(A-8)基本財産について
3月19日付日記で公法協の申請書類に関する修正事項をまとめてご報告しましたが、移行を検討中の皆様にとって一番関心のあるそして重要な点は基本財産の考え方とその財産目録の表示並びにその後の基本財産変動への対応であろうかと思います。
以下当協会の考え方をご説明します。
1 基本財産の性格と区分
一般法人法により、財団法人の財産のうち「目的である事業を行うために不可欠なものとして定款で定めた基本財産」があるときは定款で定めるところにより維持・処分しなければならないことが規定されています(一般法人法第172条第2項)。
他方、財団法人における基本財産という概念・用語は、長らく実務上の慣行として用いられてきており、設立時において法人格が与えられる基礎となる財産の集合体のみならず、設立後寄附者が基本財産として指定した財産や理事会において法人自らの判断で繰り入れを決議した財産も基本財産としてきた実態があります。また、社団法人の一部においてすら定款上基本財産を規定する法人もあります。
当協会としては、このような長年の実態を勘案して基本財産という概念・用語は一般法人法第172条第2項の基本財産だけでなく、社団法人を含め法人の自主的判断により自由に、より幅広く取り扱うことのできるよう定款で定義することが法令上充分可能と考えているところです。
たとえば、一般法人法第172条第2項に該当する基本財産の取り崩しは特別決議、理事会で任意に基本財産としたものの取り崩しは一般決議による、あるいは資金運用面においても前者は預貯金・国債など元本回収確実なものに限り、後者は一定のリスクも許容する運用を認めるなどの取り扱い上の差異を、法人の自治により設けることが可能となるよう設計したわけです。
ところが、この考え方については公益認定等委員会事務局内部において疑問を呈する意見もあり、最終的に当公益法人協会の定款としては「基本財産は、この法人の目的である事業を行うために不可欠なものとして理事会が定めたものとする」(第9条第2項)と規定するにとどめました。また、財産目録にもこれを記載する必要はないという判断から、末尾財産目録への移行時における基本財産を掲載しないこととしました。
基本財産については、新しい公益法人会計基準やFAQなどでの説明が必ずしも十分でなかったこともあり、当初の公法協と同じ考え方によりすでに申請提出された方には、同様の問題提起が行政庁サイドから提起される可能性があります。説明を聞かれた上で修正するかどうかご判断ください。また、近々申請を提出される法人はとりあえず公法協の修正後の条文をご参考に作成されることが無難と考えます。
2 基本財産の管理処分について
基本財産に関する公法協修正後の定款規定に基づく、その後の基本財産の管理処分についての実務上の取り扱い指針は現時点で必ずしも明確ではありませんが、公法協としては次のようになると考えています。ただ、この取り扱いについても今後認定委事務局と詰めることが必要と考えています。
1)運用対象が変わった場合
現在定期預金としていますが、たとえば将来債券・株式に運用替えをする場合は、資金運用規程の手続きにより行います。基本財産の処分にはもちろん該当しないと考えています。また、そもそも定款末尾で基本財産を記載していないので、定款の変更にも該当しないため、その観点からの評議員会の決議は不要です。あくまでも資金運用規程の守備範囲の問題と考えます。
なお、期末作成の貸借対照表・財産目録上では基本財産であることをもちろん表示します。
2)基本財産を取り崩す場合
将来基本財産を取り崩して費消する必要性が生じたときは、定款の規定にもよりますが公法協の場合「重要な財産の処分」を評議員会決議事項としていますので、これに該当するものとして評議員会の決議事項となると考えています。なお、定款の変更の案にこのような規定が入っていない場合には、この趣旨を入れることもご検討ください。
なお、投資有価証券の時価評価による簿価引き下げはこの取り崩しには該当しないと考えられますが、実減損あるいは減損処理に基づく簿価引き下げは、他の財産をもって補填しない場合、評議員会の決議事項となるかどうかという問題があります。
このあたりの取り扱いについては、公益認定等委員会の見解も徴しつつ、団体自治の問題として今後公法協内部で検討したいと考えています。
3)基本財産を追加する場合
理事会で決議します(定款規定により評議員会の決議は不要としました)。
3 基本財産と遊休財産との関係
一部の専門家の中には、基本財産をイコール遊休財産の控除対象財産であると考え、認定法第172条第2項の基本財産以外の基本財産を認めると、遊休財産の隠れ蓑として濫用されるおそれがあるとする向きもあるようですが、これは従来の内部留保算出の考えかに影響を受けたものと考えられ誤解です。
遊休財産は公益目的保有財産(遊休財産控除対象財産第1号)はじめ6種類が法定されており、基本財産であるから遊休財産から控除するという法の仕組みにはなっていません。 基本財産があるかどうかはもちろん法人の自主的判断で決められますが、認定申請時又はその後に基本財産としても、その財産が上記6種類の財産に該当するかどうかは別問題で、該当しないと判断される場合は、遊休財産から控除されませんので注意を要します。






