2009年08月10日
主務官庁と行政庁の審査――どこが違う
旧民法時代における公益法人の設立は主務官庁の許可が必要でした。許可という行政行為は、官庁サイドの裁量権が最も強いもので、事実上担当官の胸三寸に委ねられていたといってよいでしょう。たとえば、「役員にはこのような人がいないといけない、人数が多い、少ない」「定款の文言はこうすべきだ」「基本財産は○億円以上必要」「会員が少ない」「おたくの収支は不健全」などなどの行政指導があり、その指導に沿った申請でない限り設立が認められることはまずありえませんでした。
このような不明瞭、曖昧模糊たる法人設立の許可主義が生み出してきた弊害を改め、法人設立は準則主義、公益性認定はその要件を法令で規定し、合致している限り認定しなければならないという制度に変わったのです。
つまり申請者にとって、認定取得が可能かどうかの予見性をできうる限り高めること、これが公益法人制度改革の一つの目的であり、民間の自発的な公益活動を促進、支援しようという理念に合致するものです。
もちろん大多数の行政庁担当官はこのことを十分理解され審査に当たっておられると信じますが、中にはこの法の理念が徹底していないためか、まことに残念なことには、法令やガイドラインに抵触していないにもかかわらず個人的意見を基にした指導がなされたり、追加資料の提出が求められていることを仄聞します。
新制度が今後普及定着するためには、新しい公益は私たちが作るという市民の気概と、これを支援する行政の意識改革が不可欠だと思います。今後、日を追って増加すると予想される申請・審査事務が円滑に進むことを期待したいものです。
(理事長 太田達男)
by 公益法人協会







現在は旧民法の財団法人となっていますが、公益財団法人へと移行しなければならない状態になっております。
ところが、決算はここ二年以上数千万の赤字になっております。
このような決算内容で、公益財団法人として認可されるものでしょうか?
平成19年度一般正味財産増減額が約-1200万円となっています。
20年度に至っては約-6000万円です。
申請時の決算は、やはり、赤字をなくさないと認可されないのでしょうか?
当法人もrigikaiさんと同じ悩みを抱えております。
平成18年に制度改革三法が公布されてから、恐らく単年度収支が赤字の法人は公益認定が受けられないのではないか、との考えから財務体質の改善に取り組んできたのですが、平成20年度も若干ですが、単年度収支で赤字となってしまいました。
従って、rigikaiさんの悩みは他人事ではありません。
太田理事長さんの、明快なコメントをお願いいたします。
rigikaiさん、光源氏さん
同じご趣旨のご質問なので、まとめて意見を述べさせていただきます。またrigikaiさんは同じ質問を別のところでもしておられますが、そこへの回答は省略します。
結論的に、そもそも決算数値に欠損が出ていることだけを理由として、認定基準に適合しないとすることはできないと考えます。
業績(黒字、赤字など)については認定基準第二号の「公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び~を有するものであること」に関連してきますが、これについては政・府令がなく、ガイドラインにおいて「必要な経理的基礎」とは「財政基盤の明確化」「経理処理・財産管理の適正性」「情報開示の適正性」の三つであることを説明しています。後二者は業績の良し悪しとは関係ありませんから、引っ掛かりがあるのは「財政基盤の明確化」です。
ここでは、「貸借対照表、収支予算書等より、財務状況を確認し、法人の事業規模を踏まえ、必要に応じて今後の財務の見通しについて追加的説明を求める。(中略) 法人の規模に見合った事業実施のための収入が適切に見積もられているかを確認する」としています。
このように、ガイドラインにおいても赤字が連続していれば財政基盤が脆弱であり、直ちに第二号基準に適合しないと断じている訳では決してありません。たまたま、申請前の事業年度において欠損が連続していても、構造的に赤字体質で黒字転換がどう見ても困難というのであれば別ですが、今後の見通しとして黒字体質に転換できることを説明できればよろしいのではないかと考えます。 そもそも、新制度では過去の実績を審査するのではなく、申請日の属する事業年度の事業計画と収支予算書等を審査することとなっていることを想起してください。
その観点から、前事業年度は赤字であっても、提出する収支予算書は黒字で作成することが望ましいと考えます。(もちろん、収入、費用の見積もりが十分説明しうるものであることが前提となりますが)
株式会社でもそうですが、色々な経済環境により業績がブレることは当然であり、その上非営利法人は収支相償原則等によりもともと大きな黒字体質になじみにくい組織であることを考えれば、赤字であることを理由に認定をしないというような判断をすることはないと信じます。日記にも書きましたように担当官の主観・裁量で判断することは新制度では許されていません。財政的基盤の判断も同様です。
ここから先は私の感想ですが、もっと言えば黒字転換が困難であっても、純資産を食いつぶしながら、公益活動を続けることはむしろ立派な行為と思います。(まったく不採算な山間僻地における介護事業を、基本財産を取り崩しながら続けようという志の高い団体を、財政基盤が脆弱であるとして認定を拒否すれば、果たして国民の共感が得られるでしょうか)
太田理事長さん
早速の、またご丁寧なご回答ありがとうございました。
当法人の状況について、公開することは問題があると思われますので、非公開の書き込みの場で私見を述べさせていただきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
光源氏さん
Helplineをご利用ください。
太田理事長さん
ありがとうございます。
問題点を整理して、相談させていただきたいと思います。
全くもってその通りだと思います。
当法人も、法令やガイドラインに触れられていない資料の提出を求められたり、法律をはるかに超える事業比率への改善を求められたりと、一体何のための新法なのだろうかと考えさせられることもしばしばです。
担当者の個人的な見解なのではないか・・とは思うものの、
ケンカをするようなことになっては、損をするのは当法人
ということになりそうで、あまり強く主張することができません。