9 移行申請と行政庁以外の行政機関との関係

認定申請のポイントシリーズ第9回

 最近、特例民法法人に係る認定や認可に際し、申請先行政庁以外の行政機関がどのように関与するのか質問を受けることがよくあります。ポイントシリーズ第9回はこの点を解説いたします。

 (移行認定申請の場合)
① 申請事業が法令上行政機関の許認可等が必要な場合に限り、当該行政機関に意見を聴くものとする(整備法第104条第1項)。
② 理事、監事、評議員が暴力団員等に該当するかまたは暴力団員等がその事業活動を支配している事実の有無について警察庁長官等に意見を聴くものとする(同)。
③ 申請法人が国税・地方税の滞納処分等に該当する事実の有無について国税庁長官等に意見を聴くものとする(同)。
④ 定款又は事業計画書の内容が法令又は法令に基づく行政機関の処分に違反しているかどうかの事実および旧主務官庁の監督上の命令違反の有無について旧主務官庁に意見を聴くものとする(同条第2項)。
 上記①は申請法人が医療事業等行政機関の許認可事業を営んでいる場合であり、許認可事業でない場合には関係ありません。また、②と③については申請を受理した行政庁は必ず該当事実の有無について確認をしているようです。④については行政処分違反が続いている事実の確認ですが、この場合の行政処分の意味についてはこのポイントシリーズ第5回で解説したとおりです。
 移行認定申請すると行政庁から旧主務官庁に必ず意見照会するのではないか、旧主務官庁の申請法人に対する一般的評価が行政庁の審査に影響を及ぼすのではないか、極端な質問では旧主務官庁の事前了解が事実上必要ではないかなどと考える方がおられますが、上記のとおり旧主務官庁への照会は限られた事項だけですからこれは完全に誤解です。
 新制度は、旧主務官庁よる不明朗な裁量による設立許可及び業務についての指導監督制度を撤廃することが一つの大きな改革のポイントでした。平成17年12月に発表された改革3法の要綱に「移行申請は旧主務官庁を経由して提出する」旨の1項目がありましたが、事実上この規定により、旧主務官庁が、認定・認可の前捌き機関化することを懸念した公益法人協会その他の民間団体の反対意見があり、これが削除されたという経緯もあり、認定・認可申請にあたって、旧主務官庁から法的な指導や指示を行うことはできません。

 (移行認可申請の場合)
 認可申請法人が作成した公益目的支出計画が認可の基準(整備法第117条第2号)に適合するかどうかを判断するために必要な場合には、当該法人の事業活動の内容について、旧主務官庁の意見を聴くものとする(整備法第120条第4項)とされています。
 移行認可申請の場合は、公益目的支出計画に継続事業(整備法第119条第1号ハに該当する事業)として記載した事業について、当該事業が公益に関する事業と位置づけられており、継続事業に該当するかどうかについて旧主務官庁に対し意見聴取を行うものです。

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8 基本財産と特定資産の意義

認定申請のポイントシリーズ第8回

 元々旧民法において「基本財産」という法律用語はなく、「基本財産」の処分について主務官庁の承認が必要というのも、ごく一部の主務官庁が省令で定めているに過ぎませんでした。
 また、定款(旧寄附行為)においても、古い法人の中には法人運営上不可欠な財産を「元資金」と称しているところもありました。
 しかし、何時の頃か詳細に調べていませんが、財団法人の実務慣行として「基本財産」という用語が定款や会計上用いられるようになり、旧法下では「基本財産」は財団法人の法人格が与えられる基礎となる財産であり、その処分は主務官庁の認可が必要というのが一般的な規律として理解されるようになりました。また、指導監督基準により基本財産の運用対象については郵便貯金、定期預金、国債等元本回収が確実なものとされていました。
 しかし、新制度では「基本財産」は従来の持つ意味と大きく変わりました。ポイントシリーズ第8回はこの点を取り上げます。

