2 申請時の遊休財産控除対象財産については今後の使用方針で区分される

認定申請のポイントシリーズ第2回

 前回、「公益認定の審査は、実績ではなく移行後の事業と数値で判断される」事を説明しましたが、現在保有の財産についても、移行日以降に使用しようとする目的に沿って申告することとなります。
 すなわち、公益認定申請時には申請日の属する事業年度末の資産の見込み額をまず算出し、ついで各資産について遊休財産の控除対象となる財産6種類のいずれかに該当するものがあれば申請書別表C2~C5に記載します。
 遊休財産の控除対象となる財産は末尾に記載の6種類ですが、申請時にはすでに保有している財産を区分して申告するわけですから、固定資産として計上されているものは、原則として①または②に区分して申告することができます。 
 もし提出した収支予算書で剰余金が生じている場合で、遅くとも翌々年度までに公益目的事業に使用することに無理がある場合などは、当該金額に相当する普通預金など流動資産を資産取得資金または特定費用準備資金として③又は④に区分することも可能です。
 また、⑤と⑥についても、通常①または②に含めることができますから、申請時においては、原則として①または②の区分だけを用いることで十分です。
 遊休財産控除対象財産として記載する財産については使用状況や目的などを別表C2~C5で簡単に説明しますが、それが不動産などの場合は、概要、使用面積、使用状況を記入します。金融資産の場合は、その運用益を事業等に使用するために保有していることの説明が必要です。
 以上のように、法人が移行後このように使用すると申告した財産について、行政庁で確認することはありますが、その説明が合理性を欠く場合(公益認定等委員会における議論で例示されたほとんど利用不可能な「栗林」など)を除き、基本的にはその区分が認められることとなります。
 よく、「○○事業積立金」「事務所ビル建築基金」と仕訳けしてきた金融資産があるが、新制度では遊休財産から控除されるだろうかという質問を受けますが、それらの財産を移行後どのように使用するかという観点に立って、法人が自主的に判断して、その運用益を公益目的事業、収益事業等又は法人会計に使用する場合は①又は②に区分し申請されれば良いということになります。
 (運用益も当該基金に積立てていく場合には③または④として申告します)

【遊休財産から控除される財産】
①公益目的保有財産
②公益目的事業に必要な収益事業等その他の業務又は活動の用に供する財産
③資産取得資金
④特定費用準備資金
⑤交付者の定めた使途に従って現に使用・保有している財産
⑥交付者の定めた使途に充てるために保有している資金

by 公益法人協会 
コメント
  1. あけましておめでとうございます。
    本年も引き続き有益な情報発信をよろしくお願いします。

    ①や②が同一の資産である場合は、何らかの配賦基準を持って配賦するわけですが(例えば使用面積)、事業年度により異なる割合が考えられます。そうすると資産の会計間振替が必要になりますが、①から②への振替は認められないですよね。
    この点を考えると、「現時点ではなく、継続的に公益目的で使用する割合」を考えて配賦割合を決めるべきなのでしょうか。

    「費用の配賦」は、各年度の事業規模から変化させられると思いますが、「財産の配賦」は悩みどころです。

    by 審議内容公開希望者  2010年01月04日 13:06
  2. 審議内容公開希望者 さん、
    お考えの通り①の割合を減らし②の割合を増やすことは認められません。(その逆は可能ですが)
    ただ、実際問題として明らかに②の使用面積が増加した場合、その増加分の簿価に見合う他の②の資産(例えば金融資産)を①に振り替えることは(いわば等価交換)、個別の事情を勘案して認められる場合がありうると思います。
    なお、その場合時価が簿価を上回っている場合、時価に見合う他の資産の振り替えでなければならないとする考えが提起されるかもしれませんね。この辺りはもちろん実例がなくこれからの問題として、公法協もさらに検討してみたいところです。

    by 太田達男  2010年01月04日 19:54
  3. いつもHPの情報を参考にさせていただいており、公益法人協会様には大変感謝してります。
    さて、『「○○事業積立金」「事務所ビル建築基金」といった金融資産の運用益を公益目的事業、収益事業等又は法人会計に使用すれば、①又は②に区分される』、とのご説明ですが、そうしますと、遊休財産の上限を超えるような繰越金が発生しそうな場合、例えば、特定資産として、将来の収入不足に備えて積み立てておくような資産を設定して、元本は収入不足の時に取崩す、収入不足がなければその運用益を公益目的事業に使用するということにすれば、遊休財産から外すことができる、ということが可能であると思えるのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか? つまり、このような単純なテクニカルな操作で、認定委員は遊休財産控除対象財産として認めてくれるのでしょうか。
    宜しくご指導をお願いします。
     

