渋沢栄一は、論語を基軸とした思想で会社経営を行い、近代日本経済の基礎を築いた実業家として知られておりますが、東京養育院などの社会福祉事業や商業教育を行う大学、女子大学の運営など教育事業にも多く関わっております。また、諸外国との民間外交を通じて平和な国際社会の構築を目指すことなどにも力を注ぎました。

当財団では、こうした渋沢栄一の活動や思いを伝えることに加え、現在にも通じるその思想を広め、さらに深化させて将来の経済、社会に役立つような提案を発信してゆく取り組みを進めております。

渋沢史料館では、常設展示に加え年2回の企画展を開催し、渋沢栄一と各種事業、会社、業界などとのより具体的な関わりを紹介しております。ここ数年は、「企業の原点を探る」というシリーズ展示で倉庫業、製紙業、ホテル業、紡績業、銀行業、商工会議所などを取り上げました。今後、常設展示のリニューアルも予定しており、より充実した展示内容の構築を目指しております。

一方で、渋沢栄一の事績や人物像をより調べやすくするため、ホームページをはじめとするデジタル情報の提供などにも力を入れております。渋沢の関わった企業、業界をわかりやすくまとめた「企業変遷図」や、日本各地の会社の運営や地域産業の育成などに関わった渋沢の足跡をたどることが出来る「渋沢栄一ゆかりの地」などを掲載。さらに、渋沢栄一を知る上で最も重要な資料である『渋沢栄一伝記資料』(別巻含め全68巻)の全文デジタル化と公開に向けて作業進めております。著作権確認や公開システムの構築などに多くの人員や技術が必要となりますが、着実に行ってまいります。

また、史料館の企画展に関連したシンポジウムの開催や、渋沢栄一の思想を学ぶとともに論語の思想を現代の経営に生かしている経営者の体験に触れる「論語とそろばん」セミナー、渋沢の著書『論語と算盤』を読みその意義を語り合う『論語と算盤』読書会などを行い、渋沢の思想、活動の普及を図っております。

 

このほか、渋沢史料館の建つ東京都北区・飛鳥山は、かつて渋沢栄一の住まいがあった地で、その一部が現在も旧渋沢庭園(北区管理)として設定されております。その中に、渋沢が使っていた大正期の建築物である洋風茶室の「晩香廬(ばんこうろ)」、個人用の書庫としてつくられた「青淵文庫(せいえんぶんこ)」が現存しており、いずれも国指定の重要文化財となっております。当時の雰囲気を感じられる2棟は、史料館開館日に内部公開をしております。時代を経ているため補修作業が必要不可欠となっておりコスト負担も増加しておりますが、渋沢が生きた時代を感じていただくため、状態維持と使用環境の改善に努めてまいりたいと考えております。

晩香廬

(晩香廬(ばんこうろ))

青淵文庫

(青淵文庫(せいえんぶんこ))

 

皆様のお力添えにより、財団の運営する渋沢史料館の展示活動はもちろん、各種講演会やシンポジウム、セミナー、研究者とのネットワーク構築などを通じ、渋沢栄一の思想や事績を広めると共に、貴重な文化財の保存に努めていきたいと思います。

今後とも、ご指導、ご協力をいただけましたら幸甚に存じます。

 

渋沢栄一記念財団は、渋沢栄一が常に主張し、実践していた「道徳経済合一主義」に基づき、経済道義を高揚することを目的とする公益財団法人です。

URL:http://www.shibusawa.or.jp