1992年、米国ルイジアナ州に留学中だった服部剛丈(よしひろ)君は、ハロウィーンパーティーの訪問先を間違え、家主に射殺されました。ご両親の服部夫妻はその悲しみの中から銃規制に立ちあがり、また、「息子を射殺したアメリカを恨む中からは何も生まれない、むしろ銃のない日本の社会をアメリカの若者に見てほしい」という思いから、アメリカの高校生を日本に招く YOSHI基金を1993年6月に発足させました。

YOSHI基金は剛丈君の死亡保険金を原資として、個人や団体、多くの方々からの寄付金で運営されており、1994年から毎年1名の年間受入留学生に全額を支給しています。

1994年以来、YOSHI基金にご寄附を頂戴した方は285人・団体にのぼり、毎年、継続的にご支援いただいている方々も少なくありません。

 

YOSHI基金の理念は、日本での留学生活を送る奨学生に新たな視点として伝わっています。

AFS

(服部君のご両親の政一さん・美恵子さんが、事件から20年を経た2012年現地の教会で祈念式典を行いました。この訪米の報告会として「服部君事件から20年-銃社会アメリカのいま」が開催されました。)

 

2010年の奨学生、マックスさんは、「日本に来てみて、アメリカの社会をよくするヒントが日本の社会にあると思いました。日本にはお互いを思いやり、和を大切にする文化があります。それに人への信頼感も失われていません。階級の差もアメリカほどではありません。何よりもすばらしいのは、銃がなければ自分を守れないと誰一人考えていないことです」と語ってくれました。

また、事件から20年の節目にあたる2012年に来日したバルナジーさんは、「アメリカの高校で日本語コースを選択して以来、日本に来ることを夢見ていました。今回、留学奨学金情報を集める中で服部君に起きた悲劇について知りましたが、ご両親の銃規制運動には胸を打たれました。実は私のクラスメイトも銃撃を受けて亡くなりました。銃を簡単に入手できる状況がこの事件を引き起こしたのです。アメリカが平和な社会になるために、銃規制が推進されることを願っています。YOSHI基金はそれを実現するための重要な一歩なのです」と述べています。

 

戦争のない平和な世界の実現をめざし、1947年以来国際交流団体として活動しているAFS日本協会にとってYOSHI基金は象徴的な奨学金でもあると言えます。この事件の記憶が風化することなく、米国と日本の人々が文化の違いを乗り越え理解を深めることができれば、AFS日本協会はこの上ない喜びと存じます。そして、先日おきたパリやベイルートでの悲劇を悼むとともに、多様性に満ちた世界において平和と相互理解の推進のため行動する責任ある地球市民を育てることは、AFS日本協会の使命と考えています。YOSHI基金をはじめこうした趣旨にご賛同をいただいている方々から温かいご支援を賜りますこと、心から感謝を申し上げます。

 

公益財団法人AFS日本協会は、戦争のない平和な世界の実現を目指し、1947年以来、非営利のボランティアからなる国際教育交流団体です。日本の高校生を海外に派遣する「派遣事業」(2014年実績503名)と、海外の高校生を日本に受け入れる「受入事業」(2014年実績406名)を事業の2本柱とし、公正で平和な世界の実現に必要な知識・能力・理解力育成のための異文化体験の場を提供しています。日本全国79の支部で、学生や社会人をあわせて4500人以上(登録ベース)のボランティアが、留学生の受け入れ、派遣、各種交流活動を行っています。