定足数を満たさない状態での理事会

定足数を満たさない状態での理事会

投稿記事by masaki » 2015年12月18日(金) 17:31

定款の、理事会の定足数については
 「理事会の決議は、決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。」
とだけ、書かれているとします。
 「過半数が出席しないと開会できない」(開会要件)
 「過半数の出席で成立する」(成立要件)
などは、一切記載されていないとします。

質問1
定足数に1人足りないけれど、1時間後に遅刻者が遅参する予定の場合、開会を開始し、決議案件を後回しにして、
職務執行の状況を報告したり、協議したりすることは問題ありませんか?

質問2
定足数がギリギリの状況で、1人が私用のため帰宅を余儀なくされたとします。その場合、その人を、
「出席したけれど、その後の決議は棄権した」として決議することは可能と思われますか?
masaki
 

Re: 定足数を満たさない状態での理事会

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2016年1月06日(水) 18:34

masakiさんへ

回答が遅くなりましたが、ご質問について、下記の通り私の考えを申し上げます。

1.質問1について
 ご質問の設定では、理事会の開会要件も成立要件も定款では規定されていないということですので、報告や協議することは問題ないようにみえます。
しかし報告事項についても、決議要件を満たすことが必要というのが会社法の通説的見解ですので(注1)、その説を一般法人法に適用すれば問題あり
ということになります。さらに協議ということが決議に近いものであるとすると決議の要件を満たしていないことから問題があると思います。

2.質問2について
 ご案内のように一般法人法は会社法と同様に議決要件のみを定めており、「理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(中略)が出席し、
その過半数(中略)をもって行う」(同法§95①)と規定されています。
 この場合、ある人が私用で理事会を離脱した場合は、理事の過半数が出席している状況にありませんので、議決要件を満たしておらず、決議することは
できないと考えられます。このことは一般法人法の基となっている会社法の通説的見解であり(注2)、最高裁の昭和41.8.26の判決では、「開会時から討議、
議決の全過程を通じて、定足数要件を充足しなければならない」とされています。学説では「定足数は、決議(議決)のときに満たす必要があり、
それで十分である。」と解する立場もありますが、いずれの説でも本質問の場合は決議は不可と考えられます。

(注1)落合誠一編「会社法コンメンタール8」 商事法務2009年刊 289~290頁
(注2)同上 289頁

以上
by鈴木 勝治
鈴木 勝治
 


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