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特例民法法人の解散と清算

移行期間満了日である今年11月30日が迫ってきました。
その日が過ぎても、認定も認可も受けず、申請中でもない特例民法法人は、解散したものとみなされます。

特例民法法人の解散は、例が少なく、かつ主務官庁の指導のもとに静かに解散し、関係者が体験談を語ることもあまりなかったので、具体例についての体系的な体験談は見当たりません。

この度、解散および清算をお考えになられる方にとり、その一助となるよう、法文等とわずかな文献、そして今までに受けた個々の相談事例をよりどころに本資料を作成いたしました。

本資料ご希望の方は、下記要領にてお申込ください。

〇申込方法 当協会「解散と清算 係」宛に郵送。
         
           公益財団法人 公益法人協会
            〒113-0021
            東京都文京区本駒込2-27-15

〇記載内容 「解散と清算資料希望」と明記のうえ、次の①~④を記入。
        ① 住 所    ② 団体名 
        ③ ご担当者名 ④ 電話番号

〇資料代  500円分の切手(申込書とともに同封のこと)
        *送料も含まれます。

〇問合せ  当協会事業部(出版) Tel 03-6824-9875


主な目次

Ⅰ はじめに
 1 特例民法法人の解散と清算にかかる法規制
 2 解散と清算にかかるフローチャート
 3 貸借対照表・財産目録の確定と事業の移譲先等の検討
 4 旧主務官庁との事前協議

Ⅱ 特例民法法人の解散手続
 1 特例民法法人の解散手続その1(平成25/11/30以前)
 2 特例民法法人の解散手続その2(平成25/12/1以降)

Ⅲ 特例民法法人の清算手続
 1 清算法人の機関等
 2 清算人の職務
 3 清算に伴う決算承認等
 4 清算事務の終了等
 5 重要書類の保存
 6 裁判所による監督

by 公益法人協会  

立ち入り検査事例について

このたび立ち入り検査の事例を法人様のご好意によりご提供いただきましたので、皆様のご参考に供します。


立入検査(平成24年7月×日)の実施記録

1. 検査の実施についての通知は添付、6月×日付総理大臣名レター(略)による。

(1) 実施日7月×日、10時より17時(当日は16時半に終了した。)
この日の決定前、6月×日に電話で候補日の提示があり、回答していたもの。

(2) 検査官は2名
正式役職名は2名とも
内閣府大臣官房公益法人行政担当室参事官補佐 
兼 公益認定等委員会事務局上席審査監督調査官
当方は常務理事と事務職員1名にて対応した。


2. 検査の対象: 平成23年度の事業運営及び決算全般


3.検査の進め方

(1) 最初に事業の内容についての説明を求められた。
当方より40分ほど、財団の概要と年間のスケジュールを簡略にまとめた資料を使って説明した。
選考先を決めた経緯、選考の具体的進め方、助成採択の審査等につき質問があった。

(2) この説明後に検査官と以下のやり取りがあった。
① 理事、監事、評議員及び選考委員の履歴書(提示を求められた。)にて、本人と事業との特別の利害関係の有無について確認した。
② 理事会、評議員会の開催手続きレターの確認、議事録の内容、署名人の確認(すべて個々に照合、確認した。)
③ 評議員交代時の後任が補欠としての選任か、新規としての選任かを書面上で明確としているかの確認(任期の終期に違いがあるため。)
④ ○○資金積立資産の取り崩しの根拠と手続きの確認
⑤ 理事会での理事長及び常務理事の業務報告がそれぞれからなされていることが議事録に明記されているかの確認。
(以上午前中。12時より13時半まで休憩)

(3) 午後は経理面について、決算書の作成の手順、財団内での承認手続き、記載数字の裏付けとなる書類の提示等を求められた。
① 毎月の収支については監査法人から1月と4月に会計士3名が来社し、帳簿とのつき合せと決算数字の確認を行うこと、年度末監査後、決算につき理事長の承認をメモにて得ること、監事がその後、理事の業務運営を含めて常務理事から事業報告と決算書の説明を受け、監査すること等、を説明した。
② 母体組織からの寄付の請求と入金記録の確認
③ 資産残高の確認と通帳との照合(証券会社からの証明書類等で債券ごとに照合した。)
④ 支出に際する財団内手続きの確認と通帳との照合
⑤ 金庫内現金の残高確認及び通帳、印鑑の保管場所の確認
⑥ 定期提出書類の別表C2、控除対象財産である基本財産のうち公益目的保有財産の割合(公益事業用)を55%、法人会計分を45%とした根拠の説明。(認定申請時には時間が十分なく、当局が詳細の説明を当方に求めていなかったもの。法人会計費用が不足して財団の運営が危うくなることを回避するために、法人会計用の収入を厚めに見ている点を説明した。また将来の株式配当金収入の変動リスクもある旨説明した。)

