理事改選後の流れ

理事改選後の流れ

投稿記事by 半可通 » 2015年3月18日(水) 10:20

理事の任期満了を迎える財団で、改選から新代表理事の登記までの手順を考えております。いろいろな資料を見ても、当フォーラムで検索してみても諸説があってはっきりしません。ポイントは代表理事の問題です。ケースにより違いはあるようですが、基本的な流れを理解しておきたいと思います。代表理事が1名で全理事が一斉任期満了の場合、次のような手順でよろしいでしょうか。カッコ内は根拠を示します。

1.現代表理事が招集する(定款)理事会で新理事候補を決定(内規)し、定時評議員会の招集を決議
2.現代表理事が決算・改選を議題として定時評議員会を招集(定款)
3.定時評議員会で新理事候補を承認決議→会終結時に全理事退任、権利義務保有者に移行する
4.新理事の就任承諾→新理事会の成立(現理事の権利義務解除)
5.現代表理事が代表選定を議題として新理事会を招集(定款、法79条による退任後の権利義務者として)
6.新理事会(議長は現代表理事〈定款、法79条〉)で新代表理事を選定
7.理事会議事録作成(署名押印は現代表理事〈登録印〉と出席監事〈定款、法79条〉)
8.新代表理事の就任承諾→新代表理事就任→現代表理事の権利義務解除、引き継ぎ
9.役員変更登記・登録印改印申請(新代表理事名義で)
10.登記完了→代表理事登録印使用開始

* 上記4~9を2週間内にすれば登記は1回で済む。
* 現代表理事が理事・代表理事に再任される場合、登記の扱いは重任で9.の改印手続きは不要になるが、改選(洗い替え)を経ているため上記8までの手続 きはは同じ。
半可通
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年4月15日(水) 15:22

半可通さんへ

 代表理事が1名で全理事が一斉任期満了の場合の手順ということですが、次のような点に問題乃至は疑問があると思います。

① 3.で「定時評議員会で新理事候補を承認決議」、4.で「新理事の就任承諾」となっていますが、普通は事前乃至は同時に就任承諾書を
 頂いていますので、定時評議員会終結時に新理事(会)が成立しており、旧理事が権利義務保有者に移行することは一部の人を除いて
 あまりないと思います。
  また、8.で代表理事の就任承諾が新理事会の終了後となっていますが、これについても代表理事の就任承諾は同時が一般的かと思います。

② 新理事会においては、まだ代表理事が選任されていませんので、代表理事が5.で新理事会を招集、6.で現代表理事が議長となって
 新代表理事を選定と書かれていますが、新理事に選出された人であればだれでも理事会の招集はできるし、議長は一番最初の議題として
 互選により決めることができると思います。この場合の議長はその場限りですので、新代表理事が選出された場合は定款に従って
 新代表理事が議長の席に着くことになりましょう。
  問題は現代表理事が新理事として選出されていない場合は、5.や6.の流れが行えないことです。何故なら代表理事の権利義務者といっても、
 それは理事であることを前提としているからです。

③ 7.の理事会議事録作成の際の署名・押印は現代表理事と出席監事とされていますが、ここにおいても現代表理事がすくなくとも理事に
 再任されていないと、この流れとはならないと思います。
  さらにいえば、理事に再任されていても新代表理事に選任されなければ、出席した代表理事とはならないので、その署名・押印では
 不可とされているようです。
  従って現代表理事の登録印を議事録に押印して、他の理事の実印を避けることができるのは、(ⅰ)現代表理事が新代表理事になる場合と、
 (ⅱ)出席理事全員の署名・押印する場合に現代表理事が理事としてですが、届出印を押印する場合になります。

 以上いろいろ申し上げましたが、登記の扱いの部分については各法務局で異なった扱いがあるようですので、実際の登記の際は所管の法務局
又は司法書士さんにお問い合わせください。

