1 さわやか福祉財団では、その運営自体が多くの個人や企業等からの志ある寄付が支えとなっている。これについては、日頃から月刊情報誌(「さぁ、言おう」)やホームページ等で紹介し、活動報告と併せてフィードバックさせていただいているが、寄付者の方々へはこの機会に改めて心から感謝申し上げたい。それに加えて東日本大震災の際には、被災地支援のため、日頃はご縁の無かった方や企業などからも多額のご寄付(義援金)をいただいた。今回はその義援金を中心に、それが当財団の被災地支援の活動の中で、どのように被災地の復興に活かされたかについて触れてみたい。

 

2 当財団では、「3・11」以降、岩手県、宮城県、茨城県などの沿岸被災地9か所に焦点を絞って、復興支援に入った。地区は、財団スタッフと、全国のさわやかインストラクターのうちの有志で分担した。その体制は現在も7か所で継続しており、テーマは、被災直後の緊急対応的な支援から復興まちづくりへと、重点が変化してきている。支援方法としては、かなり早期から、地元住民組織の立ち上げと、その自立的な活動を促すことに力点を置いてきた。

 

3 そのような中で、ご寄付の使い道は、大きく二つに分けられる。

一つは、見えるもの・・岩手県大槌町、宮城県山元町には、復興まちづくりに動き始めた住民組織の拠点として、ささやかながら拠点となる建物(プレハブ小屋)を提供した。宮城県塩釜市では、松島湾内の離島と陸地をつなぐ船。小さな船だが、夜間や緊急時、本土との行き来に欠かせないもので、利用者である島民が自主運営する仕組みだ。

もう一つは、見えないもの・・担当スタッフや、全国各地のインストラクター有志が被災地へ赴き、現地の方々と復興まちづくりの話し合いなどを行うための旅費、宿泊費やフォーラムなどの開催費用等。原則ボランティア参加なので、人件費は含まれない。

さわやか②大槌

(岩手県大槌町 義援金により住民組織「新生おおつち」事務所を開設)

 

4 使途の特徴は、「見えるもの」「見えないもの」のどちらも、現地の方たちのこれからの自立に役立つものであることだ。だから、「見えるもの」はごくささやかで、自立に役立つツールに限定している。「見えないもの」の中には、復興応援地域通貨のための仕組みづくりなどもある。仮設住宅での住まいで、お互いさまの助け合いが進むように、また、被災した商店街の復興に役立つように、「ご当地独自の地域通貨を地域の皆さんで作ってみませんか。その必要原資は地域通貨限定のご寄付で応援しましょう」ということで、これも自立支援の仕組みである。

 

5 これら、ご寄付による支援の結果、被災地の現状はどうか。

支援したそれぞれの地域で、地域に根ざした住民組織が動き出している。

大船渡市の例を挙げよう。被災後2年目に誕生した住民組織「大船渡共生まちづくりの会」が、平成26年10月にはNPO法人となり、市と協働して新地域支援事業の普及に一役買うまでになった。ハードの復興に手一杯であった行政もソフトに目を向けはじめた。大船渡市は、「地域包括ケアのあるまち」への復興を旗印とし、平成27年4月には、市長をトップとする地域包括ケア推進本部を立ち上げた。いま、新地域支援事業の面でも大船渡市は、官民両面から、全国でも先駆的な取り組みを進めている。

これらが実現しているのも、貴重なご寄付(義援金等)のおかげである。

さわやか①大船渡

(岩手県大船渡市 市民を対象にさわやか福祉財団インストラクターが助け合いの講演を開催)

 

6 まとめ

「寄付の行き先が見えない」という声をよく耳にする。とりわけ、使途の見えにくい使い方には、寄付者への丁寧な結果報告が求められる。自戒と共に、寄付月間が、このような課題解決の機会ともなるよう期待したい。

丹 直秀