新制度施行1周年を迎えて

 早いもので施行後1年、移行期間5年の20%が経過しました。
 特例民法法人についていえば、移行申請済みは全体の1.5%程度、認定・認可取得済みは0.4%程度と推測され、初年度は誠に遅々たる出足であったといえます。
 この間、公益法人の皆さんにとってはそもそも複雑な新制度の理解とその対応にかなり長時間が必要ということもありますが、さらに拍車をかけているのは各種の情報が乱れ飛び、ある種の誤解や不安が充満し申請を躊躇される現象が見られます。
 公益認定等委員会では、最近になり条件付答申や否定答申の事例を出してきており、これらの情報は後に続く者にとって、大変参考になるものと評価したいと考えます。透明性は公益法人だけでなく、審査をする委員会・事務局にも求められていることを理解され、今後この種の参考情報の積極開示に務めていただきたいものです。
 また、相談や審査の過程で、担当官の勉強不足による誤った指導をする、法令で示されていない事柄まで詳細な説明や資料を求める、形式的に一定の枠に嵌める指導をする、民間感覚ではどちらでも良いことを担当官の価値観で指導する、高圧的・威圧的態度で指導するなどの報告が公益法人協会にも寄せられており、大変憂慮しております。
 11月26日付けで発表された公益認定等委員会池田委員長のステートメント(クリック)は「申請準備中の法人の皆さんも躊躇することなく、早期の申請をお願いします」「これからの時代に求められる分野で多様な新公益法人が生まれ、温かみと深みのある社会を作るための原動力となることを期待します」と述べています。
 未曾有の経済危機を迎えるなかで、地域や専門とする分野で民間の資金や人的資源で公益活動を行おうという申請法人の「志」に対し、政府として先ず感謝する姿勢で対応し、その上で足らざる点について適切な助言をすることを徹底してもらいたいと考えます。
 昨年11月28に開設した本ブログも一年経ち、皆様のご利用は益々増え続けております。
今後ともいささかでも皆様のお役に立てるよう、内容の充実を図りたいと考えておりますので、引き続きご愛読くださるようお願いします。

公益財団法人公益法人協会
理事長 太田達男

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政権交代後の公益法人に対する政策をお伺いし、意見を交換する会の開催

 今般民主党政権が誕生し、私達国民も国会の論戦、次々に発表される各省の新しい政策やさらには予算編成過程における「事業仕分け」などを通じて「これが政権交代というものか」という新鮮な実感を改めて覚えております。
 また、天下り、税金無駄遣い、不要不急の埋蔵金問題などに関連する一部問題公益法人の改革も連日報道されていますが、一方新しい『公共』の担い手である私達民間公益法人の果たす役割は新政権下においても益々重要なものと認識されております(10月2日付け日記「二つの公益法人改革」参照)。
 今般、これらの問題について政府及び民主党の考え方をご説明いただき、あわせて、新制度施行後の状況等についても率直に意見を交換するため、「公益法人制度改革問題連絡会*」(後記参照)は緊急に集会を開催することとなりました。
 集会は来る12月8日に開催される予定ですが、政府からは泉健太・内閣府大臣政務官、民主党からは谷 博之参議院議員(民主党企業団体対策委員会委員長代理)、大河原雅子参議院議員のお3方がそれぞれ超ご多忙中にも拘らずご出席の予定です。
 集会の内容等については本ブログ、公法協ホームページ、機関誌「公益法人」などでお知らせする予定です。

*「公益法人制度改革問題連絡会」は平成16年3月に第1回の会合を開催以降、公益法人制度改革の進展に応じて、民間団体の立場から関係方面に提言・要望活動を続けてきた。加盟団体は現在、公益法人を中心に特定非営利法人などを含む広範囲な市民団体33団体となっている。事務局は公益財団法人公益法人協会。

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NPOとはなにか

 昨日18日、衆議院内閣委員会でいわゆるNPOの定義について市村浩二郎議員(民主党)と閣僚との間で大要次のような質疑が交わされました。

市村議員 この国の形をどのように作るかという点に関連して、鳩山総理より新しい公益の担い手としてNPOの活動が重要という発言があったが、仙石大臣は市民活動の担い手として何故特定非営利活動法人と特定したのか。
仙石大臣 別にそのように特定したつもりはないがそう受け止められると大変残念。英語のNPOを訳したらそのようなことかと思っただけ。
市村議員 首相は新しい公共を担う市民・NPOと表現している。特定非営利法人と限定するのは残念。色々言葉が混乱している。NPOとは一体何か。
菅大臣  鳩山総理はこれからは人と人が支えあう新しい公共、今後の社会をさせる重要な担い手は市民・NPOと認識。私も全く同感。私も特定非営利活動促進法の議員立法に関与した経緯もあり、ついつい特定非営利活動法人をNPO と言いがちであったことは反省。
市村議員 この国の形を作る戦略の上で、NPOをしっかりその土台に据えることが必要である。公益法人は官により悪用されたため誤解を受けているがもちろんNPOだ。社会福祉法人、学校法人、労働組合もNPOだ。NPOという言葉がこの10年間矮小化されたことは残念だ。
仙石大臣 昔と違って働く場所と住む場所が離れてしまった、コミュニティを作るうえでNPOが重要。政治として何ができるか。補助金を出して小間使いや下請け化してしまうことではない。支援する姿勢が必要だ。

29分間にわたる質疑ですが、興味のある方はここからインターネット中継がご覧になれます。

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木を見て森を見ざる類は困る

 新制度施行日から間もなく一年経とうというのに、今日現在移行認定・認可申請件数はわずか300数十件、特例民法法人のわずか1.5%弱にしか過ぎないが、現に申請を提出した法人や事前相談をした法人から、担当官の対応について悲鳴にも似た情報がいろいろなルートから公法協に寄せられている。

 悲鳴は二つに大別される。一つは定款変更案について法令違反若しくはその疑いがまったくない条項についても枝葉末節とも言うべき文言変更を迫られるケース、もう一つは財務・会計的な部分であまりにも詳細または不適切な指摘を受け、追加資料の提出など説明を求められるケースだ。

 新制度は2002年の閣議決定「公益法人制度の抜本的改革に向けた取り組みについて」以来、本格的な論議が重ねられてきたものであるが、その論議の過程で最も重視された点の一つは、主務官庁制度におけるような担当官の裁量的審査を排し、認定基準をできるだけ明確にし、申請者の予見可能性を極力高めるものとすることであった。

 しかし、最近の審査実例を見るとこの点が不徹底で、形を変えた主務官庁制の復活ではないかとさえ慨嘆する向きもある。

 ある専門的領域や観点から些細な問題点を発見し、市民感覚からは理解しがたい担当官の論理で考える形式に当てはめようとする審査姿勢は、とかく木を見て森を見ざる結果になることがある。このような審査姿勢が、新制度の理念と方向を見失い、全体として立派な公益活動を無理に歪めてしまうことになってしまうことがあることを理解してもらいたいものだ。

公益財団法人 公益法人協会 理事長 太田 達男


※ この記事は平成21年11月13日発の公法協E-mail通信(091113)、及び公法協Webサイトの最新コラムと同じ内容です。

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