(4) その他
① 事務所の賃貸借契約書の内容と賃借料の確認
② 法定の事務所に備置くことが求められている書類の内容とその保管状態の確認


4. 検査の講評(検査終了後別室で検査官二人が打ち合わせた後、説明があった。)

概ね良好。指摘項目等を書面で通知することは予定していない。

以上
by 公益法人協会  

20 公益認定後に初めて提出する別表Hの作成について

認定申請のポイントシリーズ第20回

 公益認定を受けた法人様は、事業報告等に係る定期提出書類を公益法人となって最初の事業年度終了後(以後、毎年度)、3ヵ月以内に行政庁へ、提出しなければなりません(*)。
 多くの法人様にとって、その提出期限が6月末と、目の前までせまっていることと存じます。
 そこで弊協会では、このたび『別表H作成の解説 - 公益目的取得財産残額の計算-』と題して、事例を挙げつつ表中の各欄ごとの説明まで施し、その作成の目的から、手順・方法を、公益認定等委員会事務局へその内容について相談の上、より具体的にまとめました。

 (*) なお例えば、今年4月1日に移行された公益法人様で、来年3月末に最初の事業年度を終了される法人様は、来年6月末が期限になります。

<別表H作成の解説  - 公益目的取得財産残額の計算 ->

1 別表Hの作成目的

 ご承知のように、公益認定が万一将来取消されたときには、公益目的取得財産残額に相当する額の財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくはそれに準ずる一定の公益的法人または国・地方公共団体に贈与しなければならないことになっています。
 この公益目的取得財産残額は、「過去の資金の出入り」(以下「公益目的増減差額」といいます。)と「公益目的保有財産の残高」の合計により計算されます。
 ここで、「公益目的保有財産の残高」は、いわばスットクであり、その残高は毎年度末の定期提出書類の一部である別表C(2)の1号財産として記載していますから面倒な計算は必要ありませんが、いわば毎年の資金のフローである「公益目的増減差額」は何十年、何百年もさかのぼってこれを計算することは事実上不可能ですから、いつあるか分からない将来の取消しに備えて、毎年これを計算し、全体としての公益目的取得財産残額を一応毎事業年度末において計算しておくことが法令上求められています(公益認定法施行規則第48条第1項)。
 別表Hは、この公益目的取得財産残額を計算するための表です。


2 公益目的取得財産残額の計算方法

 各事業年度末の公益目的取得財産残額は、次のA+Bです(公益認定法施行規則第48条第2項)。

A 公益目的増減差額
B 公益目的保有財産(定義は、公益認定法施行規則第26条第3号に規定)

また、公益目的増減差額とは、次のa+b-cと規定されています(公益認定法施行規則第48条第3項)。
a 前事業年度末公益目的増減差額
b 当該事業年度に増加した公益目的事業財産
c 当該事業年度の公益目的事業費

 つまり、前事業年度末の公益目的増減差額に当該事業年度に増加した「公益目的事業財産」を加算し、当該事業年度に支出した「公益目的事業費」を減算することになります。
 この加算要因として「公益目的事業財産」に含めるものは、公益認定法施行規則第48条第3項第1号のイ~ルまでの11のものが規定されています。また、減算要因として「公益目的事業費」に含めるものは、同施行規則第48条第3項第2号のイ~ホまでの5つのものが規定されています。
 別表Hは、以上の法令に基づく計算をしていただくために準備されている表です。


3 別表H(1)、H(2)及び「移行時の公益目的取得財産残額について」の作成順序

 移行後初めての決算を迎え、定期提出書類を作成する法人はまず、「移行時の公益目的取得財産残額について」を作成し、ついで別表H(2)を、最後に別表H(1)を作成する順序が便利です。
 提出2回目以降の法人は、「移行時の公益目的取得財産残額について」は不要ですから、別表H(2)、別表H(1)の順序で作成します。


