by 念のため » 2014年4月22日(火) 16:46
岡部様、
何か勘違いがあるようで問答がずれています。前提をご確認いただかないと、理解がかみ合わないと思います。とりあえず、次の2点をご確認ください。
1.理事改選後の事態について、理事に再選されなかった代表理事は「権利義務承継代表理事にはならない」とのご理解、代表理事の基礎資格に理事たることを認めるなら、その通りあたりまえです。「代表理事」「〇〇承継代表理事」「〇〇代表理事」、とにかく代表理事自体が不在になるのは明白、さらに新制度では「代表理事代理」「代行」「暫定」等も否認しており、79条2項で「一時代表理事の職務を行うべき者」だけが許容されています。ではその時期の代表権自体や代表理事固有の職務・機能をどうなるかということで、79条1項は、前代表理事は「なお代表理事としての権利義務を有する」と明言しているのです。誤解の余地なく、代表理事として残るのでなく、代表理事の権利義務を引き続き有する者として残る、と言っているのです。従来の諸制度では、校長に事故ある場合は教頭が校長名義の卒業証書を授与し、首相に不都合ある場合は官房長官が総理大臣賜杯を授与し、天皇が入院していれば皇太子が代言しますが、代理や予選を否定した新公益法人制度では、事故ある本人に「代理!」を強いるしかないのです、最大の事故=死への対処不能というジレンマを残して。
なお、2派にわかれた理事勢力逆転時に「前代表理事の居座り」(2週間ほど)を合法化する見解はありえないとおっしゃいますが、安倍自民に大逆転を食らった野田「前」総理は特別国会の前に天下り会社郵政の役員人事を強行して、後日安倍が再度覆したのは耳新しいところです。前代表理事は「権利義務」のうち「権利」を発揮して如何様の代表権も執行できますが、新代表理事はことごとく否定できるということです。性善説か性悪説かの予断なく、法人法自体を読むべきです。
結論としては、“公式の代表理事は一時的にいなくなることがあるが、その間誰かが代表理事の最低限の役割(権利義務)は担う”ということではありませんか?
2.79条の規定する代表理事欠如の事態は、どんな場合でしょうか。1項には「任期の満了又は辞任により退任した」代表理事が対象に限定されています。これから、まず上記した死亡(行方不明、精神異常、他)のような狭義の事故と、解職・解任処分による失職が除かれることは明らかです。「任期の満了」とは、法人法には一般的な任期規定はありませんから個別法人の規定、例えば「任期1年」とか役員定年制のケースが想定されます。評議員会終結時は、あくまで理事の任期切れであり、代表理事の任期とは別です。
では、「辞任」とは、いかなる事態でしょうか。代表理事が「本日代表理事を辞任する」という辞表を書いても「なお代表理事としての権利義務を有する」のに「理事を辞す」と自動的に代表の座も失う、つまり代表理事を辞めて平理事になるには、理事会を招集して解職決議をさせる(ま、実際は辞任による新代表選定決議か)しかないのでしょうか。田中角栄は留置場で総理辞表を書いて総理は即刻辞任しましたが、議員辞職はせず議員にとどまり傀儡総理を指名しました。不祥事会社の社長はたいてい社長はやめても取締役会ではちゃっかり最上席に座ります。潔く完全引退という選択肢はあるにせよ、法的には、代表権のみ返上という行為が認められるのが普通だと思います。
まとめると、“辞表を書けばいつでも辞められる、しかし後任に引き継ぐまでは、いやでも今までの仕事はしてください、いちばんの仕事は後任の選定で、必要なら代表印も使えますよ”ということではないでしょうか。ただ、79条は1項も2項も、役職名を明示していないのが難点で、「権利義務承継代表理事」というような法文にはない呼称が発明されてはいますが、議事録や公文書にはどのように標記するか、不確定なのではないでしょうか。