戦後から10年足らずの1953 年、一人の町医者が「目黒寄生虫館」という小さな博物館を建てました。“寄生虫の研究活動を行う傍ら、展示室を広く一般に公開する”そんな機関は世界を見ても類をみません。創設者の亀谷了(1909-2002)は戦時中、満州の衛生研究所で大陸に蔓延していた寄生虫症を研究していました。終戦をむかえて帰国後、目黒に内科の診療所を構えた亀谷の目に映ったのは寄生虫症に悩まされる人々や家畜たちでした。そのことが、研究活動はもちろん、その成果の紹介と知識の啓蒙に努めるという博物館の創設に至ったのです。その後、私財を投入して財団法人を設立しました。しかも「啓蒙活動に金銭はとれない」という強い思いから、入館料はあくまで無料に。いつでも気軽に入れて、寄生虫学の学習ができる場所であってほしかったのだといいます。一方で、学術面では著名な研究者の先生方によるサポートを受けながら、標本や図書などの寄贈によって資料の拡充を図ってきました。

1993 年の改築で容積規模は旧館の3倍に充実し、展示も一新されました。メディアにも頻繁に取り上げられるようになり、寄生虫学に馴染みのなかった一般の方々にも名前が知られるようになりました。しかし、時を同じくしてバブル経済が崩壊。収入源の大半を占めるはずの運用益は大きく落ち込み、博物館の存続が危ぶまれる事態となったのです。それからは館内に募金箱を設置するとともに、「入館無料(ご寄付にご協力ください)」と記載するようになりました。

それから約20年が経ちます。財政的に厳しい局面もたびたびありましたが、皆様からのご支援も手伝って運営が続けられています。その間にも学問は常に進歩を遂げ、展示解説も新しい情報が求められます。また、館内の経年劣化が進めば修理や交換が必要になるでしょう。見学者の方にご満足いただけるためにも展示設備の更新は欠かせません。基本財産の運用益のみで支出の全額を賄うことができない昨今、皆様からのご寄付は運営の大きな一助となっているのです。

現在の入館者数は年間5万人を超え、ありがたいことに寄付金総額は年々増加の傾向にあります。平成26年度は収入額の約8.5%が寄付金収入でした。これらは主に寄生虫学の普及啓発事業(博物館活動ほか)に用いられ、常設展示の更新や特別展示の実施といった原資の一部となっています。最近では個人の方のブログやTwitterに「寄付してきました」「みんなも協力しよう!」などの報告や呼びかけを拝見することも多くなりました。皆様の気持ちが次の事業の発展につながり、次の来館者の方の満足へとつながる。そんな流れを感じずにはいられません。皆様の温かいご支援に感謝いたしますとともに、これからの博物館活動にも引き続きご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

寄生虫① 寄生虫②

(展示室1階「寄生虫の多様性」)                    (展示室2階「人体に関わる寄生虫」)

 

〒153-0064 東京都目黒区下目黒4‐1‐1

Tel: 03-3716-1264(音声案内)Fax:03-3716-2322

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開館時間 10:00~17:00

休館日  月曜日・火曜日(祝日の場合は開館し、翌平日に休館)/年末年始