冲中記念成人病研究所は、昭和48年5月に財団法人として設立、平成23年4月に内閣府より公益財団法人の認定を得て、研究・助成等の公益事業を展開しております。

 

さて、健康管理上問題となる疾患の傾向は、生活環境の変化・不規則な食生活・多様化するストレス等により大きく変化しております。特に肥満・高血圧・動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病・悪性腫瘍をはじめとするいわゆる成人病は増加の一途をたどっております。

これら疾患の多くは、その本体が人間の生命現象の基本と深くかかわっており、単なる公衆衛生上の対策、環境因子の改善のみでは解決できず、幅広い臨床的・基礎的研究によって解明されるものと考えられております。

従って、成人病の研究は、臨床の場である病院あるいは病院と一体不離の関係にある研究施設において、はじめて実現できるもので、研究部門が確立され、かつ資金・設備等の環境が整っている大学病院・国立病院・国立研究所等に委ねられておりました。

一方、民間病院は“ 診察・治療を行うところ”との基本的考え方、また“ 研究への投資に対する資金負担 ”等問題も多く、研究を行うには極めて困難な環境でした。

そのような環境の中で昭和38年6月、虎の門病院院長に就任した冲中 重雄先生は「患者を診療している中で、今までにない症例にぶつかり疑問が出てくる。そこから研究テーマが生まれ、研究を掘り下げてゆくことが医学の進歩につながり、良い診療の足場ができてゆく」との信念に基づき、昭和48年5月病院長退任と同時に研究所を設立し十年越しの構想が実現いたしました。

 

現在、研究所の事業は大別して二つあります。

その一つは研究事業で、所属する研究員70名がそれぞれの専門分野において臨床的、基礎的研究を行い、昨年度は査読のある論文が44編専門書籍に掲載されました。

もう一つの助成事業では、成人病に関する研究を行っている研究者に対し、研究費を助成するもので、全国の研究者を対象に募集を行い、昨年度は34件 16百万円を助成いたしました。

その他に、患者さん向けの公開講座、研究者向け公開セミナーの開催、年報等の発刊を行っております。

 

これら事業資金150百万円の内、約80%を寄付金で賄っており、研究所のこれまでの発展は、偏に皆様方の暖かい精神的、経済的なご支援によるものです。

皆様のご芳志に感謝するとともに、これからも優れた臨床施設である虎の門病院と連携を密にし、豊富な臨床医学の中で発生する学問的疑問を受けとめ追究・解明し、研究で得られたその成果を再び臨床の場へ還元することを目標に職員一同頑張って参る所存です。

 

改めて皆様方のご支援に感謝申しあげますとともに、今後とも一層のご支援とご鞭撻をお願い申しあげます。

冲中記念成人病研究所 金田 洋一

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