1 一般法人法における基本財産の法的性格
 財団法人において、「目的事業に不可欠なものとして定款で定めた基本財産」があるときは、理事は「定款で定めるところにより、これを維持しなければならず、かつ、目的事業を妨げることとなる処分」をしてはならないと規定されています(一般法人法第172条第2項)。「基本財産」の規定はこれだけで、とくに省令などへの委任規定はありませんから実務的には①「目的事業に不可欠なものとして定款で定めた基本財産」があるかどうかは法人自らが判断することである(換言すれば、従前と異なり財団法人でも「基本財産」というものはなくてもよい)②仮にそのような「基本財産」を定款で定めた場合、その維持・処分について理事に課せられた注意義務と責任の具体的内容は、法人の判断により骨子を定款で定め、詳細を規則等で決めるなど一定の配慮を要するという2点に留意することが必要です。

2 公益認定法と基本財産の関係
 公益認定法では「基本財産」という用語は一切使用していません。したがって、公益認定申請書や定期提出書類にも「基本財産」「特定資産」を記載する欄はありません。公益認定法では財産に関し「公益目的事業財産」とか「公益目的保有財産」など色々な用語を用いて認定基準や認定後の遵守基準を定めていますが、それらはすべてどのような使用目的のための財産であるかという実質基準で規定されており、「基本財産」や「特定資産」という抽象的な名称の用語には全く法的な意味での関心を示していません。したがって、「基本財産」や「特定資産」とすれば遊休財産から自動的に控除されるなどということは決してありません。あくまでもその中身で判断されることとなります。
 ただ、ガイドラインにおいて「公益目的事業に不可欠な特定の財産(公益認定法第5条第16号)」があれば、それは前述の一般法人法第172条第2項の「基本財産」とし、計算書類上も「基本財産」として表示することを求めています。また、特定費用準備資金と資産取得資金は計算書類上「特定資産」と表示することとしています(ガイドラインⅠ-15(2)、Ⅰ-7(5)-②)。

3 定款と「基本財産」の関係
1)内容の記載
 前述のように、公益認定法上の「(公益目的)不可欠特定財産」は必ず基本財産とし、定款(付則の別表を含む)に記載することが求められていますが、その他の一般法人法第172条第2項の「基本財産」を規定する場合、その規定の仕方は大別して次の二通りの方法があります。
① 「基本財産」の具体的な内容を別表に記載する
② 定款では具体的内容を記載せず、別に評議員会(または理事会)で決議した財産を「基本財産」とする趣旨の規定を設ける
 ①は土地建物など実物資産を基本財産とする場合は有効ですが、金融資産などその内容が変化する可能性のある財産を「基本財産」とする場合は②が便利かと思います。いずれにせよ、財産の内容や将来の見通しなどに応じて法人が自由に①又は②を選択すればよいと思います。
2)管理・運用・処分に関する規定
 「基本財産」の管理・運用・処分についての手続き規定を設けるかどうかは任意ですが、実務的には定款で原則を定め詳細を規則で規定することをお勧めします。もちろん、運用対象も法人の判断により定めることとなります。

4 社団法人と「基本財産」
 一般法人法第172条第2項の「基本財産」は財団法人に関する規定です。しかし、(公益目的)不可欠特定財産を「基本財産」とする前掲ガイドラインは社団法人にも適用するものであり、さらに、社団法人において従来基本財産としていた財産は移行後も引き続き定款上効力を有するものとしています(FAQⅥ-3-①2(2))。したがって、社団法人も「基本財産」を定款上及び計算書類上任意に用いることができると解されます。

5 会計と「基本財産」の関係
 上記1~4によって法人が基本財産または特定資産を有するときは貸借対照表の固定資産を、基本財産、特定資産、その他固定資産に分け計上します。
 なお、寄付によって受け入れた財産で指定正味財産に計上されるものは基本財産または特定資産に、また特定目的のための金融資産を保有する場合は当該目的を示す独立の科目により特定資産に計上することが妥当ですとされています(公益法人会計基準注解(注4))。

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申請書類公開サイト:お知らせします

 弊公益法人協会は認定申請書類をすべて本サイトで公開していることはご存知かと思いますが、外にも少数ですが全部または一部の申請書類を公開しているサイトもありますから下記にお知らせします。
 このブログをご愛読いただいている皆様にも、首尾よく認定・認可を取得された暁には、お差支えない範囲で申請書類を公開していただければ、後に続くすべての法人に大変参考になると思います。是非よろしくお願いします。