    by 悩める担当者  2010年01月19日 14:09
  4. 悩める担当者さん、
    ご疑問の点は、移行後の決算における処理の問題ですね。
    ポイントシリーズ2はそのタイトルが示すとおり申請時の財産の区分の問題です。申請時は基本的に法人の申告が尊重されるということを説明しています。
    移行後の決算における収支相償計算上の公益目的事業の剰余金処理についてはポイントシリーズ4での説明の通り、金融資産を即公益目的保有財産とすることには、認定委事務局はかなり慎重です。個別の事情を斟酌して認められる場合があるという趣旨で説明しています。
    また、収益事業の剰余金や法人会計の剰余金についても同様に個別事情による判断ということになるでしょう。
    なお、いずれの会計についても特定費用準備資金又は資産取得資金の要件を具備すれば、もちろん当該金融資産は遊休財産から控除されます。

    by 太田達男  2010年01月19日 17:56
  5. 早速のご回答ありがとうございます。
    私の質問の書き方が悪いため、主旨を上手く伝えることがでできなかったため、再度質問させていただきます。

    当財団では、特定資産として事業費資金というものを設定し、定期預金に預けております。この資金は、使途が明確ではなく、且つ、運用益も雑収入として処理しおり、現状100%事業に使用しているとは認めらない状態にあります。

    この資金は、このままの状態で公益認定申請すれば、当然、遊休財産になり、また、遊休財産の制限に抵触するような状況にあります。

    当財団は、財産の運用益で100%事業を行っている財団で、事業は全て公益目的事業です。そこで、この問題の解決策として、次のようなことを考えております。

    ①将来の収入不足に備え、特定資産に「事業活動平衡資金」というものを設定します。
    ②この資産には上限額を定め、繰入れる場合は、理事会の承認が必要と規程で定めます。
    ③取崩の要件は、「国内外の経済事情の著しい変動や金融環境の変化等により、想定を超えて大幅に低下し、積立資金取崩以外の収入では財団の正常な公益目的事業活動を営むことが困難なときを除き取崩できず、理事会の承認が必要とする」と規程で定めます。
    ③その運用益は、公益目的事業に使用すると、規程で定めます。
    ④公益認定申請に時には、遊休財産の制限に抵触しないよう、「事業費資金」の一部をこの資金に移し替えて書類を作成します。

    このようにすれば、明確な使途が定まっていない特定資産あっても、運用益を公益目的事業に使用するとしさえすれば、『「○○事業積立金」「事務所ビル建築基金」といった金融資産の運用益を公益目的事業、収益事業等又は法人会計に使用すれば、①又は②に区分される』という条件に合致すると思います。また、取崩す場合でも、公益目的事業に使用すると限定しているので、この資金は、公益目的事業のための資金であることは明らかであると思います。

    ここで、お教えいただきたいのですが、
    ①どのような名称の特定資産であっても、運用益を公益目的事業使用するとしさえすれば、認定新申請時に遊休控除対象財産として認められるのでしょうか。
    ②もし、認められるとして、認定取得後に、決算で多額の余剰金が発生しそうな場合で、遊休財産の制限に抵触しそうな場合、すべてこの「事業活動平衡資金」に積み立ててれば、遊休財産問題はクリアできてしまうように思えるます。そうしますと、何でもいいから運用益を公益目的事業に使用する特定資産を設けておけば、申請時にも、認定取得後も、簡単に遊休財産問題をクリアできてしまうことになると思うのですが、このように理解してよろしいのでしょうか。