4 「移行時の公益目的取得財産残額について」の作成方法

 認定申請の際、遊休財産の控除対象財産として申請書別表C(2) に公益目的保有財産(1号財産)以下6号財産まで記入する欄がありますが、そのうち1号財産ならびに公益目的事業のために使用する3号~6号財産は、移行登記日に公益目的増減差額として引き継がれていくことになります。
 しかし、申請時に記載したこれらの財産が移行登記日までに、時価による帳簿価額の変動や譲渡、き損・滅失、目的外支出などにより変動が生じる場合があります。そのために、申請時に公益目的保有財産等とした財産・資金について、移行登記日までの変動をトレースし、移行登記日における公益目的増減差額を確定するための表が本表です。

1欄:  認定申請の際に公益目的保有財産とした財産(申請書別表C(2)の「1.公益目的保有財産(1号財産)」に記載した財産)の移行登記日における帳簿価額を記入します。
時価の変動により申請時点の簿価を修正している場合は、申請時の簿価と変わってきます。
なお、公益認定法第5条第16号に規定する「公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産」(不可欠特定財産)に該当する財産は1欄には記入しません。不可欠特定財産は代替不可能な美術品や歴史的建造物などしか認められていませんから、博物館などではあり得ますが、それ以外の公益法人では殆どないと思います。
2欄:  認定申請の際に公益目的保有財産とした財産を移行登記日までに譲渡している場合は、この欄に譲渡により得た額を記入します。
3欄:  認定申請の際に公益目的保有財産とした財産が移行登記日までに滅失・き損し、それにより得た補助金、保険金などがあれば、この欄に記入します。
4欄:  認定申請の際に公益目的事業に係る資産取得資金(3号財産)とした資金の移行登記日現在の積立て額を記入します。
5欄:  認定申請の際に公益目的事業に充てるための以下の資金は、すなわち特定費用準備資金(4号財産)、寄附された土地、有価証券など財産(5号財産)、寄附金(6号財産)とした資金のうち、移行時にそれぞれ公益目的事業に充てるための4号財産~6号財産に引き継がれることとなる資金について、それらの移行登記日における積み立て額を記載します。なお、分かりにくいのですが、5号財産のうち現物財産についても移行時の特例として「資金」とみなして、「公益目的増減差額」として取り扱うことになります。
6欄:  認定申請の際に4欄及び5欄までに記載している資金のうち、移行登記日までに当該資金の目的以外のために取り崩したものがある場合にその取崩し額を記入します。

 以上の1欄~6欄の合計額が7欄に記入されますが、この7欄は移行登記日における公益目的増減差額としてスタートし、別表H(1)の2欄に転記されます。
「移行時の公益目的取得財産残額について」の表は、以上の他2欄、3欄、6欄の明細を記入する囲み表がありますが、容易に記載できますからここでは説明を省略します。


5 別表H(2)の作成方法

 別表H(2)は、寄附財産、会費及び費用等で公益目的増減差額に加算すべきものと加算されないものを区分するために作成する表です。ここで計算した数値は別表H(1) の該当欄にすべて転記されます。

1) 寄附を受けた財産

 寄附を受けた財産は、公益目的事業以外のために使用すべき旨が定められているものと、それ以外のものに分け、前者は(1)の囲み表に、後者は(2)の囲み表に記入します。特に指定のない場合は、後者(2)の囲み表に記入します。前者は公益目的増減差額に加算されず、後者は加算されるので、別表H(1)の3欄に転記されます。なお、公益目的事業のみを実施し、収益事業等を行っていない公益法人は寄附金のうち一部を合理的な範囲内で法人会計の費用に直接充当できますから、その場合は法人会計に充当する寄附金は(1)の囲み表に記載します。
 なお、ここに記入する寄附は、金銭だけでなく有価証券のような現物で寄附された財産についてもその簿価をここに記入します。公益財団法人が受領する会費は、原則として寄附金としてここに記入しますが、定款や会費規程で「公益目的事業に何割、法人会計に何割」と定めている場合には、公益目的事業の割合により計算した会費を記入することになります。

2) 会費(社団法人の場合)

