1 公益認定の審査は、実績ではなく移行後の事業と数値で判断される

認定申請のポイントシリーズ第1回

 先ず大変基本的なことですが、公益認定の審査は過去の実績を審査するものではなく、事業については移行後に行う事業に公益性が認められるかどうかという点が審査対象になります。また、公益目的事業比率、収支相償、遊休財産などの財務基準は申請日の属する事業年度の収支予算書や期末の見込み資産・負債の数値によって判定されます。ただ、今後の事業展開や財務的数値の参考材料として過去の状況の説明を求められることはありえますが、いずれにせよ過去行っていた事業や、過去の実績値で判定されるものではありません。
 平成16年11月に発表された公益法人制度改革に関する有識者会議の報告書では、この点に関し「公益性を有すると判断する際については、新設の法人に活動実績を求めることはかえって公益的な活動の促進を妨げるおそれがあること等を踏まえれば、定款・寄附行為や事業計画、収支予算等が要件に適合しているかどうかを判断することが適当である。」としています。
 実績を判断要素とするかどうかについては、委員の多くが実績ではなく、今後の活動を評価すべきという意見で(第6回、第12回議事録)、最終的に上記のように新設法人はもとより移行法人についても、移行後の事業等により判断する制度が提案され、新制度として発足したわけです。
 この点が意外と誤解されているようですが、申請に当たっては過去の歴史や伝統を受け継ぎつつも、法人の将来に向けたあり方(ビジョン)をしっかり見据えることが必要です。新制度では法人が行おうとする事業の自由度は、旧制度に較べ格段に大きくなりました。今まで行ってきた事業についても時代のニーズに合わせて廃止、新規追加などもこれを機会に検討してください。
 先般公益認定を取得した日本下水道管路管理業協会の会長がホームページで「今迄は業界の団体として共益的な事業活動が多くみられましたが、公益法人へ移行したことにより、今後は事業活動の対象を広げて不特定多数の者の利益の増進に寄与する公益活動を主体とする団体として活動してまいります」と大変印象的な決意を披露されています。(下線筆者)
 このように、過去に共益的・私益的な団体であっても今後公益的団体として社会に貢献していただければ、私達市民としてもそして国としても大いに歓迎すべきことなのです。

by 公益法人協会 
コメント
  1. いつも拝見させていただき、大変参考になります。
    「今後の活動を評価される」審議であると認識していましたが、先日の不認定法人の事業内容が過去の実績で公益目的と判断されなかったようです。これは、調査(事業2)、イベント展示内容(事業5)ともに、今後も同様の事業をおこなうと法人側が主張したということになるのでしょうか。
    当該法人が、同様の事業内容(1~5)で新法人移行後は調査内容、イベント展示内容を変えて再認定にチャレンジすることを期待します。

    by 審議内容公開希望者  2009年12月28日 18:57
  2. 審議内容公開希望者さん、
    あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
    さて、確かに詳細が分からないので何とも言えませんが、過去の調査報告書や、展示会内容で判断したとすれば移行後の事業・財務を審査するという大原則に反することとなりますが、
    あるいは申請法人が今後もそのような内容の事業を続ける前提で申請書を書いたとも考えられます。
    おっしゃるように、不認定となった理由がはっきりしたわけですから、後はそれを是正し再申請するか、是正は無理と判断し一般法人移行を考えるか、申請法人の判断に委ねられたといってよいでしょう。私としてはもちろん再チャレンジを期待したいところです。

    by 太田達男  2010年01月01日 11:31
  3. 最初のポイント1を読んでもう混乱です。
    「公益認定の審査は過去の実績を審査するものではなく、事業については移行後に行う事業に公益性が認められるかどうかという点が審査対象になります」とあります。この関連で質問:22年度に申請する場合、23年度に向けた事業の中で政府予算、県予算が組み替えられるとそれに伴い現在の財団法人の事業が、その影響で変わるものが出てくることもあると思われます。(当財団の場合、その可能性大)その場合、事業説明では現在の22年度までの事業を説明することで進め始めましたが、申請時(22年度途中)にわからないと言う状況になると思われます。
    一方で22年度に申請する場合の表作成では、22年度末の見込み貸借対照表を作成してゆかなくてはなりません。22年度の事業継承できる内容のものはいいとして事業説明と経費数値等で整合性が取れなくなることになってしまいますがどうしたらよろしいでしょうか。別になってもいいと言う事でしょうか。

