役員のあらかじめの補欠の選任について

役員のあらかじめの補欠の選任について

投稿記事by 一般財団法人です。 » 2017年5月16日(火) 09:09

類似の質問は見かけるのですが、明確な判断ができず質問させて頂きます。
財団法人ですので、第177条で準用する第63条第2項の規定で、
①役員が欠けた場合
②法律若しくは定款で定める員数を欠くこととなる場合
に備えて補欠の役員を選任することができると規定されています。
この規定については、同じく第177条で準用する第75条第1項で同様の規定があり、この規定の説明等で
①役員が欠けた場合とは、役員0人・・・つまり全くいなくなった場合
②法律若しくは定款で定める員数を欠くこととなる場合とは、財団法人では理事は3名以上必要ですので2名となったときや定款で5名以上と規定している場合は4名となったとき
などが該当するとの説明を見かけます。

第63条も第75条と同じ規定である以上、同様の解釈がされるものと思われます。
このように解釈される場合、定款において理事を4名以上10名以内と規定している法人において、現在理事が5名いるとします。
この法人が、第63条第2項の規定に基づき理事の補欠としてあらかじめ1名選任しているときに、1名の理事が辞任した場合は、上記①及び②には該当しません・・・5名の理事がいて1名辞任しても4名の理事がいるので、①の理事が0になった訳ではなく、また②の法律上の理事3名を欠いていないし、定款上の理事4名を欠いているわけでもないので・・・あらかじめ選定している補欠の理事は就任できないのでしょうか。

しかし、第63条に基づく法務省令第12条第2項第4号においては、
○特定の役員の補欠の役員として選任するときは、その旨及び当該特定の役員の氏名
を併せて決定しなければならないとされており、当該特定の役員の補欠として選任されていた場合に当該特定の役員が辞任したにもかかわらず、上記法律の①②に該当しないとして就任できないというのはいかがなものかと思います。

ただ、省令の規定と法律の規定が矛盾するとなると、当然法律の規定が優先されるものと思われますので、法律においてあらかじめ役員の補欠を選任できる場合は、上記①②の場合であることから、先ほどの5名の理事がいる中で1名の理事が辞任した場合、当該辞任した理事の補欠として選任した者であっても、辞任した理事の後任として就任できないということになるのでしょうか。
一般財団法人です。
 

Re: 役員のあらかじめの補欠の選任について

投稿記事by 公法協相談員星田寛 » 2017年5月24日(水) 15:00

一般財団法人です。様

難しい法令解釈のお話です。法律ができたときから議論されていたことです。小職の私見ということで述べます。
法令の定めは「補欠」であり、定数内での辞任等退任による後任のいわゆる「補充」の規定はありません。また、会社法でも同じような法文になっており、補充についての定めはありません。
FAQⅡ-1-②の(補足)に、任期について「前任者の残存任期の満了までとすることができる」、補欠について「補欠者をあらかじめ選任しておく場合だけでなく、前任者が(任期の満了前に)退任した後に、補欠者を選任する場合も該当しうると解されます」との記述があり、定数内か否かにかかわらず途中退任後のいわゆる「補充」についても「補欠」選任として扱うとしています。
ご指摘のように、補欠を選任しておきながら定数内の補充のときは改めて選任手続きを改めて採るのは迂遠なことです。また、法の予定していることとも思えません。そこで、上述のFAQの解釈は補欠者の任期の短縮についての記述にすぎません。また、この解釈から直ちに「補欠」にはすべて「補充」の意味も含むと解することはできないかもしれません。しかしながら、補充の場合も法令(一般法63同規則12ほか)に準じて、また法令の趣旨から、定数内の場合にも補欠者を後任にすると解することはできるのではないかと思われます。なぜなら、補欠についての法の定めの趣旨が、万一の欠ける場合に備えての定めであることから、欠ける前の補充においても当然に選んでおいたその補欠者が後任になるものと解することが合理的と考えるからです。
なお、登記実務については司法書士に事前にご確認ください。また、企業の場合は補欠者を選任している話も聞きますが、一般法人の場合は少ないと理解しています。
                                                                      以上 星田寛
公法協相談員星田寛
 