 会費等のうち、一般法人法第27条に基づいて公益社団法人が当該事業年度に社員から徴した経費を、A:公益目的事業以外のために使用すべき旨を定めているもの、B:公益目的事業のために使用すべき旨を定めているもの、C:使途の定めがないものに分け、Aは(1)の囲み表に、Bは(2)の囲み表に、Cは(3)の囲み表にそれぞれ記入します。
 (3)の囲み表の「うち公益目的事業のために使用する金額」欄には、Cのうち公益目的事業の収益として計上した金額を記入しますが、最低50%は公益目的事業に使用しなければならないことに注意してください。BとCのうち「うち公益目的事業のために使用する金額」欄の合計額が公益目的増減差額に加算され、別表H(1)の7欄に転記されます。

3) 公益目的保有財産の運用収益等

 公益目的保有財産から生じた利息・配当金、売買益を公益目的増減差額の加算要因として記入します。評価益は含まれません。この合計額は、別表H(1)の8欄に転記されます。

4) 公益目的保有財産に生じた費用及び損失

 公益認定法施行規則第23条に規定する、
「一 善良な管理者の注意を払ったにもかかわらず、財産が滅失又はき損した場合 
二 財産が陳腐化、不適応化その他の理由によりその価値を減じ、当該財産を廃棄することが相当な場合」
等、正当な理由により公益目的保有財産に生じた評価損、減損等のうち別表H(1)の15欄「公益目的事業費の額」に算入されていないものを記入します。この合計額は、公益目的増減差額の減算要因として同表の16欄に転記されます。
 なお、資産運用をした結果金融資産に生じた通常の評価損は、法人内部の「資産管理運用規程」等の手続に則った評価損であっても、前記の一(公益認定法施行規則第23条第1号)に該当しない、50%程度以上の価格の下落があり、かつ、時価の回復が見込めない場合に減損会計を適用し、時価まで切り下げた場合のみが前記一に該当するというのが、公益認定等委員会事務局の見解です。評価益が出ても評価損が発生しても、公益目的取得財産残額には影響しないという考え方に基づくものです。

5) 他の公益法人の公益目的事業のために寄附した財産

 別表H(1)の15欄~17欄に算入されているもの以外であって、他の公益法人の公益目的事業のために寄附した財産がある場合には、ここに記載します。この合計額は、公益目的増減差額の減算要因として、同表の18欄に転記されます。


6 別表H(1)の作成方法

 以上の作業から、いよいよ前事業年度末における公益目的取得財産残額を確定するための別表H(1) を作成する準備が整いました。別表H(1)は次のような順序で記入していくことが便利と思います。

1) まず最初に、公益目的保有財産から記入します。22欄に前事業年度の公益目的保有財産の「帳簿価額」の合計額を記入します。ただし、移行後初めてこの定期提出書類を作成するときは、この欄と23欄は0(ゼロ)と記入します。その理由は、移行時の公益目的取得財産残額として引き継がれる資金・財産はすべて公益目的増減差額として計算することになっているからです。ただし、公益認定法第5条第16号に規定する「公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産」(不可欠特定財産)があれば、22欄と23欄にその帳簿価格を記入します。不可欠特定財産は代替不可能な重要美術品や再建築不可能な歴史的建造物等しか認められていませんから、博物館などではあり得ますが、それ以外の公益法人では殆どないと思います。
 ついで、21欄に当該事業年度末の公益目的保有財産の「帳簿価額」の合計額を記入します。ここでよくある質問は、公益目的保有財産とした財産の時価に変動があったときはどうするのかというものですが、「帳簿価額」というところに着目してください。あくまでも「帳簿価額」ですから、上場株式のように時価変動による帳簿価額の修正をしていれば、公益目的保有財産の額も変動します。しかし、減損会計(50%以上の下落があれば帳簿価額を切り下げるというルール)で帳簿価額の切り下げを行わない限り、土地は時価が変動していても帳簿価額の修正をしませんから、時価変動は織り込まれないということになります。

2) 次に、21欄-22欄を計算しプラスの数字であれば、これを19欄に記入し、10欄には0(ゼロ)と記入します。21欄-22欄がマイナスの数字であれば、このマイナスをとってプラスの数字として10欄に記入し、19欄は0(ゼロ)と記入します。
 21欄-22欄というのは、当期末の公益目的保有財産の帳簿価額から前期末の公益目的保有財産の帳簿価額を引いた金額ですから、前期末に比べて増えている場合は19欄に、減っている場合は10欄に記入すると覚えてください。
 なぜ、このような調整をするのかという質問がありますが、これは公益目的取得財産残額の二重計算を回避するために調整するものです。
事例で考えればすぐわかります。

