by 一般財団法人です。 » 2017年5月29日(月) 07:39
太田達男様
詳細なご説明ありがとうございます。
この問題について、以前法務局でも相談してたことがあるのですが、明確なお答えはいただけず、
悩んではあきらめ、悩んではあきらを繰り返しており、永遠の謎を抱えている気分です。
基本的な考えとしては、太田様のご見解のとおりなのかと思います。
ただ、準用する第63条第2項の①「役員が欠けた場合」を単純に役員一人が死亡や辞任した場合と考えると反対に②の事象である「法律若しくは定款で定める員数を欠くこととなる場合」をも包含しているのではないでしょうか。
仮に、定款で理事を5名以上10名以下と定めている場合、今、5名いる理事が一人辞任 すると①でもあり②でもあります。つまり、現状の理事の人数から②の事象が発生するということは、役員が1人以上は減ったわけですから、必ず①にも該当することとなります。
また、同様な規定が第177条で準用する第75条第1項において
①役員が欠けた場合
②法律若しくは定款で定める員数を欠くこととなる場合
における退任役員の権利義務の継続が規定されています。
②の場合に退任役員の権利義務が継続するというのは当然理解できますが、①の場合も同様に考えられるのかどうか。
仮に、先ほどと同様に定款で理事の人数を5名以上10名以下と定められていて、現在8名の理事が就任しているとします。ここで、1人の理事が辞任したとき、この理事は後任者が就任するまで 権利義務を持ち続けるのかどうか。
先ほどの①「役員が欠けた場合」を単純に1人が辞任した場合を指すとすると、当該法人の判断として、定款上の理事の人数を満たしているため、理事は7名でいいということで後任を選任しないとした場合でも、辞任した理事は後任が就任しないため当該理事の任期が終了するまで、権利義務が維持され続けることになります。
そんな不合理なことはないのではないでしょうか。
そういう観点を含めて考えると、①の「役員が欠けた場合」とは、法律上や定款上の役員数をみたしている中で、「法人として現在必要としている役員の員数(人数なのか、役員その人を指すのか)が欠けた場合」という解釈をするのが妥当なのではないかと考えています。そのように考えると、先ほどの8名の理事がいる中で、1人辞任したが法人としては当面7名の理事でよいと判断すれば、当該法人の理事は7名ということになるので役員が欠けたわけでないという整理ができるので、当該辞任した理事の権利義務は継続しないことになります。
これは、たとえ業務執行理事であったとしても、当該理事が辞任することにより今まで担当していた業務を執行していた理事がいなくなるが、法人としてそれでは困るということであれば後任を選任することになりますし、法人として必要とする理事は8名ということになりますので、後任が就任するまでは当該担当業務に対する権利義務は辞任した理事に継続させることになります。
一方、辞任した理事が担当し ていた業務については別の理事の担当に振り分けるので、理事は減っても構わないということであれば、後任の理事の選任もしないので辞任した理事は不要ということになりますので、法人としては必要とする理事は7名ということになりますので、役員が欠けた場合には該当せず、権利義務は継続させないことになります。
始めの質問に戻りますが、同様に考えますとあらかじめの選任について、補欠をあらかじめの選任する場合としては、法務省令において
〇1人又は2人以上の特定の役員の補欠とし選任する場合
〇同一の役員に2人以上の補欠を選任する場合
などの規定もされており、ある業務を担当する理事は絶対に空白を作りたくないが、ある理事については辞任されても、すぐにどういう言う問題ではないなどの場合があり、いずれの場合も単純に考えれば①の「役員が欠けた場合」には該当するが、そこには法人の考えが含まれていて、「法人として必要な役員(人そのもの)が欠けた場合」や「法人として必要な役員(数)が欠けた場合」ということになるではないでしょうか。
ここまで、いろいろと考えながら取り留めもなく書きましたが、準用する第63条第2項については、あらかじめ補欠を選任することができる場合ですので、結局のところ、法人として辞任した理事が重要なら予め後任を選任しておくが、不要なら(又は事実が発生してからでも間にあうので)予め選任しておかないということはここでは関係なく、単に、一人でも役員が減る場合に備えてあらかじめの選任ができると考えれば済むことなのではないかとの思いに至りました。
言い訳になりますが、準用する第75条第1項については、①の「役員が欠けた場合」という規定には、法人としてのとらえ方の違いにより、役員が欠けたのか、役員が結果減らしたのかの違いにより、辞任役員の権利義務の継続の有無が違ってくるものと思いますが、準用する第63条第2項の①「役員が欠けた場合」については、太田様の言われるとおり、役員の一人が死亡や辞任により役員ではなくなった場合と考えれば良いのかと思います。