Re: 役員のあらかじめの補欠の選任について

投稿記事by 一般法人です。 » 2017年5月24日(水) 21:35

星田寛様

詳細なご説明誠にありがとうございます。
法律をそのまま適用すると、定数内の途中退任による補欠(いわゆる補充)は、読めないところではありますが、当該法令の主旨、あらかじめの選任に関し特定の理事に対する補欠の選任を認めていることから考えると、星田様のお考えのとおり、定数内の補充は認められるものと考えています。
これが認められないとなると、特定の理事に対する予めの補欠の選任が意味をなさないこととなりますので。
会社法でも同様の規定とのことですが、実際に今までこのような状況による登記を行った会社はないのでしょうか。
会社法や一般法人法ができて年数が短いとはいっても、実際に行った会社があるように思いますが。法務局によって見解が異なる場合もありますので、同様な取扱となるかは不透明ですが。いずれにしましても、注意して対応したいと思います。
ありがとうございました。
一般法人です。
 

Re: 役員のあらかじめの補欠の選任について

投稿記事by 太田達男 » 2017年5月26日(金) 07:34

一般法人ですさん、
星田さんの回答に加えて、最初の貴質問に対し私からもお答えしておきます。

まず、第177条で準用する第63条第2項の規定中①の「役員が欠けた場合」とは
「役員が0になった場合」ではありません。これは役員の一人が死亡や辞任により役員ではなくなった場合を指します。これを「役員が0になった場合」というように解釈すると、このような事象は②の中に包摂され①を設ける意味がありません。
すなわち、63条第2項のうち①「役員が欠けた場合」は、現在選任されている理事5名(お示しの事例)のうち一人でも欠けたときに、補欠理事をあらかじめ選任していればその者が、自動的に理事に就任します*。
*特定の役員の候補者として補欠役員を選任する場合にはその特定された役員が辞任した場合のみ適用され、特定していない場合は誰か一人が辞任した場合ということになります。(法務省令第12条第2項第2号)
補欠理事の選任がされていない場合は、貴財団は二つの選択肢があります。一つは定款の規定(4名以上)、法令上の規定(3名以上)に抵触していないので改めて新事理を選任しないか、二つ目は定款・法令違反ではないが5名に戻す必要があると判断して、新理事を評議員会で選任するかです。このいずれかを貴財団が判断すればよいということになります。
次に②「法律若しくは定款で定める員数を欠くこととなる場合」ですが(事例でいうと定款で4名以上となっている場合で、現在の理事4名のうち一人が辞任した結果理事が3名になってしまった場合)、補欠理事をあらかじめ選任していればその者が、自動的に理事に就任します。補欠理事を選任していなければ、貴法人は①のケースと異なり、定款違反になりますからすぐに新理事を選任しなければなりません。
株主数が多数に上る株式会社では、いちいちコストと手間暇のかかる株主総会を開催することなく不測の事態に備えて補欠役員をあらかじめ選任しておく会社も多いようです。
上記でお分かり頂けたかと思いますが、法務省令第12条第2項第4号は、何ら本法第63条第2項と矛盾するものではありません。
太田達男
 

Re: 役員のあらかじめの補欠の選任について

投稿記事by 一般財団法人です。 » 2017年5月29日(月) 07:39

太田達男様

詳細なご説明ありがとうございます。
この問題について、以前法務局でも相談してたことがあるのですが、明確なお答えはいただけず、
悩んではあきらめ、悩んではあきらを繰り返しており、永遠の謎を抱えている気分です。

基本的な考えとしては、太田様のご見解のとおりなのかと思います。

ただ、準用する第63条第2項の①「役員が欠けた場合」を単純に役員一人が死亡や辞任した場合と考えると反対に②の事象である「法律若しくは定款で定める員数を欠くこととなる場合」をも包含しているのではないでしょうか。
仮に、定款で理事を5名以上10名以下と定めている場合、今、5名いる理事が一人辞任 すると①でもあり②でもあります。つまり、現状の理事の人数から②の事象が発生するということは、役員が1人以上は減ったわけですから、必ず①にも該当することとなります。