    by 愛キキン  2010年10月20日 14:45
  4. 愛キキンさん、
    22年度の申請までに、23年度の事業計画・予算が機関決定していないとすれば、やはり22年度の事業計画と予算を基にして、申請書を作ることとなります。もし、23年度に事業が大幅に変わる可能性が極めて高いと考えられる場合は、23年度事業計画等が機関決定される23年3月または4月以降に申請された方がよいかもしれませんね。(事業年度3月として)
    ただそのあたりも可能性はあるが不確定要素が強いという場合には、一応22年度に申請し、事業内容に大幅な変更があれば、事業の変更認定申請を出すということも一案として考えられます。
    また、公益目的事業の単位を可能な限り広くとり(たとえば細分化しないで1単位にするとか)多少の変更は届け出で済ませるとかの工夫は出来ませんか。
    貴法人の事業内容がわかりませんので常識的なことしかお答えできませんが。

    by 太田達男  2010年11月01日 14:07
  5. 公益法人申請に向け大変参考にさせて頂いております。
    公益認定事業についてお訊ね致します。指定管理者として重要文化財の山笠の展示場の管理運営と、財団独自の事業として入場者に対する山笠の由来、歴史、構造等の案内をしております。
    チェックポイント(10)博物館の展示③にあります展示、について当館は、山笠の展示を行っていますが展示内容はほとんど変わらないない状態です。
    認定申請を行うにあたり、博物館事業として公益事業でのカウントをと考えていますが可能でしょうか。

    by 公益認定に悩む事務局  2011年01月17日 17:19

  6. 公益認定に悩む事務局さん、
    Q&Aの「1 目的・事業」に公益移行を目指す事務局長さんから同趣旨の質問が来ており、そちらで回答しますからご覧ください。


    by 太田達男  2011年01月23日 16:37
  7. 当財団は医療事業を行っています。公益財団法人の認定を目指し、主務官庁である県の医療部に先日ご挨拶かたがた伺ってきました。そこで県の担当者に「私どもはこれまでの実績だけで公益事業かどうかを判断します」と真正面から言われました。これまでに行ってきた事業のほかに、今後はよりいっそう公益性の高い事業ができると意気込んでいたのですが…。その一つとして、医師を志す人に奨学金を出す事業を新たに考えていると言うと、「実績がないから認められません。実績のある事業だけを公益事業として説明してください」の一言。
    都道府県によってはまだまだ公益認定に関する認識が、担当者レベルまで浸透していないということでしょうか。またこうした現状で、全国で同じ判断基準で公益認定が行われるのかどうか、大変疑問かつ不安です。

    by クマクマ  2011年02月01日 12:21
  8. クマクマ さん、
    ポイントシリーズで説明している「過去の実績ではなく、移行後の事業、組織、財務」を審査し、公益法人としての基準を満たしているかどうかを判断するもので、この基本的考え方は、何ら変わっておりません。
    一部のお役人(とくに特例民法法人の所轄局・課)の中にはそのあたりの原則が分かっておられない方がおられるようで大変残念です。
    貴法人は、従来の医療事業に加えて、移行後は奨学事業も実施しようとされており、社会にとっては大変歓迎すべきことです。もちろん、新事業については申請年度の事業計画・予算等に盛り込まれているなど、機関決定を経た具体性が必要ですが。
    審議会の所轄課(総務、法令班など)から原課の方に話してもらうなどを考えてはいかがでしょうか。

    by 太田達男  2011年02月05日 08:38

この投稿にひとこと!

(コメントに際してのご注意)
  1. どなたでもコメントを書き込むことができます。
  2. 本名だけではなくハンドルネームを使ったコメントもできます。
  3. コメントは、その内容をそのまま掲載します。ただし次の各項に該当する場合には、運営管理者の判断により予告なく削除する場合がありますのでご留意ください。
    • 個人や個別の団体を誹謗・中傷するなど、その名誉を毀損する恐れのあるもの
    • 個人のプライバシーを侵害する恐れのあるもの
    • その他公序良俗に反するもの
  4. 迷惑コメント防止のため、コメント内にリンク(URLなど)を書かれた場合公開されません。

※必ず入力してください