・公益財団法人 助成財団センター
 (申請書類のページはこちら
すべての申請書類を公開しています。とくに、事業型財団や助成財団に参考になります。

・公益財団法人 ニッセイ文化振興財団
 (申請書類のページはこちら
申請書別紙1、2を公開しています。とくに舞台芸術公演、運営等の法人に参考になります。

・鹿児島県公益認定等審議会
 (申請書類のページはこちら
公益法人information(国・都道府県公式公益法人行政サイト)の鹿児島県サイト。
鹿児島県では公益認定に係る審議会資料で、申請法人の概要説明書として申請書別紙1,2を公開しています。
第5回鹿児島県公益認定等審議会:公益財団法人 昭和会(とくに医療事業実施法人に参考になります)
第6回鹿児島県公益認定等審議会:公益社団法人 鹿児島県理学療法士会(とくに職能組織の法人に参考になります)

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7 助成金・奨学金の募集・選考方法

認定申請のポイントシリーズ第7回

 助成金・奨学金は社会的にニーズの高い分野に原則無償で資金を提供する活動であり、一般的に公益性の高い事業ですが、特定の者に利益が誘導されないよう、公正性を確保する工夫をしているかどうかがポイントになります。ポイントシリーズ第7回は、この点を考えてみたいと思います。
 なお、助成金については大別して①応募型(推薦を含む)の助成と、②応募を経ない能動型助成の二つのタイプがありますが、いずれにも共通して重要なことは、上記のとおり、公正性確保の工夫だと考えます。

1 応募型
 応募型は募集と選考の2段階において公益性を説明する必要があります。
(募集方法)
 公益認定等委員会ガイドライン[参考]の「公益目的事業のチェックポイントについて」において、「13助成(応募型)」が説明されていますが、募集方法に関連して特定の学校を対象とする研究助成や奨学金事業は、公益性がないという誤解がまだ一部にあるようです。
 しかし、特定の大学・研究機関を募集対象とする研究助成金事業や特定の学校だけを募集対象とする奨学金制度については、特定の対象であるからという理由だけで決して公益性を否定されるものではありません(第21回公益認定等委員会の議論、当ブログ09年9月11日付日記)。
 昨年9月に追加されたFAQⅨ-⑨の肯定的説明は、特定校在学生に対する奨学金の事例ですが、助成金も同様に考えられます。
 助成金募集方法については、その他、学会や関連分野の中間支援組織に推薦を依頼する方式も従来からあるようですが、これについてもその推薦機関が中立的で公正な機関である限り問題ないと考えます。
 また、一部には評議員、理事などからの推薦も受け付けている事例があるようですが、これについては慎重に考える必要があると思います。特に理事の場合、選考の最終決定をする機関は理事会であるため、本人が所属している(あるいは所属していた)大学・研究機関の研究者を推薦する場合、必ずしも明確に利益相反取引に該当するとは言いきれませんが、「李下に冠を正さず」という観点から、実務上は評議員推薦も含め避けた方が無難と考えます。
 (選考方法)
 応募者、被推薦者の選考については公正な選考手続きをとることが核心です。公正な選考手続きを経ない場合、特定の者への利益供与と判断される恐れがあります。通常は理事会の諮問機関としての選考委員会を設け、この委員会での公正な審査を経て答申があり、答申を受けた理事会が執行機関として最終決定するというのが最も望ましい選考プロセスかと思います。
 しかし、小規模な法人では選考機関を別に設置することが過大な負担になる場合もあり、理事会が直接審査を行い決定することも、公正性を担保する工夫(例:助成先の役員と当該法人の理事が兼務している場合には選考に加わらないように選考規程を定めている等)をしている限り認められ得るものと思います。
 さらには、特定の学校等に選考を委ねていて、法人としてはこの特定の学校等の選考結果に従って助成先を決定する場合もありますが、この場合は「13助成(応募型)」で説明するのではなく、「18その他」で説明するのが適当であろうと考えます。