By 鈴木 勝治
鈴木 勝治
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 岩内 省 » 2015年4月21日(火) 13:47

「半可通」様、鈴木様、
苦心の段取りと、逐一の批評、面白く拝読しました。
登記の可否だけですと、要は内部手続き・資格に関わらず、登記印が押されていれば、通ってしまうと思います。登記所では、招集手続きの妥当性や議長の根拠が問われることはありません。しかし、法人法による法人自治の問題として考えると、鈴木さんのご回答には、このフォーラムでも以前指摘したテーマですが、前提となる基本的な考え方で納得のいかない点がございます。以下長くなり恐縮ですが、箇条書きにて改めてお尋ねします。念を押してご教示いただければ幸いです。

1.選任と承諾の後先について  立候補・選挙制のような法人では承諾が先立つこと明白です。しかし、身の丈に余る要人に役員依頼する中小法人では、万が一にも落選で顔をつぶすことのなきよう、選任後に三顧の礼を尽くすしかありません。内閣府もFAQⅡ-4-⑥の(注)1で「理事又は監事の任期の起算点は選任日となりますが、登記の原因日付は、就任の承諾をした日が原因日付とされ」ると、まず選任、そのあと承諾という物事の常識的手順を追認しています。

2.総論と各論、本則と細則、法規と内規  現場ではいずれも下位のルールが優先します。法定最低賃金が1000円でも、就業規則が1100円なら、「いかなる理由があっても」従業員は1000円では納得しません。役員定年が60歳であれば、法定任期は定時評議員会云々でも誕生日が優先します。まして法人自治を高らかに打ち出した新制度では、法人法に反しない限り、各法人においては定款が絶対です。代表理事に対して、93条1項に拠り招集権を、95条3項に拠り署名人を、任意に議長職を、それぞれ付与・指定している法人では、生きている限りそれを免れることは許されません(もちろん、「不在の場合は、云々」のただし書きがあれば別です)。最も重要な役員交代時にそれが守られないようでは、定款を定める意味がありません。「本則に戻れ」では法人自治の放棄です。

3.代表理事の基礎資格  前項の問題が生じるのは、ご回答中の「代表理事の権利義務者といっても、それは理事であることを前提としている」というような、もっともらしい俗説に起因するところが大と思えます。「理事のうち、2名以内を代表理事と」する(公法協定款32条2項)のように規定している法人では理事退任即代表理事退任で、役員改選の度に代表理事不在になる可能性がありますが、それこそ法人自治の問題です。しかし、法人法が求めているのは「理事の中から代表理事を選定」する(90条3項)ことだけ、すなわち選定時の理事資格を要求しているだけで、就任後は資格条件も任期も規定していません。したがって、法人独自に任期規定(任期1年とか60歳定年等)でもしていない限り、代表理事任期切れ退任、などという事態は現出しないのです。

4.79条  とりわけ法人法79条1項は、「代表理事が欠けた場合又は定款で定めた代表理事の員数が欠けた場合」は、辞任・退任した代表理事は、後任の就任まで「なお代表理事としての権利義務を有する」として、代表理事機能に途切れは生じないことを保証しているのです。79条1項に、「ただし、理事であることを要する」とか「ただし、理事再任されないときはダメ」という条件は一切ありません。つまり、代表理事は、1人の場合も複数の場合も、生きている限り無条件に、次が決まるまではやめられない、逆に代表印が押せない状況は決して生じないということを単純に示しているのです。それを、理事辞表を出せば代表辞任できるとか、理事再選されないと署名できないとか、複数制のときはこうだと複雑化させるのは無意味な謬論です。ただし、このケースでも、当該法人が代表印取扱等内規の類で「代表理事が辞任したときは、署名を禁じ、代表印を封ずる」とでもしていれば辞表によって議事録署名人の任も免れます。

