7回目は、法定代表理事と任意理事長の特異な関係について考えます。
公法協の代表理事と理事長については、まず定款32条2項で、
「2 理事のうち、2名以内を代表理事とし、……」
とし、同34条2項で、
「2 代表理事は、この法人を代表し、その業務を執行する。理事会は、その決議によって、代表理事より理事長1名を選定する」
としています。
そして、代表理事の地位は法人法で定められていますが、任意機関である理事長については、法人法はもちろん、定款にも明記されていません。これでよいのでしょうか。
こういう規定では、法的に最高権限を各自で持つはずの複数代表理事に優劣をつけることになりませんか。少なくともこういう定め方は役所でも想定されておらず、留意事項やモデル定款でも“こうして理事長を決める、その理事長を以て代表理事とする”という形の例示しかしておらず、“まず代表理事を決め、その中から理事長を選ぶ”という手順は想定外です。つまり、“代表理事〇名で代表理事会を構成し、そのうち1名を代表理事会の会長とする”ようなことは代表理事の各自平等代表権の表見制限になるとして、禁止されているのではないでしょうか。
もちろん、内規で代表理事の業務分担を定めることは是認されますが、定款で上下関係を表見させるのは、まずいんではないでしょうか。
実態がどうなるかということを考えてみましょう。おそらく、日常の文書等でも「代表理事」名義より「理事長」名義が圧倒的でしょう。会社で「社長」が、銀行で「頭取」が表見トップであるように、公法協理事長も表見「ボス」、いささか業界を知る人にとっても表見「最高代表理事」ないし「上級代表理事」(ツートップでなくワントップ)とみなされるでしょう。私だって「太田」という代表理事名は暗記しましたが、確かもう一人いる「代表」理事の名前なんて覚えてもいません。
もちろん、タテマエ上複数の同権代表を立て、実際は優劣をつけて運用するのは各法人自治の範囲で何ら問題はありません。ただ、法人法の本来の趣旨ではありません。ここは我らの唯一無二の代表たる公法協、全日本標準規範を求められ、しばしば参照・言及される身ですから、一歩引いて内閣府の公式誘導に従い、公開される定款上は「まず理事長、副理事長を選定し、両者を以て法的代表理事とする」というようなしくみにするのが無難でしょう。