事例1 「公益目的事業に指定した寄附金が、当該事業年度中に100あった。これをすべて公益目的保有財産とした」
 この場合、公益指定の寄附金という資金100は、3欄に記入します。その結果公益目的増減差額は100増えます。また、公益目的保有財産は100増えていますから、単純にこれを合計すると公益目的取得財産残額は200増えたことになり、二重カウントされる結果になります。これを避けるため19欄に100を記入し、公益目的増減差額をプラス・マイナス0と調整するのです。

もう一つ逆の場合を考えて見ましょう。

事例2 「公益目的保有財産を100取り崩して、公益目的事業の費用100として支出した」
 この場合、公益目的事業の費用支出は15欄に記入します。その結果、公益目的増減差額は100減ります。また、公益目的保有財産も100減りますから、単純にこれを合計すると公益目的取得財産残額は200減ったことになり、二重カウントされる結果になります。これを避けるため10欄に100を記入し、公益目的増減差額をプラス・マイナス0と調整するのです。

3) 次いで2欄を記入します。2欄は、前事業年度末日の公益目的増減差額を転記します。一般法人から公益認定を受けて公益法人となった最初の事業年度の場合には0(ゼロ)と記入します。
 なお、移行後最初の事業年度の場合には、同時に提出する「移行時の公益目的取得財産残額」の表における7欄の数字を記入します。1)でも説明したように移行時の公益目的取得財産残額として引き継がれるものはその中身を問わず、すべて公益目的増減差額として計算することとされているからです。

4) 次に3欄~13欄を順次記入します。3欄~13欄は、公益目的増減差額に加算される金額(公益目的事業財産)を記入していくものです。

3欄: 寄附を受けた財産の額
別表H(2)の「1.寄附を受けた財産」(2)の囲み表合計欄の数値を転記します。
4欄: 交付を受けた補助金等
公益目的事業のために受領した補助金や助成財団から受けた助成金もここに記入します。
5欄: 公益目的事業に係る対価収入
公益目的事業による対価収入(セミナー会費、出版物等販売代金、研究や事務の委託費等)です。
 なお、公益目的事業のみを実施し、収益事業等を行っていない公益法人は対価収入のうち一部を合理的な範囲内で法人会計の費用に直接充当できますから、その場合は法人会計に充当する対価収入金額は除外して記入します。
6欄: 収益事業等から生じた利益のうち公益目的事業財産に繰り入れた額
 別表A(3)の10欄の合計額を記入します。すなわち、50%繰入の場合は50%に相当する金額となり(別表A(3)の(1)の10欄の合計欄の数値)、これを超えて繰り入れている場合は別表A(3)の(2)の10欄の合計欄の数値となります。
7欄: 社員が支払った経費の額(公益社団法人の場合のみ)
別表H(2)の「2.社員が支払った経費」(2)の囲み表合計欄の数値と、(3)の囲み表の「うち、公益目的事業のために使用する金額」の合計欄の数値を合算した数値を記入します。
8欄: 公益目的保有財産の運用益等
別表H(2)の「3.公益目的保有財産の運用益等」の囲み表合計欄の数値を転記します。
9欄: 公益目的事業に係る引当金の取崩額
公益目的事業に係る引当金を該当事業年度において取り崩していればその数値を記入します。
10欄: 公益目的保有財産に係る調整額
前期末に比較し公益目的保有財産が減っている場合は(22欄-21欄>0の場合)、その数値を記入します。増えている場合は(22欄-21欄<0の場合)、0(ゼロ)と記入します。
11欄: 合併により承継した他の公益法人の公益目的取得財産残額
該当事業年度に他の公益法人と合併した場合ですから、通常は記入不要です。
12欄: 認定等の日前に取得した不可欠特定財産の帳簿価額の増加額
認定の日(移行公益法人の場合は移行登記日)以前に取得した不可欠特定財産の改良によって帳簿価額が増加している場合にその増加額を記入します。歴史的建造物などではあり得るかもしれません。
13欄: 3欄~12欄の他、定款等の定めにより公益目的事業財産となった額
ここに記入すべき数字については色々議論があるところですが、現在内閣府公益認定委員会事務局は次の三つの場合、13欄に記入するよう指導しています。
① 公益認定法第18条第7号により、「公益認定を受けた日(移行公益法人は移行登記日)の前に取得した財産であって同日以降に公益目的事業の用に供するものであることを表示した財産」
このような財産に該当するものとしては、移行登記日前に取得していた財産であって、公益目的事業以外の目的のために使用していた財産(例えば、2号財産としていた建物)を移行登記日以降のいずれかの時点で公益目的保有財産(例えば、福祉施設)とした財産が考えられます。
② 公益認定法施行規則第26条第7号により「同条第1号から第5号まで及び公益認定法第18条第1号から第4号までに掲げる財産以外の財産を支出することにより取得した財産であって、同日以後に前条の規定により表示したもの」
このような財産としては、公益目的事業財産でない財産(収益事業等財産や法人会計財産)を公益目的保有財産とする場合が考えられます。
③ 公益認定法施行規則第26条第8号により「認定法第18条各号及び前各号に掲げるものの外、当該法人の定款又は社員総会若しくは評議員会において、公益目的事業のために使用し、又は処分する旨を定めた額に相当する財産」
このような財産としては、公益目的事業財産でない財産(収益事業等財産や法人会計財産)を、定款を変更することにより又は社員総会(評議員会)の決議により公益目的保有財産としての基本財産に振り替える場合が考えられます。
③については『定期提出書類の手引き』では説明されていませんが、内閣府公益認定委員会事務局では、これも含め記入するよう指導しています。
以上の3欄~13欄を合計した数字を、公益目的増減差額に加算されるものとして14欄に記入します。