以上、長くなりましたが、我々公益法人に所属する者は、営利基準の会社法から類推したり、登記所の事務要領におもねるのでなく、法人法に依拠すべきです。是非とも法人法を素直にお読みいただき、その条文だけで役員改選・登記がすっきり単純にできるようにご助言ください。私見によれば、法人法に準拠すれば、法人の代表者たる代表理事は、自ら再任されるか否かに関わらず、全責任を全うして跡を濁さず、後任に引き継げるはずです。
特に、無条件に代表理事機能の継続を規定している79条について、法人法体系のどこにも書かれていない、代表理事の権利義務を有するためには「理事である必要がある」などと言う勝手な解釈を排除することは、喫緊の課題だと思います。
岩内 省
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年4月27日(月) 18:03

岩内 省さんへ

ご質問について個人的意見を申し上げます。

1.選任と承諾の後先について
「普通は」と書いているように、選任と承諾について私は論理的に前者が先とは言っていませんので、理事の役割の重大さや
責任の重さならびに私の事業会社ならびに公益法人の今までの経験から通常は前者が先ではないかと考えています。
したがって内閣府のFAQⅡ-4-⑥は、登記の原因日付を明らかにしているにすぎないと思います。

2.総論と各論、本則と細則、法規と内規について
 法令に違反しなければ下位のルールが優先するのは、一般法に対し特別法が優先することから見てその通りと思います。
 ただ理事会の招集権者についての一般法§93①ただし書きによる定款又は理事会による自治については、それによる該当者が
いない場合については、本文の「各理事が招集する」と本則に戻ることになると思います。(「会社法コンメンタール8」
2009年2月商事法務刊 27頁~28頁を参照)
 この場合「代表理事」が存在しているとおっしゃられるかもしれませんが、そのことは次の3.で申し上げます。

3.代表理事の基礎資格について
代表理事の被選任資格として理事であることを要するというのは、おっしゃる通り一般法§90③に規定されています。
 それでは継続の資格についてはどうかといいますと、これもおっしゃるとおり、特に規定はありません。そこで同法§79の
代表理事に欠員を生じた場合の措置の規定から考えることになります。同趣旨の法律に会社法§351の規定がありますので、
これについての通説的見解(※)を一般法人法に適用すると以下の通りとなります。
 (※)前掲の「会社法コンメンタール8」26頁~28頁参照

==========================================================
(1)代表理事が理事の地位を保持しつつ、代表理事を退任する場合
   →§79①がそのまま適用される。
(2)代表理事が理事から退任する結果、代表理事としても退任する
   →この場合二つに分れます。
 A.代表理事および理事の員数が欠ける場合
  この場合は理事として権利義務を有し、代表理事としての権利義務を有する。
 B.代表理事の員数は欠けたが、理事の員数は欠けていない場合
  この場合は理事の員数が欠けていない以上(新たにその理事で代表理事を選任できることから)、理事の権利義務もない者が
 代表理事の権利義務を有しない。(これについては①判例として東京地昭和45.7.23判時607号81頁があり、②法務省民事局長
 回答昭和32.5.1がある)
===========================================================

 以上は会社法の解釈ですから、そのまま一般法人法に適用はないという考えもありましょうが、「もっともらしい俗説に起因する」訳では
ないと思います。
 そしてこの解釈によれば、半可通さんの事例は、上記(2)のBに相当しますので、私が書いた通り新理事会で代表理事を選定すべきと考えます。

4.§79について
 以上3.の解釈を前提とすると、「代表理事機能に途切れは生じないことを保証している」とか、「生きている限り無条件に次が決まるまでは
やめられない」ということにはならないと思います。
 もっとも私のこの解釈は会社法のアナロジーで行っていますので、法人法として別の解釈もあり得るかもしれません。ただ会社法と一般法人法の
規定の仕方は、少なくともこの代表理事のところでは全く同一であり、別の解釈をするとすればその理由或いは理論づけが必要になると思います。
(私個人としては一般法人法の規定のうち、会社法と異なった解釈をすべきと考えている箇所がいくつかありますが、この点については同一の
解釈でよいのではないかと思っています。)