2 能動型
 また、助成財団によっては英米でよく行われているように、研究開発すべきプログラムを具体的に定め、この事業を実施するに最も適切な団体を探し、ここへ所要資金を提供する場合があります。つまり、応募を待つ受け身の姿勢ではなく、財団が設定した特定のプログラムを遂行できる能力のある特定の団体を選抜し、助成等の資金的支援をするケースです。このような能動型の助成についてはチェックポイント「18その他」で説明することとなりますが、①そのプログラムの実施が社会の利益の促進に寄与するものであること②助成先の決定方法・過程が公正な手続きを経ており、特定の者への利益供与でないことを明瞭に説明できれば公益性が認められ得るものと考えます。

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6 資産取崩しによる事業実施は必ずしも不健全とはいえない

認定申請のポイントシリーズ第6回

 株式会社は利益を上げることが至上命題ですから、赤字決算は財政的に不健全ということになります。赤字決算が続き純資産などの内部留保を取り崩すことは業績不振ということとなり、上場企業であれば株価や格付けの下落を招き信用力が低下します。
 しかし、公益法人のような非営利法人は、もちろん利益を上げることが目的ではなく、目的事業を遂行することが使命です。したがって、上記のような営利法人における赤字の持つ意味とは異なります。ある時期には基本財産や特定資産などを取り崩しつつ公益目的事業を実施することは公益法人の世界ではよくあることで、それをもって直ちに財政的基礎が脆弱ということにはなりません。たとえば、超低金利下における現状では、運用益だけで事業を実施することは困難な場合があり、また新たな寄附金などの収入を調達することもできない場合に、一定の事業水準を維持することを優先し、資産を取崩すことを決断する場合もあります。このような決断は、資産保持を優先し公益目的事業を僅かの収入の範囲内に収め損益の帳尻を合わせるよりは、はるかに受益する社会にとっては利益の増進につながるものです。
 財団法人では存立(存続)期間を定款で決めることも法律上認められており、出捐した財産を一定期間で使い切り、財団の使命を終えることすら想定しています。
 それでは存立期間の定めのない法人において、そのような資産取崩しが続くと、いずれは破綻する(解散)ではないか、それは経理的基礎が脆弱ということにならないかと考える人もいるかもしれませんが、資産取崩しの効果と法人の存続について熟慮の上法人が判断することで、まさしく法人自治の領域の問題です。
 よく公益認定申請時の収支予算がたまたま赤字であるため、経理的基礎が不健全という烙印を押されないか心配する法人がありますが、赤字の原因とその対応策の説明に合理性があれば、赤字であることだけをもって認定されないというようなことはありません。
 もちろん、収益事業等が赤字基調でありその赤字のため法人全体として損失の状況が続いているような場合には「収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれ」(公益認定法第5条七号)があると判断される可能性があることにも留意してください。
 また、基本財産や特定資産の取崩しを含む管理方法について手続き等の要綱を事前に定めておくことが必要ですし、さらには財産が減少しその結果目的達成不能による解散や、財団法人の場合純資産が2事業年度連続して300万円を下回ることによる解散などが発生する事態も十分考慮に入れておく必要があります。

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5 旧主務官庁の監督上の命令に違反している特例民法法人とは何か。

認定申請のポイントシリーズ第5回

1 今回のポイントシリーズ5では、認定申請欠格事由となる命令違反とはどのようなものかについて取り上げました。
整備法の第101条は、特例民法法人の認定申請の欠格事由として、認定法第6条(欠格事由)の規定の準用(第1項) の他に、第2項で「第95条の規定によりなお従前の例によることとされる旧主務官庁の監督上の命令に違反している特例民法法人は、第44条(公益法人への移行)の認定を受けることができない。」と規定しています。
この第2項が最近クローズアップされ、単に行政指導に違反していることをもって、そのような特例民法法人は公益法人への移行申請ができないという説明をする人がいたり、旧主務官庁においてもそれらをほのめかす担当者官もいるやに聞いています。

