(A-6)財産関係

 従来基本財産という法的概念はなく、財団法人の慣行および会計基準を含む指導監督基準上の用語として用いられてきた。一般的には基本財産には、寄付者が元本消費に制約をつけた財産および法人が自ら基本財産として繰入れた財産の2種類があった。

 しかし、新制度では財団法人の場合、「目的事業を行うために不可欠なものとして定款で定めた基本財産」についてこれを維持し、事業の妨げとなる処分をしてはならないと規定され、基本財産という用語が法律上明記された(以下これを基本財産1という)。また、公益認定法では公益目的事業に不可欠な特定財産があるときはその維持及び処分について定款で規定することを求めている。この財産についても基本財産1同様の性格を持つものであるから基本財産とするべきである(以下基本財産2という)。さらに、従来同様法人が任意に基本財産とするべく繰入れる財産も基本財産とすることができる(以下基本財産3という)。なお、社団法人の場合基本財産1はない。また基本財産2はガイドラインで代替不可能な美術品や歴史的建造物に限られるとしているため、通常の公益法人では稀にしか存在しないであろう。

 公益法人協会では、以上のような当協会発表のモデル定款三訂版の整理にしたがって「定款の変更の案」を作成したが、基本財産2はもちろん保有していない。基本財産1としては、平成20年3月末現在基本財産として所有している金融資産(2,505万円)を充てた。基本財産3は認定申請時には特にこれに該当するものはないが、将来の繰入れに備えて規定した。したがって、「定款の変更の案」末尾には、前記金融資産のみを当初の基本財産として記載した。

 要はいずれの財産を基本財産とするかは基本的に法人の判断に委ねられているが、「定款の変更の案」末尾には基本財産1、基本財産2ならびに基本財産3それぞれについて、認定申請時に基本財産とするものについては記載しなければならない。

 なお、従来公益目的事業会計、収益事業会計、法人会計の区別がなかったため、基本財産運用収益は法人運営全般に使用できるわけであるが、新制度ではそれぞれどの会計区分に属するのか明確にしておく必要があることに留意していただきたい。(公益目的事業のための基本財産は公益目的事業のためにのみ使用し、法人会計に使用してはならないので、管理費を金融資産の収益で賄っている法人は、法人会計に使用する目的の基本財産を設けることが必要となる。この場合遊休財産から控除される。)

 なお、この解説でお分かりにならないことがあれば、下のコメント欄より質問願います。順次お答えいたします。

コメント
  1. はじめまして。いつも参考にさせていただいております。
    ありがとうございます。

    初めて投稿させていただきます。事業費と管理費の区分について質問いたします。既に同様の質問が何度も寄せられているかも知れませんが、今一度ご教示いただければと存じます。

    私どもの財団は、創立時に出資された基本財産の利息収入のみで事業運営しています。収益事業は行っていません。
    この利息収入は、新制度下では基本的に公益目的事業財産という整理になるかと思いますが、一部を管理費に充てることはできるのでしょうか。それとも、全て事業費にしかならないのでしょうか。

    もし、この利息収入が事業費としてしか認められないというのであれば、他に収入源がない異常、管理費の拠出が不可能になってしまうと思うのですが…。解決策はございますでしょうか。

    基本的な理解が不足しており、申し訳ありません。
    よろしくご教示いただきますようお願いいたします。

    by おにぎり  2009年04月23日 20:23
  2. 直前の私の投稿で、「他に収入源がない異常」と書いてしまいましたが、正しくは「他に収入源がない以上」です。