以上

By 鈴木 勝治
鈴木 勝治
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 岩内 省 » 2015年4月28日(火) 16:52

鈴木様、
ご回答、じっくり拝読いたしましたが、なお根本的に納得しかねる点がございます。それを再質問する前に、全く単純な形式的のことを二点だけお尋ねします。

1.最初のご回答では(理事選任時に)「普通は事前乃至は同時に就任承諾書を頂いています」とされていますが、今度のご回答では「選任と承諾について……通常は前者が先ではないかと考えています」と記されています。もし、後者であれば、まさしくFAQⅡ-4-⑥の(注)1が正しく理解されますが……。

2.79条の解釈に関して分類・例示の(2)では、A.B.で代表理事の「員数」が欠けた場合を尽くしているようですが、代表理事自体を欠く場合を欠いています。79条は「代表理事が欠けた場合又は定款で定めた代表理事の員数が欠けた場合」として代表理事が0になる場合と定員割れ(定款定数不足)の事態を併記しています。前者の場合はどうなりますか? 実は、諸悪の根源(失礼?)である貴刊の杉浦・希代本も同様で、これを護持すると「代表理事複数の場合は最後の一人以外は79条1項の適用外だが、最後の一人は〔生きている限り〕辞められない、逃げられない」という解釈に至り、結果的にこの説は、意図に反して「代表機能の欠如は生じない(代表権は途切れない)」ことを保証する説に転化します。
それはともかく、79条があえて「欠けた場合」と「員数が欠けた場合」をしつこく併記していることの重みを踏まえて、ご確認の上ご教示ください。そんな深い意味は無い、会社法351条をなぞっただけだという真実を突く正解では法人法が浮かばれません。出生の秘密はどうあれ、実定法として生まれ条文化された以上、会社法に媚びることなく、我々公益法人の合法的な運営基準を追求すべきです。
岩内 省
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年5月11日(月) 09:41

岩内 省さんへ

1.4月15日の回答については、私の役員としての経験ならびに見聞きする多くの法人では、事前に社員総会(評議員会)での選任を停止条件
 として就任承諾を頂いておりますので「事前乃至は同時に就任承諾書を頂いています。」と書いています。
  4月27日の回答についても、実務上の流れは全く同じ考え方ですので、「通常は後者(承諾)が先」と書くべきところを、「通常は
 前者(選任)が先」と書いてしまいましたが、これはケアレスミスです。訂正してお詫びします。
  ただ理屈だけをいえば、承諾が先といっても停止条件付の就任承諾なので選任が先で就任はその後(乃至は少なくとも同時)と言うことも
 できると思います。また理論上は就任承諾(書)は、選任後頂くということであっても有効であり(もっともその受領後にしか理事になれない
 という問題がありますが)、そのような実務もあると聞いておりますので、選任が先といっても構わないと思います。
  この辺りは、実務と理論が交錯しており、どのディメンジョンで言っているかによって差異がでますので、自戒を込めて注意する必要が
 あると思います。

2.おっしゃられることの意味がよく分かりませんが、代表理事だけが欠ける場合は前回4月27日回答の通り二つあり、前回の(1)が理事の地位を
 保持しつつ代表知事が退任した場合と、前回の(2)が理事から退任する結果、代表理事としても退任する場合です。(1)の場合は、新代表理事が
 選出されるまでは前の代表理事が権利・義務を負います(§79①)。(2)の場合は二つに分かれ、A 代表理事および理事の員数が欠ける場合と、
 B 代表理事は欠けたが理事の員数が欠けていない場合です。Aの場合はまさに§79①の適用がありますが、Bの場合は前回解答通り§79①の適用はなく、
 早急に理事会で代表理事を選ぶべき場合と考えます。
  なお、「代表理事が欠けた場合」と「代表理事の員数が欠けた場合」の併記については、前者は代表理事が単数の場合(論理的には、複数で
 あっても同時に欠ける場合がありえますが、そこは議論の対象外とします。)であり、後者は定款で代表理事の員数を定めた場合を指しており、
 このような事例が多くあることに鑑みて規定したものと理解しております。これに深い意味があるかどうか全く承知していませんが、もしそれが
 存在するようでしたらご教示下さい。