2 しかし、ここでいう命令とは、整備法第95条によりなお従前の例によることとされる旧民法67条2項の命令であり、いわゆる「行政指導」は含まれません。命令は当該法人の事業運営の適正化等の義務を課すものですから、行政手続法上の「不利益処分」に該当するものと考えられます。このため、原則として旧主務官庁は、行政手続法に基づき根拠条例を含む理由の提示、命令を行うに先立って弁明の機会の付与等の諸手続、行政不服審査法等に基づく教示を行うことが必要と考えられます。
よくある例ですが、①主務官庁による検査があり、その結果改善を求めた通知が担当課長や担当者名で出状されたものや②主務官庁の担当課から所管特例民法法人の代表者に、法人の運営について適切に行うことを要請する事務連絡、③主務官庁の担当局長から個別の特例民法法人へ「公益法人の設立許可及び指導監督基準」のある項目について適正化の要請がある等については、整備法第101条の命令ではないと判断されます。

3 なお、命令の内容についてはどのようなものが対象となるでしょうか。旧主務官庁の命令の法律上の根拠は、整備法第95条です。第95条では法人の監督はなお従前の例によるとされ、旧民法の第67条第2項では「主務官庁は、法人に対し、監督上必要な命令をすることができる」と規定されています。しかし「監督上必要な命令」の内容については、旧民法では特に規定されておらず、命令の内容は旧主務官庁の裁量に委ねられていると考えられます。
実際的には、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」に反している場合や、定款に違反した運営や公益法人として相応しくない運営が行われている場合等に是正を求める命令が出されているようです。
ただ、行政実務上は、いきなり命令を行うのではなく、まずは行政指導を行い、それでも問題が是正されない場合や指導に対する対応が悪質な場合等に限り、命令を行うことが多いようです。
いずれにしても、「監督上の命令」が出される場合には、原則として弁明の機会がありますので、その内容に不満がある場合には反論すればよいですし、その対象や内容について問題があれば最終的には司法の場で争うことになると考えられます。

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4 収支相償(第2段階)の剰余金で取得する金融資産は事情によっては、公益目的保有財産の取得と認められ得る場合がある

認定申請のポイントシリーズ第4回

 ご承知のように、収支相償計算の第1段階で、収入が費用を上回る場合当該事業の特定費用準備資金として整理することが原則ですが、剰余金が予想外の事情により発生し、毎年剰余金の発生が恒常的に続くようなものでない場合は、翌年度(場合によっては翌々年度)までに解消することを説明することにより、収支相償の基準を満たすものとして取り扱うことも可能とされています。
 また、第2段階での剰余金は、同じく特定費用準備資金として整理することが原則ですが、公益目的保有財産に係わる資産取得資金に繰入れたり、当期の公益目的保有財産の取得に充てたりする場合、本基準は満たされているものとして取り扱われることとされています(以上ガイドラインⅠ-5およびFAQⅤ-2-⑤)。
 この場合公益目的保有財産の取得(上記下線部分)には、金融資産も含まれるかという質問がよくあります。
 認定委事務局では、この点についてかなり慎重な考え方のようです。
 すなわち、土地建物や機械などの実物資産は実際の使途との関連性が比較的明確に把握できますが、金融資産については単に取得するだけでは、直ちに公益目的事業に使用するとは判断できないことが理由のようです。
 しかし、単に貸借対照表上基本財産や特定資産として区分したというだけでなく、取得した金融資産を実際に公益目的事業に使用することについて合理的な説明ができれば、個別の事情を斟酌して公益目的保有財産として認められ得る場合も十分考えられます。
 なお、以上は収支相償第2段階の取扱ですが、公益目的事業が1個しかなく、かつ収益事業等を実施していない場合は、第1段階の計算はなく直接第2段階で判定されます。また、公益目的事業が複数ある場合でも、公益目的事業の共通の収入・費用がある場合は第2段階の判定に進みますから、これらのケースにおいても剰余金を金融資産としての公益目的保有財産とすることが個別事情によっては可能になります。
 また、この取扱は移行後だけでなく、申請時においても同様の取扱が可能です。

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