    宜しくご指導をお願いいたします。

    by 悩める担当者  2010年01月20日 14:17
  6. 悩める担当者さん、
    もう一度、認定申請時と移行後に分けてご説明します。
    1申請時
    過去の長い期間にて造成された資産(ストック)ですから、申請時にはその過去の実態を審査することはできません。あくまでも、移行後どのように使うかということで法人は申告(別表Cの各表において)します。審査する行政庁もその申告に対しては、その財産は移行後本当にその目的に使われることが可能かどうかという観点で審査します。収益を生まない原野などなら使用不可能ではないかと反証できますが、金融資産については使用不可能と反証することは事実上できません。
    移行後の決算を見て本当に当該目的のために使われたかどうか事後的にチェックすることになります。
    したがって、特定資産準備資金(又は資産取得資金)の要件を充足する規則や決議がなくても、①または②として申告できます。かりにそのような規則や決議がある場合は③または④として申告することとなります。
    2 移行後の決算(公益目的事業会計)
    移行後、公益目的事業会計においては収支相償が先ず問題になります。剰余が出た場合、第1段階では(A)遅くとも翌々年度までに当該公益目的事業に使うか、(B)当該公益目的事業のための特定費用準備資金とする必要があります。その場合、申請時において既に④とした基金があればこの積立条件にしたがって、積立てることも可能ですが、申請時において④がない場合は、新たに特定費用準備資金を創設することが必要となります。
    第2段階における剰余金は、上記(A)(B)に加えて、(C)公益資産取得資金及び(D)公益目的保有財産の取得として整理することが必要です。その場合、申請時において既に③とした基金があればこの積立条件にしたがって、積立てることも可能ですが、申請時において③がない場合は、新たに公益資産取得資金を創設することが必要となります。
    そして、いずれの場合も(A)(B)(C)(D)の処理が正しく行われているかどうか、定期提出書類によりチェックされることとなります。また、当然のことながら、(A)(B)(C)(D)の処理により計上された固定資産は遊休財産控除対象になります。ただし、認定委事務局は流動資産は遊休財産控除対象財産ではないという解釈をしております。
    なお、(D)の公益目的保有財産として金融資産は認められるかどうかという点については、ポイントシリーズ4の説明をご覧ください。
    3移行後の決算(収益事業等・法人会計)
    それぞれ剰余が出た場合、特定費用準備資金又は資産取得資金としての③または④が申請時に既にあれば、その積立条件にしたがって積立をするか、なければ新たに設定することにより遊休財産から控除されます。

    以上のことからⅰ基金の名称は基本的に関係ありません、中身で判断されます。(もちろん中身に相応しい名称をつけるべきと思いますが)ⅱ移行後剰余金が出れば既に設定している①とか②につめばよいというわけでもありません。

    by 太田達男  2010年01月22日 10:26
  7. いつもHPを拝見し参考にさせていただいています。
    上記の質問に関連してお伺いさせていただきます。
    当財団では、遊休財産が、一年分の公益目的事業費相当額を大幅に超過してしまうことが予想されることから、その取扱について検討しております。
    1,2年では使い切れるような額ではないので、その解決策として、新たに特定の事業を行うための特定資産として基金を設定しようと考えています。
    この基金は、基本的に元本を確保し、その運用益で事業を行う
    ①、②のようなものではなくて(もちろんいくらかの運用益が
    出てきた場合には、その特定の事業に充てることにはなりますが)、10年ぐらいの長期間に渡って元本を取崩してその特定の事業に使ってしまうものを想定しています。④の特定事業準備資金に近いものだと考えられますが、この基金が④の特定事業準備資金に該当するためには10年間の具体的な事業計画及び積立限度額の算定根拠が求められるのでしょうか?その場合、どの程度具体的なものが求められると考えればよろしいでしょうか?また、そもそもこのような特定の事業のために取り崩して使用していくとは言え、長期間プールしておくような資金を、遊休財産から除外することが認められるでしょうか?
    ご教授のほどお願いいたします。

    by 新・悩める担当者  2010年01月25日 17:54
  8. 新・悩める担当者 さん、7にお答えします。
    ご質問は申請時か移行後かいずれでしょうか。ここでは両方のケースで考え方を説明します。
    1 移行申請時
    ポイントシリーズ2で説明したように、移行後「新たに特定の事業を行うための特定資産として基金を設定」されるのであれば、当該金融資産はその事業によって①(公益目的保有財産)または②(収益・管理財産)として取り扱われます。
    2 移行後
    移行後について、収支相償計算を充足しかつ遊休財産控除対象財産とするためには、剰余金に相当する金融資産を①とするか公益目的特定費用準備資金(その他、公益目的資産取得資金がありますが、ご質問の資金使途にはそぐわないのでここでは除外します)とする方法が考えられます。
    ①については、必ず認められるというものではなく、認定委事務局は個別事情を斟酌して判断するという考え方です。
    特定費用準備資金については、認定法規則第18条に規定する5つの要件を充足することが必要です。この要件で問題になるのは①活動の見込み及び④の合理的な積立限度かと思います。
    ここから先は私の解釈になりますが、貴法人が考えている「10年ぐらいの長期間に渡って元本を取崩してその特定の事業に使ってしまうもの」について①と④が説明できるかどうかがポイントだと考えます。たとえば「40歳以下の優れた新素材研究者」に「毎年」「10年間にわたり」「一人3百万円以内、総額3千万円以内の研究助成金を贈呈する」、といった程度の計画が機関決定されていれば、十分特定費用準備資金として認められうるものではないかと考えます。
    また、この程度の内容が決まっていれば、敢えて特定費用準備資金ではなく、公益目的保有財産として処理することも可能ではないかと思います。とくに、多額の剰余金が一時的に発生するような場合は(つまり毎年剰余金を積立てられる状況にない場合)は特定費用準備資金よりは公益目的保有財産として認めてもらうほうが、適切かもしれませんね。

    by 太田達男  2010年01月26日 09:33

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