以上
By 鈴木 勝治
鈴木 勝治
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 岩内 省 » 2015年5月16日(土) 11:26

鈴木様、
ご回答、ありがとうございます。

まず、委任関係の成立について、選任・受任のいずれが先か、という問題については、ケアレスミスと言われてしまってはやむを得ません。内閣府が選任の後の就任承諾日を登記原因発生日と一般的に明示したのもうっかりミスなのでしょう。我が意を得たりと思ったのですが、この件は措きます。

次の代表理事一人制と複数制の区分については「深い意味があるかどうか全く承知してい」ないとのことですが、とにかく75・79条共に「欠けた場合」と「員数が欠けた場合」を列挙しているのはケアレス規定ではないと思います。そこで、岡部さん以来論拠にされている杉浦・希代の貴刊書『登記実務』の45(132)ページに79条の解釈をめぐって記す「理事及び代表理事が退任し、代表理事の員数が欠けた場合であっても、理事の員数を欠かないため理事の権利義務を有する者とならないときは、代表理事の権利義務を有する者とはならない」という理解の、その解釈です。これも明らかに「員数が欠けた場合」についてのみ言及しており、要は代表理事が2人以上いるときは、理事退任即代表理事退任となり、79条適用無しということです。逆に代表理事が1人のときは、杉浦らは何ら言及していないケースであり、理事退任しても自動的に79条の適用を受け、代表理事の権利義務は免れないということになります。無根拠に(会社法の誤用を根拠に)代表理事の基礎資格として理事たることを断言する杉浦らの説に疑問は感じますが、少なくとも引用部分の読解はこのようになります。
どうでもいいようなことと思われるかも知れませんが、杉浦本の上記説明は、結果的に「通常、人事・手続きの如何によって対外的に代表者不在、代表権欠失という事態は生じないことを担保してくれるのです。したがって、死んだり、暴力団に就職した場合は別ルールで対応するほかありませんが、通常は生きている限り1人の代表理事は、後任が決まらない限り、やめられないということになります。これと代表理事の任期が無期限であることによって、法人の途切れない代表権の所在=代表理事が保障され、代表印も途切れなく生き続けることになります。

このようなしつこい質問を繰り返すのは、いかにザル法とはいえ、法人法が、法人の代表権を有する自然人が一時的にもせよ不在になるような構成を取っているはずはないと思うからです。短期間なら差し支えなかろうとか、不安なら5人も代表理事にしておけという問題ではありません。2年に一度、法人運営が定款逸脱になる法制度とは思えません。

上記の理解につき、ご高見を承りたく、お願いいたします。

なお、今回の質問でさらに疑問を感じている下位ルール優先の問題については、追って別投稿で質問いたします。
岩内 省
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年6月01日(月) 16:15

岩内 省さんへ

去る5月16日付のご質問について私見を申し上げます。

1.まず『杉浦本』と称しておられる『登記実務』の考え方およびその論理的帰結とされる「代表理事の任期が
 無期限であることによって、法人の途切れない代表権の所在=代表理事が保証される」という考え方については、
 私個人としては賛成できません。
  むしろ、代表権が途切れる可能性があるから、一般法人法第79条(第75条)により、その不在となる場合の一部を
 カバーしていると考えています。