また、同様な規定が第177条で準用する第75条第1項において
①役員が欠けた場合
②法律若しくは定款で定める員数を欠くこととなる場合
における退任役員の権利義務の継続が規定されています。
②の場合に退任役員の権利義務が継続するというのは当然理解できますが、①の場合も同様に考えられるのかどうか。
仮に、先ほどと同様に定款で理事の人数を5名以上10名以下と定められていて、現在8名の理事が就任しているとします。ここで、1人の理事が辞任したとき、この理事は後任者が就任するまで 権利義務を持ち続けるのかどうか。
先ほどの①「役員が欠けた場合」を単純に1人が辞任した場合を指すとすると、当該法人の判断として、定款上の理事の人数を満たしているため、理事は7名でいいということで後任を選任しないとした場合でも、辞任した理事は後任が就任しないため当該理事の任期が終了するまで、権利義務が維持され続けることになります。
そんな不合理なことはないのではないでしょうか。

そういう観点を含めて考えると、①の「役員が欠けた場合」とは、法律上や定款上の役員数をみたしている中で、「法人として現在必要としている役員の員数(人数なのか、役員その人を指すのか)が欠けた場合」という解釈をするのが妥当なのではないかと考えています。そのように考えると、先ほどの8名の理事がいる中で、1人辞任したが法人としては当面7名の理事でよいと判断すれば、当該法人の理事は7名ということになるので役員が欠けたわけでないという整理ができるので、当該辞任した理事の権利義務は継続しないことになります。
これは、たとえ業務執行理事であったとしても、当該理事が辞任することにより今まで担当していた業務を執行していた理事がいなくなるが、法人としてそれでは困るということであれば後任を選任することになりますし、法人として必要とする理事は8名ということになりますので、後任が就任するまでは当該担当業務に対する権利義務は辞任した理事に継続させることになります。
一方、辞任した理事が担当し ていた業務については別の理事の担当に振り分けるので、理事は減っても構わないということであれば、後任の理事の選任もしないので辞任した理事は不要ということになりますので、法人としては必要とする理事は7名ということになりますので、役員が欠けた場合には該当せず、権利義務は継続させないことになります。

始めの質問に戻りますが、同様に考えますとあらかじめの選任について、補欠をあらかじめの選任する場合としては、法務省令において
〇1人又は2人以上の特定の役員の補欠とし選任する場合
〇同一の役員に2人以上の補欠を選任する場合
などの規定もされており、ある業務を担当する理事は絶対に空白を作りたくないが、ある理事については辞任されても、すぐにどういう言う問題ではないなどの場合があり、いずれの場合も単純に考えれば①の「役員が欠けた場合」には該当するが、そこには法人の考えが含まれていて、「法人として必要な役員(人そのもの)が欠けた場合」や「法人として必要な役員(数)が欠けた場合」ということになるではないでしょうか。

ここまで、いろいろと考えながら取り留めもなく書きましたが、準用する第63条第2項については、あらかじめ補欠を選任することができる場合ですので、結局のところ、法人として辞任した理事が重要なら予め後任を選任しておくが、不要なら(又は事実が発生してからでも間にあうので)予め選任しておかないということはここでは関係なく、単に、一人でも役員が減る場合に備えてあらかじめの選任ができると考えれば済むことなのではないかとの思いに至りました。

言い訳になりますが、準用する第75条第1項については、①の「役員が欠けた場合」という規定には、法人としてのとらえ方の違いにより、役員が欠けたのか、役員が結果減らしたのかの違いにより、辞任役員の権利義務の継続の有無が違ってくるものと思いますが、準用する第63条第2項の①「役員が欠けた場合」については、太田様の言われるとおり、役員の一人が死亡や辞任により役員ではなくなった場合と考えれば良いのかと思います。
一般財団法人です。
 


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