5) 次に15欄~20欄を記入します。15欄~20欄は、公益目的増減差額から減算される金額(公益目的事業費等)を埋めていくものです。
15欄: 公益目的事業費の額(財産の評価損等の調整後の額)
同じ定期提出書類(事業年度終了後)の別表C(1)の17欄+18欄-22欄を転記します。
これは、正味財産増減計算書における公益目的事業に係る事業費の額に商品等譲渡にかかわる原価相当額(事業費として計上していない場合に限る。)を加算し、財産の譲渡損、評価損、運用損の金額を控除した額を意味します。
16欄: 15欄の他、公益目的保有財産に生じた費用及び損失の額
別表H(2) の「3.公益目的保有財産に生じた費用及び損失」の囲み表合計欄の数値を転記します。
17欄: 15欄、16欄の他、公益目的事業の実施に伴って生じた経常外費用の額賠償金など公益目的事業の実施に伴って生じた経常外費用であって、15欄~16欄に算入されていないものがある場合に、その数値を記入します。
18欄: 13欄~17欄の他、他の公益法人の公益目的事業のために寄附した財産の価額
別表H(2)の「他の公益法人の公益目的事業のために寄附した財産」の囲み表合計数値を転記します。
19欄: 公益目的保有財産に係る調整額
前期末に比較し公益目的保有財産が増えている場合は(21欄-22欄>0の場合)、その数値を記入します。減っている場合は(21欄-22欄<0の場合)0(ゼロ)と記入します。
以上の15欄~19欄を合計した数字を、公益目的増減差額から減算されるものとして20欄に記入します。

6) 最後に1欄と24欄を記入し作業が終了します。
 5)までの作業から、当該事業年度末日における公益目的増減差額として2欄+14欄-20欄の数値を1欄に記入します。この1欄の数値と21欄(当該事業年度末公益目的保有財産の帳簿価額の合計額)を合計した数値を24欄に記入します。この数値が、当該事業年度末日における公益目的取得財産残額ということになります。
  
 以上ここまで来るのに長い道のりでかつ複雑な計算をしてきたような感じがされるかもしれませんが、一定のルールがありこれを理解した上で、順序だてて計算すれば決して難しいものではありません。


 ※ pdfはこちらです。 「別表H 作成の解説」

by 公益法人協会  

19 移行期間満了後認定または認可をしない処分通知を受けた場合の取り扱いについて

認定申請のポイントシリーズ第19回

 移行期間満了まで2年余に迫ってきました。80%前後の特例民法法人がこれから移行申請されるという状況ですが、移行期間満了後に不認定又は不認可処分が下りた場合の取り扱いについてのご質問が最近多くなってきました。
 今回はこの問題を整理して解説するものです。