2.そして「欠けた場合」と「員数が欠けた場合」の差異というのは、前者が(定員の定めがない場合に)全くの不在
 となった場合(代表理事が単数の場合に多いでしょうが、複数の場合もありえます)、後者が代表理事の数を定数
 として定款に定めた場合にその定数(員数)が欠けた場合(「3人を代表理事として置く」と定めた場合、そのうちの
 1人が欠けて2名になった場合等です)と理解しています。
  従って「欠けた場合」と「員数が欠けた場合」の意味については、おっしゃられるような深い意味ということではなく、
 法人の定款の代表理事の定め方の違いによるものと考えており、法律はこのような両方のケースを規定したものと思われます。

以上
By 鈴木 勝治
鈴木 勝治
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 岩内 省 » 2015年6月04日(木) 10:05

鈴木様、

何度も繰り返しのお問い合わせ、誠に恐縮に存じます。お説の趣旨は理解でき、趣旨は納得できるところを多としますが、素朴な基本的なところでどうしても行き違っているようです。とりあえず、次の①②の2点のみご確認いただければ幸いに存じます。③は、①②から容易に導かれる判断で、その「深い意味」の吟味は、とりあえずここでは措きます。

① 法人法79条は、代表理事が「欠けた場合」と代表理事の「員数が欠けた場合」のいずれも「権利義務」の承継が〔無条件・自動的に〕生じることを規定している。
② 杉浦本では、そのうち「員数が欠けた場合」には、理事を承継しなければ代表理事も承継しないと79条に制限コメントしている。一方、「欠けた場合」については何ら言及していない。
③ したがって、杉浦本によれば、代表理事が「欠けた場合」は制限なく79条が作動することになり、結果的に代表理事は欠いても代表理事の権利義務は存続し、対外的には途切れることなく代表権が機能し、法人の存続に支障をきたすことは無い。

繰り返しになりますが、公益法人の拠って立つ根拠は、法人法です。「代表理事は理事であることを前提とする」とか「会社法における代取の場合はこうだ」「私の経験によれば」等の豊富な知見を差し挟まず、法人法に則してご教示いただきたく、お願い申し上げます。
岩内 省
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年6月16日(火) 13:03

理事改選後の流れ
岩内 省 様

6月4日付のご質問にお答えします。

1.ご質問の①については、〔無条件・自動的〕という修飾語について語弊がありますがその通りと思います。
②については、杉浦本のコメントもその通り読めると思います。
③については、代表理事が欠けた場合は制限なく§79が作動するという点については、「制限なく」という点は必ずしも
そうではないと思います。

2.上記1.の③についての理由は次の通りです。
(1)法人法§79については、代表理事が欠けた場合に次の代表理事を選定するまでに時間を要することもあることから、
前の代表理事に便宜的にその権利・義務を与えたものです。従って代表理事が欠けた理由によってはその権利・義務は
与えられないと考えます。

(2)一番分かり易いのは前の代表理事が死亡や長期不在により欠けた場合においては、権利・義務を与えることが事実上
できませんので、前の代表理事の権利・義務が存続することはありえません。

(3)次の前の代表理事が不祥事や法人の運営上問題をおこしたこと等によって解任されたことが欠けた理由の場合は、
そもそも法律上の適格要件(一般法§65)を欠くことによって、理事ではなくなる場合がありますし、法人の運営上も
そのような人を代表理事として戴くことは不適当と思われます。

3.以上2の理由について同様の規定である会社法§351の解釈においては、第2項の仮代表取締役の選任の要件としてではありますが、

①退任代表取締役において法律上または事実上継続して職務を執行することが不可能な場合(欠格事由の発生・死亡・長期不在等)。

②継続して職務を執行することが不適当な場合(解任・信任喪失・病気等)等があげられています。
(落合誠一編「会社法コンメンタール8」商事法務2009年刊29頁)