    大変失礼いたしました。

    by おにぎり  2009年04月23日 20:28
  3. おにぎり さん、

    現在の基本財産を、新制度下においてすべて公益目的保有財産と区分すると、その果実は全て公益目的事業に使用せざるを得ません。
    全てを公益目的保有財産とせず、一部を業務用財産(公益認定法規則22条3項二号に該当する財産)と区分すればその果実は管理費に充当できます。
    したがって貴法人のように金融資産の果実が全ての収入というような場合は、今までの基本財産を二つに分けて、管理するということが必要になります。その場合管理費相当額を生み出す元本を計算する際、将来の金利・配当の変動に備えて、多めに業務用財産とされることが必要になります。
    なお、このあたりの考え方についてはFAQⅥ-3-①の2-(3)-②に説明されています。ご参照ください。

    by 太田達男  2009年04月24日 07:49
  4. 公益目的事業しか行わない法人の場合に、法人会計の管理費に対応する収入として、公益目的事業の対価収入の5%程度を考えています。この場合に、貴財団の「モデル定款(財団法人用)」第9条第5項のように、定款にそのことを具体的に記載しなければいけないのでしょうか。できれば、理事会で決定する予定の財産運用管理規程などへの記載に留めたいのですが。

    by 情報消化不良の職員  2009年04月24日 14:19
  5. 早速のご回答ありがとうございました。

    基本財産の分け方について、じっくり検討しようと思います。

    by おにぎり  2009年04月27日 21:01
  6. 情報消化不良の職員さんへ

    4への質問にお答えします。

    1 復習になりますが、公益法人の行う公益目的事業については、収支相償の原則があり、仮に余剰が生じても、それは公益目的事業に使用・処分しなければなりません(認定法第14条、同第18条)。しかしこれでは公益目的事業のみを行う公益法人においては、一般管理費が捻出できないことになります。そこでそのような法人については、公益目的事業に関して得た財産から管理業務に充てるものは、合理的な範囲で公益目的事業財産に組み入れないことが認められます(ガイドラインⅠの17、FAQⅥー1-③)。たとえば寄付金や補助金(認定法第18条第1号、第2号)や公益目的事業の対価収入(同法同条第3号)は、必要な範囲で管理費に割り振ることが可能です。

    2 ただし、寄付金や補助金は、寄附者等からの指定並びにその割合等の明示が必要とされるため(ガイドラインⅠの17)、「モデル定款(財団法人用)」第9条第5項では、ご指摘のように、割合を具体的に規定しています。
     しかし、お問い合わせの公益目的事業の対価収入については、合理的な範囲で公益目的事業財産に組み入れないことが認められる(逆に言えば必要な範囲で管理費に割り振ることが可能とされる)としているだけで、その割合等を規定することは要請されていません。したがってお問い合わせへの回答としては、定款にそのことを具体的に記載することは不要ということになります。
     これからは私見ですが、「公益目的事業の対価収入の5%」と具体的に規定しても、それは「合理的な範囲」であることを保証しませんし、規定しなくとも実際の管理費への割り振りが、「合理的な範囲」であれば、それは許容されるということになろうかと思います。

    3 もし規定するとしたら、「合理的な範囲で管理費に割り振る」と規定することになるかと思いますが、それを規定しても実際の割り振りの合理性を担保はしませんし、具体的数値がなければ、実務指針としても意味が無いと考えます。
     ただし、公益法人会計基準の運用指針13様式2-3では、公益目的事業の対価収入の一部を合理的な範囲で管理費に充てる場合の経理方法は、法人会計の経常収益に直接計上しとされていますので、規定するとすれば、経理規程等において、具体的基準を規定することになるかと思います。その場合もその基準が、「合理的な範囲」である保証はありませんので、実績をみながらその基準は改定していくことになろうかと考えます。

    4 なお、公益目的事業しか行わない法人でも、運用財産は保有していると思いますが、その運用収益を管理費に充てることは、当然のことながら可能です。この場合、運用財産が金融財産であれば、その元本を基本財産または特定資産として、分離して計上することが必要です(ガイドラインⅠの8の(2))。
     したがって、ご質問の財産の運用管理規程で規定するという考えは、このような財産を保有している場合は、有効と思われます。ただし、この運用財産を基本財産または特定資産として分離して計上することは、財産の運用管理規程が無くとも可能ですし、分離計上も、「合理的な範囲」という限定が付いていることに留意する必要があります。

           鈴木勝治

    by 鈴木勝治  2009年04月27日 22:39