1 移行期間満了による解散について
 移行期間内に認定または認可を受けなかった特例民法法人は移行期間満了日(平成25年11月30日)に解散したものとみなされます(整備法46条①本文)。
ただし、移行期間満了の日までに処分がされていない移行申請法人であるときは、この限りではないと規定されています(整備法46条①但し書)。
この規定は不認定・不認可処分の日まで解散させる日を延期するとの趣旨と解されます。

2 不認定処分の場合
 移行期間満了日後に不認定処分の通知を受けた認定申請法人は、不認定通知を受けた日に解散したものとみなされる(整備法110①)ことが原則ですが、認定申請法人は移行期間満了日後において処分がされていないときに限り一般法人移行認可申請をすることができます(整備法116①)。
 つまり、認定申請法人は移行期間満了後まだ結論が出ていない場合は、すぐに一般法人移行申請することにより、仮に不認定になっても移行認可申請が有効ですから、改めて一般法人としての認可の可否が審査されることとなります。また、幸い後日認定が得られた場合は、移行認可申請は取り下げられたものとみなされます(整備法116②)。
 不認定となる可能性が高い場合は、事前に一般法人移行申請書を準備し、平成25年12月1日以降できるだけ早く(不認定処分通知が出る前に)認可申請を提出する必要があります。

3 不認可処分の場合
 認可申請法人は不認可処分を受けた後でなければ移行認定申請をすることができません(整備法99条②)。この規定により移行期間満了日以前ならば、不認可となった特例民法法人は移行認定申請をすることができます。
 しかし、移行期間満了日以降については、認定申請法人にかかわる特例措置類似の規定がありません。すなわち、移行期間満了後認可処分が出されていない場合、移行認定申請を並行的に提出できるような規定はありません。これはおそらく、移行期間満了前なら公益目的事業、機関、財務基準を再設計して移行認定申請に挑戦する機会を与える意義は認められるものの、移行期間満了後では移行認定申請を認め、特例措置として救済する必要性が最早ないとの考えによると思われます。 
 したがって、移行期間満了日の近くに認可申請する法人にとっては、最悪不認可即みなし解散というリスクがあることを念頭に入れ、少なくとも処分までの標準処理期間(4ヵ月)以前に、できれば申請後の補正作業なども勘案し、さらに数ヶ月の余裕期間を持って申請されるようお勧めします。

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18 収益事業等利益の公益目的事業への繰り入れについて

認定申請のポイントシリーズ第18回

 ご承知のように、収益事業等(「収益事業」及び「その他の事業」の総称)の利益については、その50%を公益目的事業に繰入れなければなりません(認定法第18条第四号、同規則第24条)。また、一定の計算方法(ガイドラインⅠ-5(3))による「収入-費用」がマイナスの場合、その額を収益事業等の利益の50%を超えて繰入れることができます。
 そこで、疑問が生ずるのは「収益事業」及び「その他の事業」それぞれに利益が生じている場合、その繰入れ計算はどのように行うのかという点です。本ブログのQ&Aでも質問があり,内閣府に確認した計算方法を解説します。

1 50%を繰り入れる場合
(事例)

公益目的事業収益事業その他事業収益事業等合計
収入800300100400
費用80024060300
損益06040100*

認定法18条4号では、「収益事業“等”」(=収益事業+その他の事業)の収益の50%を公益目的事業財産とすることを求めているので、「収益事業」のみならず「その他の事業」の収益も公益目的事業会計に繰り入れる必要があります
従ってこの場合は、「収益事業」の利益の50%(30)及び「その他の事業」の利益の50%(20)、合計50を繰入れるということになります。
*管理費のうち、収益事業等に按分される額を控除した額

2 50%超を繰入れる場合
(事例)

公益目的事業収益事業その他事業収益事業等合計
収入800300100400
費用86024060300
損益-606040100*

この場合も、まず「収益事業」の50%(30)及び「その他の事業」の50%(20)、合計50を繰入れますが、残りの10を繰入れるあるいは繰入れないは、法人の任意です(認定法規則第26条第七号又は第八号)。残り10を繰入れる場合でも、「収益事業」と「その他の事業」からいくらずつ持ってくるかについては、認定法上も税法上も制約はありません。たとえば収益事業から10を繰入れる(合計40=30+10)、その他事業から10を繰入れる(合計30=20+10)、あるいは収益事業から6繰入れ (合計36=30+6)、その他の事業から4繰入れる(合計24=20+4)など法人が自由に選択できます。
*管理費のうち、収益事業等に按分される額を控除した額

by 公益法人協会