 会社法の考え方を一般法にそのまま適用することは妥当でない場合もありますが、本件については私は同じ考え方でよいと思っています。

以上

by 鈴木 勝治
鈴木 勝治
 

Re: 理事改選後の流れ

投稿記事by 岩内 省 » 2015年6月18日(木) 14:48

鈴木様、

しつこい質問に懇切なご教示、ありがとうございます。大分煮詰まってきたようです。

杉浦本の所説が、代表理事の「員数が欠けた場合」への79条適用の制限コメントであり、代表理事が「欠けた場合」(ゼロ、不在になる場合)の79条適用には制限を付していないことをお認めいただければ、杉浦説の帰結は明明白です。くどい繰り返しですが、代表理事の員数(定款定数)が複数の場合は、代表理事は退任すればしっ放しで法人と縁が切れますが、代表理事が1人の場合は、退任してもなお79条の適用があり、後任の就任まで「権利義務を有する」ことになります。
鈴木さんの回答は、杉浦本の上記結論を認めたうえでの補足コメントと読めます。そして今回は、はじめて「ただし、代表理事は理事である」などという法人法に書かれていないことは、挙げられていません。敬服いたします。その前提でなお「代表理事が欠けた理由によってはその権利・義務は与えられないと考えます」というのは至極もっともで、お考えは常識的に納得できます。ご例示の通り、死んだら必ず退任できますし、刑務所に入所すれば65条でクビ、いずれも明々白々です。

ここで御礼申し上げて引き下がれば一件落着でしょうが、私が79条をめぐって疑義を投じたのは、そもそも法人法は第1条で「一般社団法人及び一般財団法人の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる」、要は他に「特別の定め」が無い限り、法人のことは法人法に従うべし、というスタンスを堅持したいがためでもありました。

上記は、杉浦本の行論に即して〔おそらく杉浦らの説に反して〕「1人だけの代表理事は、生きている限り後任に引き継ぐまでやめられない」という結論を導いたのですが、法人法1条に即して79条を素直に読めば、代表理事が「欠けても、員数が欠けても」現代表理事は後任が就任するまで、「なお権利義務を有する」しかないと思います。うんざりするほど繰り返しますが、「代表理事は理事である」とか「代表理事の任期は理事の任期に合致する」などという一見あたりまえそうなことは、法人法のどこにも書いてないし、また「他の法律に特別の定め」もありはしません。79条には何の条件もただし書きも付されていません。誤解が定着した会社法の社長論を安易に法人法の理事長論に牽強付会しない限り、79条は法人法枠外の事故が無い限り法人代表機能の途切れ亡き継続を保証していると理解できるのではないでしょうか。

もともと法人法は広義の「事故」への対処を明示していません。津波で主たる事務所が流され、火事で焼失したときには、事務所の登記事項違反に問われたり、議事録が指定のボックスに備え置かれていない職務規律違反を責められることはありません。まさに「他の定め(法規)」によって対処します。しかし、代表理事は辞表を叩きつけても、後釜が決まらないとしび支部代表印押捺をしなければなりません。

最後に、一点だけご回答中看過できない点を指摘させていただきます。鈴木さんが、前代表理事に「『権利・義務』」を与えられない例として2.の(3)で挙げられている「代表理事が……『解任』されたことが欠けた理由の場合」はいささか不適切です。代表理事をクビにするのは理事会ですが、ふつうはクビにしてうっぷんを晴らして終わりでなく、後任を決めるのが主目的ですから、このケースでは間髪を入れず後任選びの出来レースを済ませて直ちに登記所に駆け込むでしょう。それこそ代表理事自体途切れません。
それはともかく、代表理事は「解任」するものではなく「解職」するものです(90条2項3号等)。法人法は選任&解任と選定&解職を有意味に使い分けています。これは、コトバ尻の問題ではなく、厳密に区別してかからないと、件の79条でも1項が「選定」、2項が「選任」であることを見逃して杉浦輩のような誤解を生じます。さらに、やめてもなお有させられるのは「権利・義務」の2項ではなく代表機能に一体化した不可分の「権利義務」です。中黒(「・」)一つが代表機能の継続性をしっかり表示しているのです。

最後のご回答をお待ちします。
岩内 省
 


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