財団法人の設立に当ってまとまった基本財産を寄付することを「出捐(しゅつえん)」といいます。その寄付は直接すぐにはお役にたてませんが、長年にわたってその財団を支えます。特に資金的な支援を行う助成財団の場合、その基本財産からの果実が助成という形の寄付の原資になりますから、一時的な出捐が長期にわたる継続的な寄付に変換するわけです。しかし現在のように低金利の時代には、出捐財産の果実だけでは十分な助成活動はできません。そこで多くの助成財団は、自ら寄付を集める努力を行っています。いわば助成財団は、こうした寄付者と助成を受ける受益者の中間媒体とも言えるのです。

では日本にはいくつの助成財団があるでしょうか。私たちの助成財団センターでは、助成・奨学・表彰を行う財団をすべて助成財団と位置付けて調査を行っていますが、その数は約3,000とカウントしています。そのうち資産総額が判明している約1,800財団の財産は6兆9千億円になります。これはいわば、寄付の累積です。さらにそのうち助成・奨学・表彰に用いている費用は、約1,600億円になります(いずれも2012年度の値)。

これらが、さまざまな独自の価値観によって地道に継続的に活躍することで、海のものとも山のものとも分からない冒険的な挑戦に投資し、社会に無数のインセンティブを与え続けることができるのです。いわば社会を刺激し続けているのです。そのことを通して、長期的な社会変革を目指します。直ぐ目に見えるような成果や変化は多くないかもしれませんが、ここに助成財団という寄付の媒体の本当の存在意義があるのです。

私たちの助成財団センターは、そのような助成活動が日本でもっともっと盛んになることを願って、今から丁度30年前に設立されました。設立に当っては多くの助成財団から助成を頂き、財団法人化にあたっては多くの企業から寄付を頂きました。その後の運営は、会員財団からの会費という、これも一種の継続的な寄付によって支えられています。

そのような私たちのセンターを支えてくださった寄付者や会員財団の皆さんに、まず感謝申し上げたいと思います。そしてそれ以上に、これまで助成財団に出捐してそのスタートを切ってくださったすべての個人やご家族や企業等の皆さんに、心から「ありがとう」と申し上げたいと思います。長い歴史の中で既にお亡くなりになった関係者も多いことでしょうが、それらの方々の志しの累積が現在の日本の助成財団の世界を形作っていることを考えると、感謝の念でいっぱいです。そして今なお、多くの寄付者がその助成活動を一層豊かなものにしてくださっていることは、何と喜ばしいことではないでしょうか。

これからも、多くの方々が出捐という寄付を通じて新たな助成財団を創設されることを願っています。そしてその思いに共感する多くの寄付者が、継続してその活動を支え育てていかれることを、願って止みません。

 

公益財団法人助成財団センター理事長 山岡義典