様の取扱が可能です。

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3 個別事情によっては収支相償剰余金での借入金返済も認められることがある

認定申請のポイントシリーズ第3回

 明けましておめでとうございます。

 公益法人協会は今年もこのブログのより一層充実を目指して、継続してまいりますので、引き続きご活用くださるようお願いいたします。

 今回はポイントシリーズ第3回です。

 福祉施設、病院、研究所などの施設を公益目的事業として運営する公益法人の場合、当該施設の建設・取得資金として借入金で調達する場合があります。このような場合、通常は長期借入金として分割弁済が約定されており、当該事業の剰余金によって返済されていきます。
 そこで、発生した剰余金が収支相償ルールに抵触するのではないかという疑問が生じます。
 すなわち、第2段階で生じた剰余金は、遅くとも翌々年度までに公益目的事業に使用するか、特定費用準備資金・資産取得資金の積立や公益目的保有財産の取得に充当することは認められていますが、借入金の返済充当はストレートには認められていません(ガイドラインⅠ-5-(4)①)。減価償却相当額は費用として控除できますが、分割弁済の額は減価償却相当額を上回るのが通常ですから、その差額の返済資金の出所がなくなります。
 この点については、運転資金なども含む全ての借入金の返済額を収支相償計算におけるみなし費用とすることは認められませんが、設備資金のように使途が公益目的事業用の施設建設・取得資金であることが明確であり、金融機関との約定弁済が金銭消費貸借で規定されている場合には、これらの事情を説明することにより、ガイドラインⅠ-5-(4)②を適用し、個別事情として収支相償適合と判断される場合が十分あり得ると考えられます。

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