by 公益法人協会 岡部 亮 » 2014年2月13日(木) 18:35
新米担当者 様
社員総会を招集するときは理事会で社員総会の招集の決定をしなければなりませんが(法人法38)、この決定項目の1つに「五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項」があります。この法務省令はお示しの法人法施行規則の第4条ですが、その第3号で役員等の選任が社員総会の目的であるときは「当該事項にかかる議案の概要(議案が確定していない場合にあっては、その旨)」とあり、この(議案が確定しない場合)とは理事会で議案を決めなかったときのことです。つまり議案を決めなくても法務省令違反にはならず、法人法第38条の手続きには反していないことになります。
従って、理事会開催時には、具体的な役員候補者が固まっておらず、目的事項として、「理事の選任」とだけ決定することは出来ますが、理事候補者については、「○月○日の役員候補者選出委員会で選出予定」等とは決議できないのではないかと思います。理事会として議案(候補者)を決定したいのであれば総会前に臨時理事会を開催して決定し、社員に通知することとなるでしょう。
なお、「議案の概要」とは役員選任の場合は候補者の氏名です。議案が確定していないときは、理事会原案無しで議案の提案を社員にまつことになり(法人法44)、この場合は定款で定める役員定数の上限までの候補者を提案できるでしよう。また書面又は電磁的方法による議決権行使は認めていないとのことなのでこの面の問題は出ませんが、議案がない議題については書面決議等はやりようがありません。
この議案の概要の決定が法務省規則で認められているのは理事会が原案を提案できることを定めているものであり、その権限の行使が義務付けられているわけではありません。
追って上記の解釈は現時点ではかなり踏み込んだものです。従って参考として聞き置くのであれば結構ですが、社員総会の開催手続きについて紛争が生じかねないような状況にあるときは、会社法に詳しい弁護士にご相談ください。